2017年2月25日土曜日

第30回イベント 講演会『シルヴィ―とブルーノ・完結篇』 ご案内(再)





 誰でも知っているキャロルの『不思議の国のアリス』や『鏡の国のアリス』。けれども彼が晩年『シルヴィーとブルーノ』を書いたことはあまり知られていない。ましてその続篇『シルヴィーとブルーノ・完結篇』があったことはほとんど知られていない。「どうして?」
 正篇は1979年に梁瀬尚紀の訳が出た。しかし続篇はずっと未訳だった。 「どうして?」

 ふたつの「どうして?」をかかえながら10年あまり、『シルヴィーとブルーノ・完結篇』を読み、考え、書いて過ごしてきた。難解ながらも読めば、いまに通じる話題をはらんだ当意即妙の物語で、キャロル理解の宝庫であることがわかった。
 そして先年7月、日本ルイス・キャロル協会の会誌『ミッシュマッシュ』の特別号として刊行することが出来た。

 今回は翻訳作業をとおして見えてきた疑問やキャロルのことばへのこだわりをいくつか拾って話そうと思う。

 *と き 平成29年3月11日(土)午後1時~4時50分
 *ところ 北海道立文学館講堂(札幌市中央区中島公園1-4)
 *参加料 一般500円、高校生以下無料


◆第1部 講演会 ルイス・キャロル なくて七癖
『シルヴィ―とブルーノ・完結篇』-翻訳こぼればなし-


講 演  平 倫子(俳人・英文学者 俳句集団【itak】幹事)


◆第2部 句会(当季雑詠2句出句・投句締切午後1時)
◆懇親会のお申し込みもお受けします。
http://itakhaiku.blogspot.jp/2017/02/itak_3.html




たいら・くみこ 

1937年東京生まれ。仙台育ち。東北大学大学院文学研究科英文学英語学専攻修士課程修了。英文学、英米児童文学専攻。北星学園大学名誉教授。日本ルイス・キャロル協会会員、「藍生」会員。
主著に『ルイス・キャロルの図像学』、『ルイス・キャロル 身体医文化の実相』がある。

※当日は著書の頒布会も行います。休憩時間にお求めください。





 

2017年2月18日土曜日

第29回句会 投句選句一覧④







































#投句・選句一覧

第29回句会 投句選句一覧③







































#投句・選句一覧

第29回句会 投句選句一覧②






































#投句・選句一覧

第29回句会 投句選句一覧①







































#投句・選句一覧

【第29回人気五句披講】

俳句集団【itak】です。
 
いつもご高覧頂きありがとうございます。
諸般有りまして記事の公開順序が前後しております。
先日公開しました第29回句会【人気五句】の披講をいたします。
三句選で、天=3点、地=2点、人=1点の配点方式、( )内は配点です。
横書きにてご容赦くださいませ。

古暦紙飛行機にして自由            鍛冶 美波(25)
廃線や鷹に汽笛を繰り返す          ふじもりよしと(14)
陽だまりを分け合うてゐる蜜柑かな      栗山 麻衣(14)
雪野めく屋根百坪を下ろす下ろす       鈴木 牛後(12)
山時計海時計雪降りやまず           太田 量波 (11)

遺書を書くとは雪をんならしくなし       橋本 喜夫 (11)

以上です。ご鑑賞ありがとうございました。
なお二位・五位の句は同点だったため6句を掲げました。

当日の句会参加者数は48名・95句、選句50名となりました。
選句・句会見学のみの方もありがとうございます。
引き続き投句選句一覧をご報告します。
ご高覧下さいませ。


 

2017年2月16日木曜日

俳句集団【itak】第29回句会評⑥ (橋本喜夫)


俳句集団【itak】第29回句会評⑥

  2017年1月14日
 
橋本喜夫(雪華、銀化)
 
 
 
 サロマ湖とつながる海や鍋破       藤原文珍

この句はやはり カジカの異名 「鍋破(なべこわし)」を使用したことだろう。かじか汁をはじめとしてそのいかつい顔に比べるととてもおいしい魚である。美味しくてみなで箸をつつくので 「鍋が壊れる」 ことからその異名がついた。この句は中七まではその季語を紹介しているだけであるが、それでいて季語の邪魔をしていない。


