2016年10月29日土曜日

りっきーリポート #19 センセーにメロメロ?!の巻 

9月10日。 ジトっと蒸し暑い曇り空。

 道東某地からえんやこら札幌駅に到着、itakに参加すべくやって来たワタクシりっきー。
…実は今回のitak、ギリギリまで参加できるかどうか不安でありました。
というのも、例の台風10号の被害で、札幌~道東方面の交通手段が壊滅状態(JRと一般道が途中で崩落していて今も復旧の見通し立たず)、唯一開いてるのが高速道路のみという非常に厳しい状態です。その高速道路も途中あちこちで斜面が崩れた後や、未だに水が上から流れてたりと、ちょっとした事で直ぐ止まるかもという不安定な状態でした。
それでも何とか札幌駅に着き、 いつものスタッフ合流場所で裏方頭の野良猫さんと、今回は特別ゲストに神奈川から参戦していただいたチョビひげダンディ氏(俳号はちゃんと別にある方です(;´∀`))と合流し、我らがホームの道立文学館へ。
…まだ本番始まってないのにもうヘロヘロ(´;ω;`)

 今回のイベントは俳句の文法講座ということもあってか、事前予約がビッチリで当日席が足りるかどうかという勢い。今回学生さんはやや少なめだったけど、それを感じさせない来場者の多さと熱気でごった返しでした。マジで酸欠(-_-;)
今回も参加の小樽潮陵高校のみんなは俳句甲子園に出場してきた事が自信になったのか、今まで以上に真剣な面持ちで聞いてる。琴似工業高校のみんなももちろん同じく。
でもそれ以上に真剣なのは、ベテランの俳人の方々。
講師でitakアイドル(?!)の松王かをりセンセーの小気味の良い話術に引き込まれ、話にウンウンと頷いたり黙々とドリルに取り掛かってみたり。ベテランの方々もすっかり学生と同じ真っ直ぐな眼差しでイベントに参加してました。
…しっかし流石かをりセンセー、年上のオニーサン達全員かをりセンセーのお話ににメロメロでしたよ( ̄▽ ̄)

itakという場は主宰クラスの方も高校生中学生も、同じ視線でイベントを楽しんでくれる。
目の輝きはみんな十代の頃のそれと同じで、ベテランの皆さんもふと学生の頃のような感覚に戻られてるのでしょうか。とにかくエネルギッシュ。
現役学生とベテランの皆様。互いにitakが刺激の場となってるようで、いつも句座は暖かい笑いと俳句への情熱が溢れています。こういう光景を見ていると、「ああ、(itakに携われて)良かったなぁ。」なんて思ったりしますねぇ。
…裏方仕事は半端じゃなく忙しいですがっ(´;ω;`)

さて、次回11月12日(土)は今年最後のitak。この勢いのまま突っ走っていきたいところです。
11月のイベントは山之内悦子さん(通訳者、講師)による講演「うちらには日本語がある」を予定しています。
今回の文法講座とはまた違うお話が聞けると思います。海外在住との事なので、その辺の面白い話なんかも聞けちゃうのかなぁ、なんて思ったり。
講演だけの参加もOK、もちろん句会だけってのもOK,とにかく俳句もitakも気になる方は、500円玉ポケットにいれて道立文学館にGOだ!!

2016年10月27日木曜日

第28回イベント 講演会『うちらには日本語がある』

 
 

 俳都松山の出身のくせに、またそれゆえに俳句はずっと敬遠していました。7年ほど前に縁あってしばらく参加した句会では、作品が説明的すぎるとよく評されました。異文化間の人と人との意思疎通を図る通訳、翻訳仕事の職業病が出たのだろうと思います。俳句は読み手に想像させてこそ飛翔するものなのに、きちんと伝わったかどうかが心配で、ついつい言葉を重ねてしまうのです。今回は皆様にお話しするなか、言わずもがなを言ってしまうという無粋を身をもって示すことで、創作上の反面教師として頂きたく思います。通訳、字幕翻訳、執筆など、一生を二つの言語との恋愛や格闘に費やしてきて思うこと、それは人を形作る根幹にある母語のかけがえのなさです。日本語の奥深さに出会えるのが、私にとっての俳句の魅力。この贅沢を皆様と共に貪る11月12日を楽しみにしています。

