2015年9月30日水曜日

俳句集団【itak】第21回句会評⑤ (橋本喜夫)

 
俳句集団【itak】第21回句会評⑤
 
2015年9月12日
 
橋本喜夫(雪華、銀化)
 
 

 背に月の雲を背負つているマジェスタ  村上 海斗

謎めいた作りになっているので目に留まる。マジェスタはクラウンの高級車の名前だが、マジェスチックという英語からきたカタカナ造語であろう。「威厳」などと訳すべきか。一見「背」が二回出てきて重複しているように感じるが、恐らく「月の雲」も雲が月光を背負っているわけだし、マジェスタも背中に「月の雲」を背負っている。このマトリューシカのような関係性を「背」をあえてダブって使うことで強調したいのであろう。マジェスタは威厳のある人物なのかもしれないし、物なのかもしれない。わたしだったら「光背に月の雲を負ふマジェスタ」とするが・・・いずれにしてもマジェスタに違和感のある人は採れないだろう。


 秋涼し海の匂いの瓶洗う          瀬戸優理子


秋の海の波打ち際はいろんなものが流れ着く。空き瓶しかり、夏の間に置き去られたビーチパラソル、浮き輪、サンダルなどなど。作者はその瓶を拾い集めて、洗っているのであろうか。なんとなく夏のアンニュイな思い出を洗い流すかのように、海の匂いを洗っているのだ。「秋涼し」の季語は秋と涼しがだぶっていて、私はあまり使わない季語だが、「新涼」の季感が出ていてこの場合成功している。


 舞踏会果てて南瓜に戻りけり       籬   朱子


舞踏会という少女チックな措辞と、南瓜というおばさんチックな季語、これらをシンデレラというキーワードで繋げた。台所にある地味な野菜の代表南瓜が実は昨夜の舞踏会では馬車として活躍したのよ。なんて夢想するむかし少女だったおばさんが一人くらい現存してもいいのだ。わたしのようなへそ曲がりのおじさんは「南瓜あり舞踏会などどこにもなし」なんて作りそうだ。


 海へ来て色無き風を抱擁す        増田 植歌

色なき風は一級季語で使いたくなる季語だが、どうしても吹かせることに終始してしまう。作者は海辺に来て吹いてきた色なき風を抱きしめたわけである。「色なき」と「抱擁す」がいい塩梅に響き合っていて嫌味のない措辞になっている。抱擁しているわけだが、相手は色なき風なので作者は海辺でたった一人なのである。状況設定も秋としてふさわしい。





以上今回は毒が足りなかったかもしれないが、秋は薄口醤油でいいでしょう。こうなったら飽きられるまで、反対運動が起こるまでこの欄続けましょうか。いいんです、どうなっても。

(了)


※どうなってもってなんかアンニュイ(^^;毒があってもなくても人気の企画です。続けて参りましょう!(事務局 J)


2015年9月28日月曜日

俳句集団【itak】第21回句会評④ (橋本喜夫)




俳句集団【itak】第21回句会評④


2015年9月12日
 
 
橋本喜夫(雪華、銀化)
 
 
 唐突に秋の七草言えますか       江崎 幸枝
 
中七以下が「毎年よ彼岸の入りに寒いのは 子規」的に「話し言葉」調なので上五を統一して欲しかった。「唐突に」が状況説明、状況設定になってしまっている。たとえば「ねえあなた秋の七草言えますか」などでもいいので、ここは統一感が欲しい。俳句はどうしても説明したり、状況を説明すると詩が逃げてしまうので。
 
 
 キャタピラの跡八月の濡れた砂     藤原 文珍 
              
現今の社会情勢から言っても「砂浜にキャタピラの跡が繋がっている景」は不穏である。そこに八月の波がかかり、砂が濡れる。八月の季語も「戦争」という「隠しキーワード」と響き合っている。問題は「八月の濡れた砂」という措辞が映画や主題歌を知っている人にはよいが、言葉しか知らない人にとっては逆に俗に響くのが難点だ。


 
 影のないおとこ四、五人風の秋     信藤 詔子
 
おとこが四五人、立っているあるいは屯している。海辺でもいいし、都会の雑踏でもいい。近づいてみるとこれらすべての人に影がない。それはすでに幻の男なのか、死者なのか。作者の思い出のなかの男なのか。ただ風が吹きさるばかりである。前回も「風ですかす」テクニックについて触れたが、「秋の風」 で納めずに「風の秋」として止めたのも一工夫が見られる。
 