 四十にもなりて年玉もらひけり      平野絹葉

時代のせいか 若者世代は将来お金に困るらしい という未来予想がある。この句の年齢はとても信ぴょう性があり 四十代ということは親は六十代でまだ経済的基盤がしっかりして、余力がある世代である。これが三十代、二十代だと当たり前すぎるし、五十代だと情けなさすぎる。四十代(しじゅうだい)が音調もとてもよい。


 ざまあみろ雪に壊れる山手線       山田 航

あまり深入りするとまずいので 簡単にコメントするが北海道に暮らすものが東京を俯瞰したとき誰もが少しは思う感慨ではなかろうか。蝦夷にすんでいるということはどこかにそんな残念なひがみ根性があるのです、正直に言いますが。


 吉野川冬暁に月映し            江崎幹夫

イタックには珍しいタテ句で、吉野川の地名も効いている。愛媛と高知県の県境を水源とする吉野川 行ったことはないが清流であることが推測される。冬の暁にその川面に残月が映っているという見事な景である。



◇最後駆け足であいすみません。私には時間がないので・・・これでご勘弁を。また次回まで・・・よろしく哀愁(了)
♡よしをさま、人気企画なので今後も倦まずよろしくお願いします!(事務局J)


2017年2月14日火曜日

俳句集団【itak】第29回句会評⑤ (橋本喜夫)


俳句集団【itak】第29回句会評⑤

  2017年1月14日
 
橋本喜夫(雪華、銀化)
 
 
 
 青年団員みな孫ありて出初式    青山酔鳴

笑ってしまった。その通りであるし、「出初式」の句としてでき過ぎ感があり。とても雄弁な句であるのでやはり上八の字余りが気になってくる。これをどうするか。青年団とすれば出初式にでているひとたちと完璧に説明可能かどうか。問題がないのであればやはり青年団にした方がいいのか、  自分の句でないのだが、悩むところだ。
 
 
 マイルスのジャズ雷管に冬銀河    吉田 類

私は秀彦さんと違いジャズは全く知らない。ただしマイルス・デイビズの名前だけは知っていた。どうやらジャズの帝王と言われていたらしい。この句は「マイルスのジャズ」でスリットが入り「雷管に冬銀河」の二物衝撃の句である。彼のジャズを知っているひとは 雷管の爆発性 危険性と爆発力、アルミ的な金属製、そして冬銀河の冷たい巨大なものとの取り合わせに何かを感じとることができるのであろう。まったくジャズを知らない私でさえ「雷管・冬銀河」との取り合わせに魅かれたので 音調としても共鳴しているのかもしれない。「万有引力あり馬鈴薯にくぼみあり」と同じように・・・。
 
 
 雪催目抜き通りで躓いて        山崎佳音

中七の「目抜き通り」が良い。なかなか言葉のセンスがよいのだ。そして中七以下の措辞も俳句になっている。あとは季語との取り合わせ、なのであろう。低く雲が垂れ込め今にも雪が降りだしそうな季語の「雪催」と、町の中でもっとも繁盛している「繁華街で躓いてしまった」作者の気恥ずかしさや、ばつの悪さという感覚が、共鳴しているかどうかがキーポイントである。そこが可もなく不可もなく、と言ったところではなかろうか。


 おでん食う入れ歯や母と大暴れ    福井たんぽぽ

一読 何があったの?と聞きたくなるような不穏さもある。おそらく年老いた母がおでんを食うときに入れ歯がはずれたとか~で、すったもんだがあったのだと推測する。そうなるとやはりその顛末を俳句にしようとすると、「大暴れ」が余計なのだと思う。川柳ならば必要だと思う。作者の意図に沿ってないかもしれないが、たとえば「おでん食う母の入れ歯や旅に出る」とか座五を「いまいづこ」だとか「鍋に入る」とか、入れ歯がどうなったかを具体的に示した方がいいと思う。
 
