2016年7月30日土曜日

俳句集団【itak】第26回句会評① (橋本喜夫)

俳句集団【itak】第26回句会評①

  2016年7月9日
 
橋本喜夫(雪華、銀化)
 
 
今回も50人弱ということで、めでたし。一部の恋句トークショーに対するオマージュなのか、恋の句が多かったのもうれしい句会でした。主宰業なんてやると、俳句ばっかりみてるうちにハイクドランカーのようになってしまい、どんな句にも打たれ弱くなってしまうみたい。だからたくさん採ってしまうかも。それではさっそく。
 
 
 黒南風に詰め放題の不幸かな    室谷安早子
 
一読黒南風をあたかもダストボックス、ポリ袋のように比喩的に用いて、詠嘆している「不幸」がかなめの作品である。とはいっても諧謔があって、暗い句ではない。梅雨時の暗鬱な南風が巨大な袋であるならば、たしかに不幸は詰め放題であろう。折しも、大地震で地盤が緩んだ後に、信じられない大雨、長雨を食らっている地域があるのは言うまでもない。
 
 
 ひとり居のとろりざらりと水ようかん  栗山 麻衣
 
中七のオノマトペがコアの作品。はじめの「とろり」は上五の「ひとり」と呼応して、音調が良い。「ざらり」は存在感があり、たとえ一人でも「ここに在り」という作者の気概みたいなものが読み取れる。そして水ようかんで舌ざわりが「ざらり」と来るやつが確かにある。前半は口承性を、後半はリアルさを呼び覚ますオノマトペである。
 
 
 噴水は働いてるぜコカコーラ     酒井おかわり
 
まず座五のコカコーラがあたかも季語であるかのように座りがよい。逆に噴水という季語が365日あくせく働いている人間たちをメタファーしているかのように使用されている。またコカコーラをよく振ったあとに栓を抜いた時の吹き上げる感覚と噴水がアナロジーでつながっている。「働いてるぜ」の口語調がトイストリーのウッデイーのセリフのようで、十分機能している。
 


 仲直りして薄味の豆ごはん       高畠 葉子
 
中七の薄味を 「健康を考えている愛情」と取った読者もいるようだが、やはりここはニヒルに取った方がいいだろう。仲直りしたばっかりだけど、旦那に出した豆ごはんはいつも通り(?)に薄味で、味気ないものだった と読む。ここに微妙な夫婦生活が見え隠れするし、かといって不幸な家庭や火宅では「豆ごはん」は似合わない。

 

第26回句会評の公開は今夜から!


俳句集団【itak】事務局です。

遅れておりました『第26回句会評』は明日から公開します。
楽しみになさっていた方々、お待たせして申し訳ありません。

第26回俳句集団【itak】の句会には今回82句が投句されました。
前回同様、ネット掲載の許可を頂いたもののみを対象といたします。
掲載句に対して、あるいは評に対してのコメントもお待ちしております。
公開は今夜7月30日(土)18時からです。ご高覧下さいませ。

2016年7月18日月曜日

第26回句会 投句選句一覧④


※作者・投句一覧が空欄のものは 掲載の許可がなかったものです





#投句・選句一覧 

第26回句会 投句選句一覧③


※作者・投句一覧が空欄のものは 掲載の許可がなかったものです





#投句・選句一覧 

第26回句会 投句選句一覧②


※作者・投句一覧が空欄のものは 掲載の許可がなかったものです





#投句・選句一覧 

第26回句会 投句選句一覧①


※作者・投句一覧が空欄のものは 掲載の許可がなかったものです






#投句・選句一覧 

【第26回人気五句披講】


俳句集団【itak】です。
 
いつもご高覧頂きありがとうございます。
先日公開しました第26回句会【人気五句】の披講をいたします。
三句選で、天=3点、地=2点、人=1点の配点方式、( )内は配点です。
横書きにてご容赦くださいませ。


刃先より鱗飛び散る大暑かな        遠藤ゆき子 (18)
仲直りして薄味の豆ごはん          高畠 葉子(16)
噴水はフォルテ告白するは今        松原 美幸 (15)
先のこと考えられぬ桃を剥く         室谷安早子 (14)
木下闇三毛猫以外全部親戚        高畠 霊人 (12)

以上です。ご鑑賞ありがとうございました。

当日の句会参加者数は41名、82句の出句となりました。
また、選句のみの方は2名、句会見学者が2名でしたです

大勢のご参加を頂き、誠にありがとうございました。
引き続き投句選句一覧をご報告します。
ご高覧下さいませ。


 