*と き 平成28年11月12日(土)午後1時~4時50分
*ところ 北海道立文学館講堂(札幌市中央区中島公園1-4)
*参加料 一般500円、高校生以下無料


◆第1部 講演会 『 うちらには日本語がある 』

       講 演  山之内 悦子(通訳者、講師)


◆第2部 句会(当季雑詠2句出句・投句締切午後1時)
◆懇親会のお申し込みもお受けします。



やまのうち・えつこ 愛媛県生まれ。

子規が学び、漱石の『坊っちゃん』の舞台となった高校を卒業後、慶応義塾大学英文科に進む。在学中にカナダの大学に一年間留学したことが縁で、卒業、就職後バンクーバーに30年来在住。アジア系移住者として少数者問題に長く関わった後、ブリティッシュ・コロンビア大学で教育社会学を学ぶ。修士課程修了。通訳・翻訳・文筆業のかたわら日加両国で通訳者養成講座の講師を勤める。著書に山形国際ドキュメンタリー映画祭での四半世紀の通訳経験を基にした『あきらめない映画』がある。

※当日は著書の頒布会も行います。休憩時間にお求めください。





 

2016年10月26日水曜日

第28回俳句集団【itak】イベントのご案内


俳句集団【itak】事務局です。
10月上旬は秋暑著しいものでしたがあっという間に綿虫そして初雪。
暖房が必要な日が多くなって参りました。

第27回イベントには79名のご参加をいただき、ありがとうございました。

文法講座『知って得する!俳句の文語文法』はいかがでしたでしょうか。
ご感想などお寄せいただければ幸甚です。

抄録は【itak】ブログにて近日公開予定です。
またブログでは皆さんの各種ご寄稿・情報もお待ちしております。

下記内容にて【itak】の第28回イベント、講演会を開催いたします。
どなたでもご参加いただけます。多くの方々のご参加をお待ちしております。
第一部のみ、句会の見学のみのご参加も歓迎です。
実費にて懇親会もご用意しております。お気軽にご参加ください。


◆日時:平成28年11月12日(土)13時00分~16時50分
◆場所:「北海道立文学館」 講堂
      札幌市中央区中島公園1番4号
      TEL:011-511-7655


■プログラム■

 第1部 講演会

     『うちらには日本語がある』

     講 演:山之内悦子(通訳者・講師)


 第二部 句会(当季雑詠2句出句)

<参加料>
一   般  500円
高校生以下  無  料

(但し引率の大人の方は500円を頂きます)

※出来る限り、釣り銭の無いようお願い致します。
※イベント後、懇親会を行います(実費別途)。

  会場手配の都合上、懇親会は事前のお申し込みが必要になります。
   会場および会費など、詳細は下記詳細をご覧ください。


■イベント参加についてのお願い■

会場準備の都合上、なるべく事前の参加申込みをお願いします。
イベントお申込みの締切は11月10日とさせて頂きますが、締切後に参加を決めてくださった方もどうぞ遠慮なく申し込み下さい。
なお文学館は会場に余裕がございますので当日の受付も行います。
申し込みをしていないご友人などもお連れいただけますのでどなたさまもご遠慮なくお越しくださいませ。


お申し込みには下記のいずれかを明記してくださいませ。
①講演会・句会ともに参加
②講演会のみ参加
③第二部句会のみ参加(この場合は前日までにメール・FAXなどで投句して頂きます。)


特にお申し出のない場合には①イベント・句会の通し参加と判断させていただきます。
なお、投句の締切は当日13:00です。

第二部からご参加の方、また天候や交通状況で間に合わない場合等は、13:00までに

  itakhaiku@gmail.com 宛ご投句ください。

※欠席投句は受け付けておりません。悪しからずご了承ください。
※第二部に会場に到着できない場合はご投句を削除します。委細必ずご連絡ください。

 
◆イベント後・懇親会のご案内(忘年会を兼ねております)◆

会場:テラスレストラン kitara(キタラ)
    中央区中島公園1番15号 札幌コンサートホールkitara1階
時刻:17:30~19:30
会費:3500円(飲み放題つき)
  ※イベント受付時にご精算をお済ませください。
  ※当日のキャンセルは後日会費を申し受けます。

  ※二次会はパークホテル地下のBar「パーククラブ」を予約しております。
   飲み放題2000円、当日お申込みをお受けします。

店舗準備の都合上、懇親会は必ず事前のお申し込みをお願いします。
懇親会申し込みの締切は11月8日とさせて頂きます。
以降はキャンセル待ちとなりますがお問い合わせください
参加希望の方はイベントお申し込みのメールに ④懇親会参加 とお書き添えください。