 メルカトール図法でひらく初夢     太田量波


メルカトール図法などと懐かしい言葉がでてきた。経線と緯線が直角になる見慣れた地図の方法で、二点間の距離、角度が正確なので?航海図として使われる。「初夢」という三次元あるいは四次元のものを二次元で開くにはメルカトール図法で開けるのでは、という句意である。面白い発想だと思うし、破調感も気にならないが、やはり「初夢」と四音で終止するので韻文としては違和感が残るかもしれない。



2017年2月12日日曜日

俳句集団【itak】第29回句会評④ (橋本喜夫)


俳句集団【itak】第29回句会評④

  2017年1月14日
 
橋本喜夫(雪華、銀化)
 
 
 
 初夢からアドレッサンスの乖離      頑黒和尚

アドレッサンスは思春期とか青春性とかという意味で、たしか齋藤慎爾や寺山も使っていたかもしれぬ。そして「乖離」文字通り解離する という意味であるが、理系のひとたちが論文やデータの解釈にもよく使う言葉である。理想と現実の乖離 などと使う場合もある。私が頂いたのはこの言葉の詩的な違和感と、6音+7音+4音の 不協和音的な十七遠の繋がり(ひとことで破調感)が気にいったからであるが。「初夢のアドレッサンスとの乖離」と5+7+5の定型にしてもこの句の佳さは十分伝わると思ったが、そこは作者の好みもあろうが。



 狐火や高梨沙羅は着地する       ふじもりよしと

たいへん気になった句である。私は高梨沙羅のファンなので。高梨沙羅ファンは少なくないと思うのでそのひとたちも皆気になったと思う。そして私も含めて取り切れないのは「狐火」との繋がりだと思う。取り合わせの問題なので 話はそれほど簡単ではない。狐火 という架空のおどろおどろしい季語との離し方は これはこれでいいのではと思った。つまり冬空とか吹雪だとか だとつまらない。「狐」 という文字が最後まで私は気になったのだ。沙羅ちゃんは「狐なんかじゃない」とオジサンは強く思ったのだ。でも季語の飛ばし方として悪くない気がする。


 六畳に新弟子ほどの鏡餅         栗山麻衣

作者は巧者というだけではない。おそらくこの作者の真骨頂はこの諧謔にあると思う。ここで栗山麻衣論をぶつほどの時間とスペースに余裕がないが。六畳の部屋に置かれる鏡餅の大きさは巨大でもなく、さりとて百均でうられる小ささでもない。中途半端な大きさでばつが悪そうに、座り心地もわるそうに六畳の部屋に置かれる鏡餅。中七に「新弟子ほどの」の比喩のすごさは大したものだと思う。新弟子 という言葉だけで、新年のフレッシュ感と、中途半端な感じと、海のモノとも山のモノともつかない感じが言い表されている。ちなみに私は本当の「相撲取りくずれ」なのでこの比喩のすごさがわかるのだ。


 けふのことしゃべりすぎてる膝毛布  田島ハル

俳句初心者にして膝毛布にすべてを語らせている。つまり場面が想像できるのだ。膝毛布であるからおそらく冷え症の女性だと想定される。くつろいで膝毛布であたたまったので、安心して今日あったことをペチャクチャ。ついでに言わなくても言いことも口を滑らしているのである。




2017年2月10日金曜日

俳句集団【itak】第29回句会評③ (橋本喜夫)


俳句集団【itak】第29回句会評③

  2017年1月14日
 
橋本喜夫(雪華、銀化)
 
 
 
 便鉢の水まで寒九なりにけり      青山酔鳴

「寒九の水」 厳しく清新な感覚を、なんと便鉢の水にしてしまった。その諧謔を良しとする私は頂いたが、好みもあろうし、見解が分かれる処だろう。少なくてもこの句は従来の旧守派の季語の本意からは大きくずれていることは確かだ。逆に言うと、単なる季語をなぞった句ではない、ということでもある。

 
 
 湯冷めして糸屑取りをしてをりぬ    西村榮一
 
私は句会のときも言ったが、湯から上がってまだ十分に服を着ていないときにくだらないこと(糸屑とり)をはじめてしまい、やめられなくなってしまっている姿をユーモラスに描いていると思った。おかしくもシュールな景でもあり、面白い句である。シュールさを出すために「湯冷めして」 と中七以下を順接につなげて切れを入れていないのも、テクニックである。
 