2016年7月16日土曜日

人気五句@第26回俳句集団【itak】句会・20160709


俳句集団【itak】第26回イベントを終えて


俳句集団【itak】第26回イベントを終えて
 
『 男の恋句・女の恋句 』
 
~俳句で恋は詠えるのか?~

五十嵐秀彦



 
 
俳句集団【itak】のイベントもおかげ様で26回を数えるまでになりました。
句会だけで終わるのではなく、さまざまの分野の「達人」たちの話を聞くことで、それを日ごろの創作活動の糧にしてもらおうと、私たちは毎回講演やシンポジウム、トークショーなど続けてきております。


今回の企画は【itak】幹事の高畠葉子さんの立案で「恋の俳句」をテーマとし気鋭の俳人たちに語り合ってもらおうという趣向で、「男の恋句・女の恋句」と銘打ったトークショーといたしました。
過去に俳句界賞や鮫島賞などを受賞し最近では結社「雪華」の主宰を継承した屈指の実力派俳人橋本喜夫さんと、昨年現代俳句新人賞を受賞し道内外俳壇の話題をさらった瀬戸優理子さん、そして企画仕掛人の高畠葉子さんの三人が古今の恋の句について縦横に語ってくれました。


短歌の世界では「恋」は一般的なモチーフのようですが、同じ短詩型ながら俳句では恋を詠うことをタブーとまでは言わないものの、どちらかと言えば避けたほうが無難だよ(無難ってなんだよ!?)というモチーフであろうかと思います。

理由としては、そもそも俳句は主観の吐露を嫌う詩型だということが指摘できるでしょう。そして「恋」ほど主観的な感情はありません。
それが恋の俳句をむずかしくしているのだろうと思います。


ところがそのことにあえて注目し俳句の世界をあらためて見渡すと、避けるべきテーマなどはどこ吹く風とばかりに恋句を詠んだ作家たちがいるのです。
そこにはプラトニックなものもあれば性愛もあり、若々しい恋もあれば老いの句もある。それを3人の出演者が例句を挙げながら、それぞれ独自の視点で語った今回のトークショーはとても面白いものとなりました。

近々に抄録をアップいたしますのでご期待ください。

当日の参加者は50名、続く句会の参加者は45名でした。
今回の「恋句」というテーマへの挨拶句なのか句会には恋の句がズラリ!
そんな参加者の粋な思いも伝わって、楽しい句会となりました。


さて、次回は9月10日(土)13時からです。
第1部企画は【itak】幹事の松王かをりさんの文法講座「知って得する! 俳句の文語文法」です。
わかっているようで案外わかっていない、あるいはわらないようでやっぱりわからない、そんな文語文法を俳人で予備校現役教師の松王かをりさんが、やさしくはんなりと教えてくれます。

またまた俳人必聴の講演会、ぜひご参加ください。


※このあと19時より人気五句も公開いたします!

2016年7月11日月曜日

第26回俳句集団【itak】イベントは無事終了いたしました


土曜日は俳句集団【itak】の第26回イベントにお越しいただきまして誠にありがとうございました。
トークショー『男の恋句・女の恋句』はいかがでしたでしょうか。どうぞご感想などをお寄せ下さいませ。
今回は50名のみなさんにご参加いただきました。

第一部の抄録については改めてこのブログにてご報告させていただきたいと思います。

また、「句会評」「人気五句」「読む」企画などを随時アップの予定です。只今皆さんの原稿を鋭意募集中です(ごめんなさい、原稿料はありません)。 

itak】のブログは参加されたみなさんの発表の場でもあります。記事についてのコメントやツイッター等での評を頂けますと大変に励みになります。また、みなさまの作品もお寄せください。既発表作でも構いません。エッセイ、回文、短歌、どんなジャンルでも結構です。どうぞよろしくお願いします。

次回は9月10日(土)13:00から、北海道立文学館・地下講堂にて開催の予定となっております。
第一部の企画は当会幹事・松王かをりさんにによる文法講座『 知って得する!俳句の文語文法 』です。
みなさまお誘いあわせのうえご参加くださいませ。

詳細はメール・ブログ・Facebook・ツイッターなどで改めてご案内させていただきます。
以下のメールアドレスに随時お問合せくださいませ。 
 



本日のところは取り急ぎの御礼まで。
今後とも俳句集団【itak】をどうぞよろしくお願いいたします。



俳句集団【itak】幹事一同

2016年7月7日木曜日

俳句集団【itak】第26回イベントは明後日です!