ちょっとでも俳句に興味ある方、今まで句会などに行ったことのない方も、大歓迎です!
 軽~い気持ちで、ぜひご参加ください♪
句会ご見学のみのお申込みもお受けします(参加料は頂戴します)。


北海道立文学館へのアクセス
※地下鉄南北線「中島公園」駅(出口3番)下車徒歩6分
※北海道立文学館最寄の「中島公園」駅3番出口をご利用の際には


①真駒内駅方面行き電車にお乗りの方は進行方向先頭部の車両
②麻生駅方面行き電車にお 乗りの方は進行方向最後尾の車両にお乗りいただくと便利です。


 

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『第2回 北海道文学館 公開歌会・句会』のご案内


俳句集団【itak】事務局です。
中のひと多忙につきブログ更新が休業になっておりました。
それでは改めまして怒濤のアップしていきますよ!

平成28年度「文字活字文化の日」関連事業、『第2回 北海道文学館 公開歌会・句会』のご案内をいたします。
北海道文学館では昨夏のカルチャーナイトで開催し、好評でありました公開歌会・句会の企画の第2回を、来る10月29日土曜日に行います。
道内の短歌・俳句・川柳の作家の作品について、作者と会場のみなさんが鑑賞、意見交換を行います。テーマは「文字」
俳句には【itak】から田湯岬さんがパネリスト、五十嵐秀彦さんと西村榮一さんが実作者として参加します。
詳しくは以下をご覧ください。
定員80名、当日参加受付(先着順)、参加料無料となっております。

 
 






2016年10月4日火曜日

俳句集団【itak】第27回句会評⑦ (橋本喜夫)


俳句集団【itak】第27回句会評⑦

  2016年9月10日
 
橋本喜夫(雪華、銀化)
 
 
 三日月をくすねる人と帰りけり    田島 ハル

とりそこねた句。というかスルーした。時間がなくても、句数が多くてもかなりの精度で選句できる自信はあるのだが、「三日月」という言葉でスルーしてしまった。経験的に三日月に秀句がないからであるが・・・それではいかんと反省している。今回の句会ではこの句だけ。さて、くすねる という言葉、他人のものをごまかしてこっそりと自分のものにする。こっそりと物を盗むことである。つまりあまり良い言葉ではない。ところが「三日月をくすねる」となると話は違ってくる。きれいな今夜の三日月をこっそりと自分のものだけにして、こころにしまい込んで帰るのである。詩的で屈折のある言葉だ。これが満月や星月夜だとおおげさで、くすねるという語とミスマッチになる。


 蘊蓄の女将さておき新蕎麦や    青山 酔鳴

まず内容はよくわかる、せっかく新蕎麦をすすって味わっているのにも関わらず、その店のおかみさんが蘊蓄をうだうだと述べる。うるせーな、まじ無視 という感じだろう。やはり座五の「や切れ」は無理があろう。「さておき」も要らないと思う。一案だが「新蕎麦や女主人の蘊蓄も」とかでも蘊蓄はスルーしていることは伝わるはずだ。


 飛蝗飛ぶ私に大腿四頭筋      斎藤 嫩子

楸邨の飛蝗に力が満ち行く という句があったはずだが、この句も、飛翔する直前の飛蝗の後ろ脚の力強さを自分の大腿四頭筋に照らし合わせて表現している。自分の大腿四頭筋に注目したところがこの句のコアである。面白い。


 遠花火かつて並びし肩ありぬ    黒江 鏡湖

遠花火を見ている作者はおそらく今一人で闇のなかにいる。そしてかって横に並んでいる肩があったことを追憶しているのか、もしくは遠花火をみている景のなかになつかしい肩を見つけたのか いずれにしても追憶の句であることは明白である。


 台風の目コンパスで描いてもまる  頑黒 和尚

まる まで言ってしまうのがこの作者の特徴。川柳的ではある。たとえば「台風の目をコンパスで描いてゐる」でも十分詩になるし、立派な俳句だ。川柳よりもサービス精神が少し足りないのが俳句なのだ。気象予報士はコンパスを使っているのではと予想する。台風の予報円や進路予想にもコンパスが使われるのでは?などと思う。「台風の目つついてをりぬ予報官」というわが師中原道夫の句を思い出してしまった。