 
 栗虫を見てより少女時代果つ      青山 酔鳴
 
「天」に頂いた句。まず栗虫の選択がよい。いろいろな虫がいるわけだが、栗の実のなかにいる「蛆虫」みたいなグロテスクな虫。まさに栗に寄生する虫だ。こどもの頃に栗を煮て食べる前に栗の中にいる虫をみたことないだろうか。栗が甘くて美味しいだけに、その憎しみと、気持ち悪さがつのる。掲句は栗虫をはじめて見たあの瞬間から「私の少女時代は終了したのよ」とうそぶいているわけである。そのドグマというか、断定が面白い。栗虫のような取るに足らぬものに、一つの人生の転機を迎えたかのような虚言が良いではないか。
 
 

(つづく)
 
 
 
 

2015年9月26日土曜日

俳句集団【itak】第21回句会評③ (橋本喜夫)


俳句集団【itak】第21回句会評③

  
2015年9月12日


橋本喜夫(雪華、銀化)
 

 踊子の指先闇に絡まりぬ      栗山 麻衣

踊りの句はいろいろあるが、闇に焦点を当てたり、踊りの輪が広がったり、一人が踊りの輪から抜けていくとか、中原道夫の句のように踊りそのものの動作を活写したりさまざまな読み方があるが、踊り子の指先と闇を併せた句はあまりないのでは と思う。この二つの素材を連結した「絡まりぬ」が絶妙の措辞である。
 

 晩熟な人の初恋秋の暮れ      只津 心丈

「晩熟」と書くとなにかたいそうな感じがするが、要するに早熟の反対なので、いわゆる「おくて」の人だろう。恥ずかしがり屋で、異性に対する目覚めが遅かったひとがやっと初恋をした。そんな事実というか事象だけを取り出して、俳句に持ってきた。おそらく中七だけでその目的は達しているような俳句。それにスーパー季語である「秋の暮」をつけた。最近、仁平勝の評論「秋の暮論」を再読したが、「秋の暮れ」 という季語は俳句の脆弱さと、深淵さを兼ね備えた不思議な季語である。なんにでもつけるとそれなりの俳句になってしまう。だから秋の暮は難しい。「秋の暮論」読んでみて下さい。ご希望あれば貸出ますよ。


 虫の闇回送列車溶けてゆく     大原 智也

虫の闇のなか、一日の疲れを癒すかのように回送列車が車庫に帰ってゆく。そんな景を「溶けてゆく」と詠んだ。回送列車を素材とした着眼点がまずよい。この句を採った人はそれだけで採ったかもしれない。採れなかった人はおそらく「溶けてゆく」だろう。ここは意見が分かれるかもしれない。この措辞にポエジーを感じれば採ればよいし、この措辞が残念だと思えば採らなければよい。私はもっと良い措辞があると思う。回送列車+虫の闇がとてもよいだけに・・・。


 新藁の力の匂ひ土俵際       斉藤 嫩子

素材が珍しい。いまどき相撲を句にすることも嬉しい限りだ。土俵俵に使用している新藁の匂いを、力士が土俵際で踏ん張ることを想像して、「力の匂ひ」としたことに手柄がある句である。「新藁」は秋の季語だし、「相撲」も秋の季語、季を合わせて詠んでいるところも気が利いている。


 右の目が痙攣していた菊人形  福井たんぽぽ

オカルト俳句かも。右の眼と限定したのもいい。菊人形を見ている人間の右目が痙攣しているのか、菊人形の目が痙攣しているのか、どちらにでも取れる。問題はわざわざ「中八」にする必要があるのか?だけ。「痙攣してた」でもいいのではと私は思う。
 
(つづく)


 

2015年9月24日木曜日

俳句集団【itak】第21回句会評② (橋本喜夫)


俳句集団【itak】第21回句会評②

  
2015年9月12日


橋本喜夫(雪華、銀化)
 
 
 