俳句集団【itak】事務局です。

夏至も過ぎ、ビールの旨い季節となりました。
第26回イベントは明後日です。どなたでもご参加いただけます。
当日参加も大歓迎です!お誘いあわせの上、どうぞお気軽にお越しくださいませ。

天気予報はいまのところ晴のち曇、最高気温26℃、降水確率30%です。
体温調節のできる服装でお越しください。

また館内に自販機がありませんのでお飲み物などはお持ちください。  
 






ウィットに富むトークが人気の「やぶすくしハッシー」こと橋本喜夫、気鋭の歌人にして回文やことばあそびの達人である山田航、2015年現代俳句協会新人賞受賞の瀬戸優理子が、男の目線・女の目線から語り合う十七文字の恋愛模様。あえて「恋愛俳句」に特化したトークショー。高畠葉子の司会にてお送りします。

  *と き 平成28年7月9日(土)午後1時~4時50分
  *ところ 北海道立文学館講堂(札幌市中央区中島公園1-4)
  *参加料 一般500円、高校生以下無料



◆ 第1部 トークショー『 男の恋句・女の恋句 』

        トーク 橋本喜夫(俳人)×山田 航(歌人)×瀬戸優理子(俳人)
        司 会 高畠葉子(俳人)


※事情により山田航さんのご出演はキャンセルとなりました。
  悪しからずご了承くださいませ。

◆ 第2部 句会(当季雑詠2句出句・投句締切午後1時)
◆ 懇親会についてはメールでお尋ねください。

詳細お問い合わせはEメールitakhaiku@gmail.comへ。



2016年7月5日火曜日

第26回イベント パネラー紹介(再)


♠ 橋本喜夫(はしもと・よしお)
1957年、厚岸郡霧多布生まれ。俳句集団【itak】幹事。

40歳で俳句を始め、雪華同人、銀化同人。
現代俳句協会、俳人協会に所属。
北北海道現代俳句協会賞、第12回加美俳句大賞スエーデン賞、第26回鮫島賞、第5回俳句界賞大賞など受賞。
著書に句集『白面』。



※ごめんなさい!諸事情で山田航さんはご欠席となりました。
♣ 山田 航(やまだ・わたる)
1983年生まれ。歌誌「かばん」所属。
平成21年、角川短歌賞および現代短歌評論賞受賞。平成25年第4回早稲田大学坪内逍遥大賞奨励賞。
平成26年第42回札幌文化奨励賞。
著書に第1歌集『さよならバグ・チルドレン』(ふらんす堂)、最新刊・言葉遊びコレクション『ことばおてだまジャグリング』(文藝春秋)、第2歌集『水に沈む羊』(港の人)、アンソロジー『桜前線開架宣言 Born after 1970
 現代短歌日本代表』(編著、左右社)。



♥ 瀬戸優理子(せと・ゆりこ)
1972年、東京都生まれ。

1997年、「橋」(現在終刊)の句会にて俳句と出会う。
2002年、結婚を機に北海道空知郡南幌町へ移住。
2011年、第29回現代俳句新人賞佳作。
2014年、第14回中北海道現代俳句賞受賞。
2015年、第33回現代俳句新人賞受賞。
2015年、南幌町教育文化奨励賞受賞。
「WA」会員。現代俳句協会会員。北海道俳句協会会員。






♦ 高畠葉子(たかばたけ・ようこ)
1960年生まれ。

2000年以降インターネットと親しむ中、俳句と出会う。
弘前の超結社集団「弦」同人、現代俳句協会会員




2016年7月1日金曜日

第26回イベント トークショー『男の恋句・女の恋句』 (再案内)

 






ウィットに富むトークが人気の「やぶすくしハッシー」こと橋本喜夫、気鋭の歌人にして回文やことばあそびの達人である山田航、2015年現代俳句協会新人賞受賞の瀬戸優理子が、男の目線・女の目線から語り合う十七文字の恋愛模様。あえて「恋愛俳句」に特化したトークショー。高畠葉子の司会にてお送りします。

  *と き 平成28年7月9日(土)午後1時~4時50分
  *ところ 北海道立文学館講堂(札幌市中央区中島公園1-4)
  *参加料 一般500円、高校生以下無料



◆ 第1部 トークショー『 男の恋句・女の恋句 』

        トーク 橋本喜夫(俳人)×山田 航(歌人)×瀬戸優理子(俳人)
        司 会 高畠葉子(俳人)


※申し訳ありません。諸事情にて山田航さんのご出演がキャンセルとなりました。あしからずご了承くださいませ。

◆ 第2部 句会(当季雑詠2句出句・投句締切午後1時)
◆ 懇親会のお申し込みもお受けしております。

詳細お問い合わせはEメールitakhaiku@gmail.comへ。