 
 レシートの裏に初夢広がりぬ      村上海斗

レシートの裏、レシートのメモ、レシートを栞にする などなどレシートを小道具にする句はたしかにちょこちょこある。ただしこの句はレシートの裏に書かれていることから初夢が広がる と表現している。ここに謎があって面白いと思った。酔鳴さんはレシートの裏にポイントとか、景品のあたる何かが書いてある とか言っていた。なるほどそんな裏があったか と私は思ったが、この句はもっと抽象的な夢なのではとも思う。作者がこれからも俳句に夢をもって臨んで欲しいと思う。
 
 
 四合瓶空ける間もなく去年今年    大原智也

四合瓶なので720ml瓶。日本酒だろうか、ウイスキーだろうか。いずれにしろ、年末年始起きて酒でも飲んで正月を迎えようかと思ったが、すべて飲み切らぬ前に眠ってしまい、目が覚めたら年が明けていて新年(元旦)であった。という詠みであろう。「去年今年」は夜中十二時のカウントダウンではなく、31日の夜から翌朝の夜が明けるまでのある程度スパンのある季語なので、おそらくそんな読みで正解なのだと思う。去年今年は「あっけなく年が過ぎてゆく」、「去年から今年になってもあまり変化がない」などの心理が季語の本意と考えるから、そういう意味ではこの難しい季語もうまく嵌っていると思う。


 見えぬ眼に雪と告ぐ夜の別れかな  五十嵐秀彦

秀彦氏には珍しく?ドラマ性のある作りになっている。目が見えない状態の人がいる。この場合は盲人がいるというよりも、重篤な状態あるいは今際の状態でもう目が見えない状態のひとだと思う。そのひとに 「今は外で雪が降っているよ」と耳元で囁いたのであろう。告げられた人は目を濡らしながら、ゆっくりとうなずいたかもしれない。そんな雪の夜の別れを詠んでいる。



2017年2月8日水曜日

俳句集団【itak】第29回句会評② (橋本喜夫)


俳句集団【itak】第29回句会評②

  2017年1月14日
 
橋本喜夫(雪華、銀化)
 
 
 
 雪野めく屋根百坪を下ろす下ろす   鈴木牛後

「雪下ろし」という季語を使用しなくても十七音でなにをしている景かが読み取れる。しかも「屋根が雪野めく」 といういささかオーバーな表現が、屋根百坪という措辞で、いやいやオーバーではなく適切な比喩であることを裏打ちしているのだ。北海道ならではの俳句として詠み込まれている。ふたつのうまさがある。「下ろす下ろす」のリフレインと「雪野めく」という直喩の佳さ。



 雪掻きの理容師大事にされている   平野絹葉

一読面白いと思った。「雪掻きの」 で軽く切れて、中七以後の「理容師大事にされている」の唐突さが、この句の胆である。「手が震えるから、雪掻きを免除」してもらっているとはとうてい読めない。だからむしろ面白いのである。たとえば腕が悪くて、客も少なくて家のなかで立場の弱い理容師がいたとする。ただし男手はその理容師だけなので大雪の時だけはおだてられて、「お父さん雪掻き頑張ってね」とこき使われていると 採れなくもない。私の近所にそんな理容師がいるので、そんな風に取った。いずれにしろ謎があって、面白い句だ。


 暖房や朝の母やはらかにゐて     山崎佳音

五+十二音 の破調感が私は好きだ。だからこのつくりでいいと思う。朝の母がやわらかな存在で あることは とても共感が得られることではあるが、同時に驚きはない。そうするとこの句の求めるものは ワンダーよりもシンパシーということになる。中七以下の措辞はシンパシーが得られると 思うが  暖房や という季語との関係性はどうであろうか? 母→やわらかな存在→やさしい→あたたかい→暖房 という感じで いささか順接すぎる気もするのだ。


 動脈のしづかに流る淑気かな     安藤由紀

「正月の静粛な清新な気持ち」を表す「淑気」という季語。そういう意味では新しい試みがなされていると思う。それと動脈という普通は動的、勢いのつよいものを わざと「しづかに」と表現した。ここにもう一工夫が観られる。ただし動脈は血液の流れなので、やはり私は「流る」が気になった。拍動だとか動くとか振動だとか、「流れ」から離れた方がよいのではとも思う。