 
 井の中にきちかう落ちること速し   堀下  翔

さーっと読んでゆくと老成した句。客観写生の句。ととれるだろう。「若さがない」と言われかねない。しかしながら、この句のコアは「速し」である。井戸の暗闇のなかに、桔梗の花びら、おそらく「夕暮れのようなむらさき色」が落ちてゆく。それも「速し」ということで逆にストップモーション、あるいはスローモーションのようにいろいろな角度を見せながら暗闇の中にゆつくりと落ちて行くのである。彼の最近の傾向としては「新しき客観写生」を目指しているのであろうと推察する。「桐一葉日あたりながら落ちにけり 虚子」「雁も舟も海峡わたるとき迅し 石原八束」などの先人の作品に新しい何かを付け加えたいのであろう。

 

 ごみ箱は透明空き缶と秋思と    古川かず江


私は「人」で頂いた。ゴミ箱が透明だと何かよいことがあろうか。そうゴミの選別がよりわかりやすい。缶や瓶の専用ゴミ箱であれば入れる人がすぐにそれとわかる。外から見てそれを守っていない人がいることも一目瞭然である。透明なゴミ箱の空き缶専用のところに、まちがってペットボトルを入れたとしよう、すこし心が痛むのではないか。春愁も秋思もそんなものかもしれない。「澄む」ということ、「透ける=透明」ということが必ずしも「爽やか」だけに繋がらないのだ。



 パンストのパンより秋の深まりぬ  青山 酔鳴

「たんぽぽのぽぽのあたり」 は「ぽぽ」という響きと、火事(火が点く)とがどこかで関連ある感じがするのだが、この句の場合は、パンストのパンはパンテイーの部分だし、ストはストッキングの部分のような感じがする(どうでもよいのだが)。つまりパンテイをつけたあたりの「あそこ」の秋が深まる的な、少し意味深な内容にもとれる。考えすぎか。


 パレットに一色残し夏了る      天野 浩美

既視感がないわけではないが、気持ちの良い作りにはなっている。秋の海の青色が一色パレットに残っているのか。いずれにしても「夏了る」の季語がそんな夏の終わりをつげるような鮮烈な青を彷彿させる。


(つづく)


 

2015年9月22日火曜日

俳句集団【itak】第21回句会評① (橋本喜夫)


俳句集団【itak】第21回句会評①

  
2015年9月12日


橋本喜夫(雪華、銀化)
 
 
今月もお鉢が回ってきたので、役目を果たすこととする。遅ればせながら俳句甲子園での旭川東高校の準優勝を讃えたい。栄光の影には必ず顧問の先生のご努力があるわけで、今回で定年と聞いている。先生長い間ご苦労様でした。いつだったか、強豪開成高校を破った松山東高校の顧問の先生が男泣きするのを見たことがある。いつか転任先の高校生を引連れて松山で活躍し、男泣きする「〇ジカル佐藤先生」を見てみたいなと勝手に夢想している。さて今回も早速佳句を拾ってゆこう。


 飴玉を噛めば崩るる星月夜     三品 吏紀

飴玉とか喉飴とか意外に俳句になりやすく、よく見るネタではあるが、舐めて溶けるのではなく、崩れるの措辞がよい。崩れる となると雲の峰などの安直な季語を選びそうなところを持ちこたえて、星月夜と「ほどよく飛ばした」のも佳し。「星月夜が崩れる」といった想定外の連想が浮かんで意外に詩的である。


   ヘイ     タクシー
 Hey Taxi 昔の秋に乗せてって  酒井おかわり

岡井隆の短歌など、短歌では英語、英文は成功するが、俳句は難しい。せいぜい鷹羽狩行のOH 程度か。加藤楸邨も英文使っていたが代表句にはなりえない。掲句はその中では健闘していると思う。タクシーをとめて、「どこまで」「私が倖せだったころの、あのころの秋まで乗せてって」。なんか短編小説みたいでいいのでは。


 古書店の奥に河童の棲むところ   ふじもりよしと

一番人気の句。採ったひとたちも、無季であることは気づいていたはず。私の選句評にも〇が点いていた。「戦争が廊下の奥に立っていた」 ではないが、無季句で成功するには「戦争」のようなそれに代わる詩語が必要。この句は「河童」であろう。河童は季語でなくても読者にとってある程度共通のコンテクストというか、詩的共感を持っているのであろう。古書店の奥の薄暗さ、黴臭さもまさに最高のスチュエーションであろう。無季句に点が集まるということは、さすがに現代俳句協会的な俳人が多いイタックならでは(皮肉ではなく褒めています)。これが◎人協会系や、伝統◎句協会系なら一点も入らないということになろう(これは皮肉)。


