2015年9月4日金曜日

『かほるんが読む』~第20回の句会から~ (その3)


『 かほるんが読む 』 (その3)
 
~第6回の句会から~

小 笠 原  か ほ る


 つくづくと憂国論と蟹のみそ    ふじもりよしと
 
「つくづく」が中七と下五に絶妙な言葉となっている。
一人一人が国の行方を案じて熱く話をしている現状。
だが深刻に話しながらも蟹みその旨さにも集中している現状。
そういえば中島みゆきの「僕たちの将来」という
歌詞に憂国論ではないのだが倦怠期を迎えたカップルが24時間レストランで
パスタとステーキを食べる事に集中しながらも互いに先の見えない話をしているという
スローバラードがある。双方、脳内の様々な分野が活発に活動している事には違いない。
 
 
 白百合の一輪ほどく目覚めかな  中田真知子
 
たった一輪でも今、咲きました!と強い香りを放ち宣言する百合。
鼻先に香りを感じた作者には、それが目覚ましとなったのだろう。
よい目覚め。(あまりにも強い香り故に嫌う方もいるようですが)
 
 
 半夏生メンタリストの思ふまま   佐々木悦子
 
気候に体調が追いつかず、気怠い時期でもあるので、もわっとした
気分になりやすいかもしれない。けれども、だからこそメンタリストの思うままには
決してならんぞ!と強い気持ちを持っていたいと思うのが理想だ。
メンタリストをさらりと質問攻めにする様な位の気持ち。
あくまでも理想。
 
 
 ほととぎす座薬しづかに沈めゆく  五十嵐秀彦
 
昼夜問わず鳴くほととぎすと座薬の取り合わせは不思議だけれど面白い。
一昼夜、体調が思わしくなく座薬を使われたのか、それとも
座薬を沈めている最中に、ほととぎすの鳴き声が聞こえたのだろうか。
多分、健康そうに見えるけれど、実際はそうでもない方なのではと思うので
お大事にしてほしいと願う。そうそう、座薬はしづかに沈めなくては!
 
 
 日曜のカップ焼きそば夏来る     鍛冶 美波
 
カップ焼きそばといえば北海道では「焼きそば弁当」というカップ麺が
定番なのだが、どこが弁当なのか?と都会の従弟に問われた事がある。
スープになる粉末が付いているからかな~と答えたのだけれど、自信はない。
「日曜の」と限定されて詠まれたカップ焼きそば。
平日の疲れがどっときて、おまけに暑くて何もする気がないという事なのかな。


 (最終回につづく)

 

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