 空壜をひとりと呼べり鰯雲      五十嵐秀彦

路上や路肩に置いてある一本の空瓶を「ひとり」と詠んだナイーブさに賛同する。鰯雲への飛び方がうまいといえばうまいが、楸邨の飛び方と同じと言えば同じかもしれぬ。二本の空瓶をふたりと呼ぶとなおさら寂しい感じがする。この発想を拡大すると近未来のSF的にもなるかもしれない。人間はひとりもいなくなり、空瓶だけの世界になるのだ。



以上 途中で止めそうになったが、最後まで持った。一挙に書いてしまったので、イタックモードのままで、いささかの失礼あるかもしれませんが、悪意はありませんし、イタックに免じてご寛恕あれ(了)。


※今回は講座の時間もたっぷりとったため句会が駈足になってしまいましたが、喜夫さんにはその分たくさん読んでいただき、ありがとうございます。
句会運営については今後も改善に注力して参りますが、なにより当日参集のみなさまのご協力で無事に終了しましたことを重ねて感謝いたします。
現場はいつもけっこうアップアップしていますので、それもまた生の句座の妙とお考えいただき、みなさまには
今後ともよろしくお願いいたします。(事務局 J)


 

2016年10月2日日曜日

俳句集団【itak】第27回句会評⑥ (橋本喜夫)


俳句集団【itak】第27回句会評⑥

  2016年9月10日
 
橋本喜夫(雪華、銀化)
 
 
 夕花野瓶になで肩いかり肩      松原 美幸

中七以下の措辞たいへんよくできているだけに、先行句はあるかもしれない。しかし、夕花野はたいへん嵌っていると思われる。ただ中七以下の措辞があまりに佳いので、季語が本当にこれがベストかは不安もある、時雨や小夜時雨なんかも合ってそうだし、水の秋とか澄む秋でも合っているようで、なんとも微妙である。


 コーヒーミルク一滴の秋思かな    大原 智也

コーヒーに一滴のミルクをかける、ひろがる白雲と漆黒の渦をみて、秋の物思いにふける作者がいるという景。それほど珍しい素材ではないし、すべて形よくできているのだが、いわゆる一句一章の作りになっている。ここは「一滴のコーヒーミルク秋思かな」と中七で切断して、作るのも一案と思う。


 三個目の具なしおにぎり秋の空    久才 秀樹

一読魅かれたのだが、読者にゆだねる空白の部分が多すぎる感じがした。景が読めそうで読めない。秋の空の下、行楽にでかけて、三個目の具なしおにぎりを食べているのであろうが、それで腹いっぱいなのか、おいしいのか、つつましやかな感じを言いたいのか、満足しているのか、はたまた楽しいのか、むなしいのか が読めないのだ。つまりすべては読者にゆだねる部分が大きすぎる感じ。私はこの時期で具なしおにぎりなので、台風被災地の炊き出しのおにぎりなども想像してしまった。それならば「五百個の具なしおにぎり」であろうし、判断がむずかしい。


 「在宅の仕事あります」かたつむり   金子真理子

中七までの措辞はおそらく新聞広告もしくは広告ポスターの文面なのであろうが、とてもキャッチ―な措辞だ。ここにつけたのが「かたつむり」。会場で、ひきこもり的な評をしていたが、そんな感じもする。おそらく在宅→行動範囲が狭い→かたつむり という流れであるのだろう。以前も述べたことがあるが、季語以外のキャッチ―な言葉が見つかった場合はつける季語は、その言葉に引っ張られずに、植物の季語をつけるか、風の季語をつけると意外に無難にまとまる。


 つぶやきを蹴散らすごとく流星群   辻村 幹子

この句のコアは蹴散らすという比喩と流星ではなく、流星群を使ったこと。これはこれでいいのだが、座六がしまりが悪い感じ。「つぶやきを流星群が蹴散らせる」 でもいいのではないだろうか。
 


 髪が爆発ゆうべ星が飛んだとか   瀬戸優理子

朝起きたら髪が爆発というのは毛髪が豊かな女性ならとくにあるあるである。私には経験がない。爆発させてみたいものだ。その髪を鏡で見て、「ゆうべ流星が降ったのかしら」と言っている。とても詩的だ。流星という言葉だと髪が爆発する感じがいまいちそぐわないので、「星飛ぶ」 を使った。この措辞もうまい。