 君の手に君の皺ある林檎かな    鈴木 牛後
 
林檎を誰かから誰かに手渡すという行為は、ただの動作だけでなく、林檎のもつ詩的イメージもあるから、ただの動作だけでない。たとえば青春俳句の匂いもするし、相聞の匂いもする。しかも「君」のレフレイン。愛する君に林檎を手渡した時、その掌にはそれなりに皺が刻みこまれていた。それは時間という皺かもしれぬ。中高年の夫婦愛としても、感謝の気持ちも籠っていてそれなりに共感が得られる仕立てになっている。私も「地」で頂いた。さすがの作品だ。


 ほどほどの出世諦め菊の酒      高畠 霊人

ある年齢を迎えると仕事人としては先が見えるようになってくる。先が見えればその目標にさらに突き進むひとと、先が見えるので「はっちゃきこいてもしょうがないな」という諦念に似た感覚もできる。これはサボるわけではなく、手を抜くわけでもない。価値観を多様にしようという熟年の知恵でもある。掲句は「ほどほどの出世」を成し遂げているひとだからこそ詠める句ともいえる。これが超出世したひとであれば嫌みに聞こえるし、まったくあさっての社会的にはアウトローだと、負け犬の遠吠えになる。「菊の酒」が季語としてほどよく座っている。
 

(つづく)


 

2015年9月20日日曜日

第21回句会 投句選句一覧④


※作者・投句一覧が空欄のものは 掲載の許可がなかったものです






#投句・選句一覧


 

第21回句会 投句選句一覧③


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#投句・選句一覧


 

第21回句会 投句選句一覧②


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第21回句会 投句選句一覧①


※作者・投句一覧が空欄のものは 掲載の許可がなかったものです




#投句・選句一覧


 

【第21回人気五句披講】


俳句集団【itak】です。
 
いつもご高覧頂きありがとうございます。
先日公開しました第21回句会【人気五句】の披講をいたします。
三句選で、天=3点、地=2点、人=1点の配点方式、( )内は配点です。
横書きにてご容赦くださいませ。

古書店の奥に河童の棲むところ   ふじもりよしと(23)
踊子の指先闇に絡まりぬ       栗山 麻衣 (21)
桃すする血は濃淡をくりかへす    橋本 喜夫 (11)
若さとは音立て林檎丸かじり     吉村 佳峰 (11)
パレットに一色残し夏了る       天野 浩美 (10)

以上です。ご鑑賞ありがとうございました。


なお、3位は同点2句でした当日の参加者数は49名、98句の出句、50名の選句となりました。引き続き投句選句一覧をご報告します。
ご高覧下さいませ。


 

2015年9月18日金曜日

俳句集団【itak】第21回イベントを終えて


俳句集団【itak】第21回イベントを終えて

『 鴨々川ノスタルジアってなあに? 』

~自由で自主的な「鴨ノス」と【itak】~
 
五十嵐秀彦
 


 
 
 
俳句集団【itak】は相変わらずみなさんのご支援に支えられ快調にイベントを続けることができています。
 
9月12日の第21回イベントも、第1部トークショーに58名、第2部句会に49名、懇親会24名参加と、盛会となりました。
 
新しく参加された方も多数いらっしゃって、このitakという文芸運動の特異性というか、流動性は失われていないと感じております。
 
 
イベント冒頭で、うれしい知らせをすることができました。
 
・瀬戸優理子さんの第33回現代俳句新人賞の受賞。
 
・俳句甲子園全国大会で、北海道代表の旭川東高が準優勝の快挙。
 
・俳句甲子園北海道大会で、琴似工業高の村上海斗さんの最優秀句受賞。
 
・旭川東高OB堀下翔さんがNHK学生俳句チャンピオンとなったこと(堀下さんは今回のイベントに参加してくれました)。
 
俳句集団【itak】の仲間たちの大活躍に胸がすく思いです。
 
 
さて、第1部企画は「鴨々川ノスタルジアってなあに?」というタイトルのトークショーで、ギャラリー鴨々堂女将・石川圭子さん、歌人・山田航さん、寿郎社代表・土肥寿郎さんの三人がすすきのを流れる小さな川、鴨々川周辺の歴史や街おこしイベントのことなどを自由に語ってくれました。
 
すすきのは全国有数の歓楽街ではありますが、同時に大きな寺が多く散在し、寺町というあまり知られざる顔も持っています。そもそもは寺町から始まったすすきの。寺町と花街や歓楽街との切っても切れない関係をうかがわせる話や、鴨々染めのこと、あるいは札幌と京都との比較など、意表を衝かれる内容のトークショーで参加者みなさん興味深そうに耳を傾けていました。
 
さらに、すすきのの俳人・八木一紅女の人物と作品を歌人・山田航さんが解説。一紅女という俳人はもう知る人もほとんどなく、航さんが発掘したと言ってもいいぐらいなのではないでしょうか。
 
 
  人の世を踊りつくして蝶々かな      八木一紅女
 
 
「鴨々川ノスタルジア」は、寿郎社から「Bocket」というムックになって出版されており、近日中に第2号が出版される予定。それも楽しみです。
 
 
 
第2部句会は、リッキー(三品吏紀)と牛後さんの名コンビによる進行。 【itak】らしい多種多様な俳句を参加者全員で愉しむことができました。句会作品については今後、公式サイトで順次発表してまいります。
 
 
 
次回第22回イベントは11月14日(土)。
第1部企画で、出版社亜璃西社代表でエッセイストの和田由美さんが登場します。
 
トークショー『いま、狸小路がおもしろい!』
 
札幌の名所のひとつでもあり、最近では外国人旅行者が目立つアーケード街ですが、経営者も代替わりを重ね曲がり角を迎えている老舗商店街の興味深いエピソードが聞けることと思います。
 
鴨々川のあとは狸小路。
たまたまですが、一対の札幌探訪企画となります。
ぜひご参加ください。
 
次回イベント後の懇親会は少し早めの忘年会と、瀬戸優理子さんの現代俳句新人賞受賞祝賀会となります。こちらもお楽しみに。
 
ではまた11月にお会いしましょう!


『鴨々川ノスタルジア』は来る10/2(金)~4(土)の3日間、鴨々川流域、すすきのの各所に於いて様々なイベントを予定しています。
また9/2からはイベントに先立って、『中島公園・すすきの 名所を巡るガイドツアー』も開催されています。
お申込み、開催スケジュールのご確認は以下をご確認ください。

 
鴨々川ノスタルジア http://kamokamogawa-nostalgia.net/

※公式ムック『Bocket2』は9/24(木)から発売です。
書店、コンビニエンスストアでお買い求め頂けます。

お問い合わせは寿郎社 http://www.jurousha.com/ まで。

 



 

2015年9月13日日曜日

第21回俳句集団【itak】イベントは無事終了しました



土曜日は俳句集団【itak】の第21回イベントにお越しいただきまして誠にありがとうございました。
古民家ギャラリー鴨々堂女将・石川圭子さん、歌人・山田 航さん、寿郎社・土肥寿郎さんによるゆるゆるトークショー『 鴨々川ノスタルジーってなあに? 』はいかがでしたでしょうか。どうぞご感想などをお寄せ下さいませ。
今回も58名のみなさんにご参加いただき、盛会となりました。
幹事一同深く感謝いたします。

第一部の抄録については改めてこのブログにてご報告させていただきたいと思います。

また、「句会評」「人気五句」「読む」企画などを随時アップの予定です。只今皆さんの原稿を鋭意募集中です(ごめんなさい、原稿料はありません)。 

itak】のブログは参加されたみなさんの発表の場でもあります。記事についてのコメントやツイッター等での評を頂けますと大変に励みになります。また、みなさまの作品もお寄せください。既発表作でも構いません。エッセイ、回文、短歌、どんなジャンルでも結構です。どうぞよろしくお願いします。

次回は11月14日(土)13:00から、北海道立文学館・地下講堂にて開催の予定となっております。エッセイストの和田由美さん(亜璃西社)をお迎えし、『いま、狸小路がおもしろい!』と題したトークショーをご準備しました。北海道新聞などのコラムの連載をみなさんもごらんになったことがおありでしょう。広い視野で狭い地域を深く掘り下げた様々なお話を楽しんでいただきたいと思っています。
 
年内最後のイベントとなります。是非ともご予定を繰り合わせていただき、みなさまお誘いあわせのうえイベント・句会にご参加くださいませ。

詳細はメール・ブログ・Facebook・ツイッターなどで改めてご案内させていただきます。
以下のメールアドレスに随時お問合せくださいませ。 



本日のところは取り急ぎの御礼まで。
今後とも俳句集団【itak】をどうぞよろしくお願いいたします。



俳句集団【itak】幹事一同

2015年9月10日木曜日

俳句集団【itak】第21回 ゆるゆるトークショー・句会は明後日です!


俳句集団【itak】事務局です。
お盆を過ぎてよりあっという間に秋になってしまいました。
本年も秋だけは通常進行です。

さて第21回イベント、ゆるゆるトークショー・句会はいよいよ明後日となりました。どなたでもご参加いただけます。当日参加も大歓迎です!お誘いあわせの上、どうぞお気軽にお越しくださいませ。
天気予報はいまのところ雨のち曇り、降水確率60%です。
自販機がありませんのでお飲み物などはお持ちくださいませ。

◆日時:平成27年9月12日(土)13時00分~16時50分
◆場所:「北海道立文学館」 講堂
     札幌市中央区中島公園1番4号
     TEL:011-511-7655


■プログラム■

 第一部 ゆるゆるトークショー

 『鴨々川ノスタルジアってなあに?』
 お話 鴨々堂女将・石川圭子×歌人・山田 航×寿郎社・土肥寿郎

 第二部 句会(当季雑詠2句出句)

 <参加料>
 一   般  500円
 高校生以下  無  料

(但し引率の大人の方は500円を頂きます)


※出来る限り、釣り銭の無いようお願い致します。
投句の締切は当日13:00です。
天候や交通状況で間に合わない場合等は、13:00までに
  itakhaiku@gmail.com 宛にご投句ください。

 
北海道立文学館へのアクセス ※地下鉄南北線「中島公園」駅(出口3番)下車徒歩6分
※北海道立文学館最寄の「中島公園」駅3番出口をご利用の際には


①真駒内駅方面行き電車にお乗りの方は進行方向先頭部の車両
②麻生駅方面行き電車にお 乗りの方は進行方向最後尾の車両にお乗りいただくと便利です。

 

大きな地図で見る

2015年9月8日火曜日

みんなして行ってきたんにゃ Haiku Bar @太郎吉蔵 20150905 


どうも。野良猫です。
昨年に引き続き開催されましたHaikuBarに行ってきましたよ。今年のお酒はなぁに(そればっか)かな?

去年とは会場が変わって、太郎吉蔵という酒蔵の石造を改造したイベントスペースでの開催でした。文学を語るににふさわしい美しさ。10日ほど前には投句数も少なくて~といった噂も聞こえてきましたが、蓋を開ければ会場はほぼ満員、投句も揃っておりました。

今回のお題は「水澄む」。会費に織り込み済みのワンドリンク(砂川彗星)を頂いて、ゆるゆると選句作業。3句選に結構悩む。9割方「水澄**」で始まってるんだもん・・・。

ともあれ定刻18時にサクッと開店(Barだから!)。
演者は舞台裏手の開口部をガーッっと開けての登場。場内どよめきいい感じでスタートしました。まずは壇上3人の選を5句、そのあと会場の選句を披きました。
 全体に選がばらけて、「水澄む」の手ごわさを認識しました。同行の月岡夫人、わたくし野良猫の句が堀本・山田の各氏並選に、【itak】参加者の熊さんの句が会場5位に入っていました。

 

会場一位
  憂きことのいつしかうすれ水澄めり 小笠原和子

山田賞
 水澄みて母郷の佐渡を一巡り     児玉 佳恵

堀本賞・月岡賞
 
 水澄みて然別湖に星つどふ      松野 育子
 

表彰式では各氏賞と会場1位から5位までが順に表彰されて、秋の夜の句会は終わったのでした。出演者のみなさん、スタッフのみなさん、楽しい夜をありがとうございました。お友達も数名来場されており、楽しい時間を過ごしました。
また来秋、滝川のHaikuBarでお酒を楽しめますように! そして今年もまた白木屋で締めましたことを申し添えまして「 Haiku Bar @太郎吉蔵」のレポートを終わりたいと思います。にゃー!(←今年もまた猫キャラ忘れてたよ!




 
< Haiku Barメモ>
■日時 9月5日(土)18時開演21時前終演

■場所 たきかわホール

■出演

ゲスト 歌人 山田航さん

ホスト 俳人 堀本裕樹さん
司 会  歌人 月岡道晴さん


■兼題 「水澄む」

一位 「憂きことのいつしかうすれ水澄めり」  小笠原和子さん
二位 「ひとを恋う水澄む夜の一人食み」    わたなべさん
二位 「水澄みて然別湖に星つどふ」      松野育子さん
二位 「水澄みて一期一会の法話聞く」     あべとしおさん
五位 「水澄んでなほ不埒なる地を流る」    熊谷陽一さん

■参加総数 約60名(スタッフさん除く) 投句36句

■お酒ライナップ 砂川彗星(新十津川)
           風の森無濾過生原酒(奈良)
           村尾(鹿児島)
           鶴沼ワイン白・赤(浦臼)
           スーパードライ
           自家製ジンジャーエール
           ウーロン茶/オレンジジュース




2015年9月6日日曜日

『かほるんが読む』~第20回の句会から~ (最終回)


『 かほるんが読む 』 (最終回)
 
~第6回の句会から~

小 笠 原  か ほ る


 
 とりどりの尻の器量や田植えうた    増田 植歌
 
目の前に、どーーーんと景が見えてくる一句。
きっと人気の句だったのではないかな。
とりどりの尻は皆、それぞれの母と同じ器量なのだろうな。
田植えも尻の器量も受け継がれていくのだ。
 
 
 敷藁に尻うつくしき西瓜かな       草刈勢以子
 
夏に食べる西瓜なのに「西瓜」だけだと秋の季語になるのも
季語の不思議だ。またまた「尻」を詠まれた一句ですが
西瓜の尻の丸みにはかなわない。そうだ!みなさんもご存じかと思いますが
西瓜の尻のポチっとが小さければ小さいほど美味しいってこと。
なので西瓜を買う時は次々とひっくり返して一番小さいポチっのに決めます。
今のところハズレはないです!
 
 
 生きをればあり舌頭も白桃も      井上 康秋
 
本当にそうだなと思う一句。
白桃の旨さを味わえる、生の実感。
が、角度を変えて読むと、どこか少しエロチックな感じがするのは
私がそうだから?か。むうう・・・。
作者は熟年の男性かな?と思って読んでいるので偏見になってしまっていたら
失礼をお許し下さい。
 
 
 遠く遠く鉄塔は陽炎の中         山田   航
 
この一句の「陽炎」も春の季語なのだけれどメラメラとした夏にも
当てはまる光景かと思い選んだ。
そして秘かに鉄塔が好きなのも理由の一つ。
詳しい訳ではないが男鉄塔と女鉄塔があり、形が違うんです。
電車で出かける時やお墓参りで山奥に行く時は、ぼけーーっと
遠くまでずーっと繋がっている鉄塔を見るのが好きなだけです。
 
 
 大広間二つつなげて夏料理       久才 透子
 
大広間を二つつなげるだけでも夏の感じが伝わる一句。
そこにどどーんと運ばれてくる夏料理。
他の季節ではピンとこないかもしれない。
ワイワイガヤガヤと楽しい声が聞こえてくるようだ。
 
 
以上で小笠原かほるの妄想入り読む企画を終了させていただきます
勉強不足、知識不足丸出しで、すみません。
それでも暫くぶりに参加されたみなさまの俳句と向き合う事で楽しむ事ができました。
では、みなさまありがとうございました。
 
 
(了)
 
 

2015年9月4日金曜日

『かほるんが読む』~第20回の句会から~ (その3)


『 かほるんが読む 』 (その3)
 
~第6回の句会から~

小 笠 原  か ほ る


 つくづくと憂国論と蟹のみそ    ふじもりよしと
 
「つくづく」が中七と下五に絶妙な言葉となっている。
一人一人が国の行方を案じて熱く話をしている現状。
だが深刻に話しながらも蟹みその旨さにも集中している現状。
そういえば中島みゆきの「僕たちの将来」という
歌詞に憂国論ではないのだが倦怠期を迎えたカップルが24時間レストランで
パスタとステーキを食べる事に集中しながらも互いに先の見えない話をしているという
スローバラードがある。双方、脳内の様々な分野が活発に活動している事には違いない。
 
 
 白百合の一輪ほどく目覚めかな  中田真知子
 
たった一輪でも今、咲きました!と強い香りを放ち宣言する百合。
鼻先に香りを感じた作者には、それが目覚ましとなったのだろう。
よい目覚め。(あまりにも強い香り故に嫌う方もいるようですが)
 
 
 半夏生メンタリストの思ふまま   佐々木悦子
 
気候に体調が追いつかず、気怠い時期でもあるので、もわっとした
気分になりやすいかもしれない。けれども、だからこそメンタリストの思うままには
決してならんぞ!と強い気持ちを持っていたいと思うのが理想だ。
メンタリストをさらりと質問攻めにする様な位の気持ち。
あくまでも理想。
 
 
 ほととぎす座薬しづかに沈めゆく  五十嵐秀彦
 
昼夜問わず鳴くほととぎすと座薬の取り合わせは不思議だけれど面白い。
一昼夜、体調が思わしくなく座薬を使われたのか、それとも
座薬を沈めている最中に、ほととぎすの鳴き声が聞こえたのだろうか。
多分、健康そうに見えるけれど、実際はそうでもない方なのではと思うので
お大事にしてほしいと願う。そうそう、座薬はしづかに沈めなくては!
 
 
 日曜のカップ焼きそば夏来る     鍛冶 美波
 
カップ焼きそばといえば北海道では「焼きそば弁当」というカップ麺が
定番なのだが、どこが弁当なのか?と都会の従弟に問われた事がある。
スープになる粉末が付いているからかな~と答えたのだけれど、自信はない。
「日曜の」と限定されて詠まれたカップ焼きそば。
平日の疲れがどっときて、おまけに暑くて何もする気がないという事なのかな。


 (最終回につづく)

 

2015年9月2日水曜日

『かほるんが読む』~第20回の句会から~ (その2)


『 かほるんが読む 』 (その2)
 
~第6回の句会から~

小 笠 原  か ほ る

 
 つばめつばめどこかに古城ありさうな   久保田哲子
 
ふいに見上げた空につばめが。
「つばめじゃない?つばめだー!」と指をさして行方をみている景を
追って行くと日常の空間から異空間に連れていってくれそうな一瞬
を感じる。
 
 
 アンニュイつて死語ですかまくなぎくぐり 五十嵐秀彦
 
何だか面白い一句。そう言われてみると近頃「アンニュイ」は使われていないから
久しぶりに聞く言葉だ。ん、、、死語かも。けれども
アンニュイ感たっぷりな女性がポンっと浮かんだ。
女優の桃井かおりさんだ。好きな女優さんの一人。
妄想は止まらない・・桃井かおりさんが独特な口調で、しつこいまくなぎを
掃っている場面。聞こえてくるはずのない声が、、、聞こえているのは私だけ?
 
 
 ジーンズの裾折るたびに南吹く      籬   朱子
 
いかにも夏らしい一句。
けれども、よくよく考えてみるとジーンズは決して涼しい素材ではないのに
なんのためらいもなく夏も穿くが違和感はない。
色味のせいなのだろうか。
ただそれでも足元を軽くして風を遊ばせるのが心地いい夏。
 
 
 付け爪の気付かれたくて夏帽子      高橋ヨウ子 
 
柔らかな素材で鍔の大きな夏帽子なのだろうか。
女性らしい指の動きが綺麗なのだろうな。
私は、かなり深爪じゃないと指先が落ち着かないので付け爪をする事は
まずないだろうな。色気もなーんにもないので素敵な女性を見かけると
「おおーー」と心の中で一瞬、男子のように叫んで感動しているだけ。
 
 
 はんざきの両手に余す自尊心       北島 和奘
 
生のかたちを選ぶ事は誰にもできない事なのだけれど
立派な、はんざきに生まれ身に着いた習性でハタハタと泳いでいるが
両生類か、、本当は、違うんだよなとぼやいているのかもしれない。 
 
 
(その3につづく)