 古暦紙飛行機にして自由        鍛冶美波

中七以下の措辞は秀逸と思う。一年間の時を経て古くなり用なしになった紙切れを紙飛行機にして新たな旅に出してやった感じが伝わる。鬱屈したものからの解放感みたいなものも感じられる。「初暦知らぬ月日は美しく  吉屋信子」の古暦のニューバージョンとして良くできている。

 

2017年2月6日月曜日

俳句集団【itak】第29回句会評① (橋本喜夫)


俳句集団【itak】第29回句会評①

  2017年1月14日
 
橋本喜夫(雪華、銀化)
 
 
第29回、若い息吹のある元気な句会というだけでなく、五十嵐秀彦の講演といい、吉田類さんの参加といい、既存の古い結社や、各俳句協会の俳人の集まりも無視できないイタック集団になってきたのではと自画自賛している。すくなくてもわずかながらでもムーブメントが起こりつつある。そう感じながら今日も句会評はじめましょう。といいながら私はなんだか、やはり俳句ドランカーの状態でいささか調子が悪いので、話しの腰を折るようですが私だけは取り残されてる感じがありますが、義務は果たして行きます。
 
 
 廃線や鷹に汽笛を繰り返す        ふじもりよしと

「廃線」、「鷹」、「汽笛」と魅かれる素材を寄せ集めているので人気はでるとは思ったが、この句の佳さはむしろ座五の「繰り返す」なのではと思う。留萌線など最近は廃線の話題がにぎやかではあるが、たとえば今日で最後という日に作者は廃線の列車に乗ったかもしれない、もしくは廃線になる駅を訪れたかもしれない。最後の列車が走っている上空では鷹が別れを惜しむかのように舞い、列車は汽笛(警笛)を何度も繰り返す。そんな景が(少しできすぎの景ではあるが)浮かび上がる。上空への広がりを示すには「鷹に」ではなく「鷹へ」が良いと思うが、好みもあろう。


 凍み豆腐身体でもなし心でも        頑黒和尚

「凍み豆腐」の凍みという言葉、沁みるや滲みるにつながって、心情をそこはかとなく表現できる食べ物の季語である。上五で切れているから、中七以下の措辞は何を表現するかは読み手の想像にまかせるつくりになっているのが、むしろ成功している。「凍み」からつながる、疼きにも似た痛みは、身体の痛みでもないし、心の痛みでもない、ただ疼きにも似た痛みを「凍み豆腐」を食している作者あるいは主人公が感じている といった内容になる。中七は身体でもなし と切ってしまわず、身体でもなく と余韻を持たした方がいいかもしれない。そうすれば座五の「心でも」 と響き合って リフレインのような効果が期待できる。


 山時計海時計雪降りやまず   太田量波

この句のコアはやはり大自然の山や海そのものに「体内時計」のようなものがあって、それを「山時計」、「海時計」と表現しているところ。造語といえば造語であるが、いいたいことが伝わる。地球上で生きている人間には人間時計があり、宇宙には宇宙時計があって、空には空時計があるといった発想。そしてその、それぞれの時計が止まることなく動いている中を雪が降り続いている といった大きな景である。これらの造語によって、雪があたかも悠久の昔から未来永劫降り続いているかのような錯覚を覚える。


 雑踏に手袋独りはぐれ居り    大阪楽乱

「手袋がはぐれた」 ということで、手袋をはめている一人の人間が雑踏のなかで感じている心理的な孤独なども表現できている。「手袋」 で手袋を履いている人間がいることは分かっているので、ここは「独り」と言ってしまわずに、「ひとつ」とモノで表現した方がいいのではと思う。その方が意味の重層性が出てくる感じ。そのかわり曖昧にはなるが。

 

2017年2月4日土曜日

第30回イベント 講演会『シルヴィ―とブルーノ・完結篇』





 誰でも知っているキャロルの『不思議の国のアリス』や『鏡の国のアリス』。けれども彼が晩年『シルヴィーとブルーノ』を書いたことはあまり知られていない。ましてその続篇『シルヴィーとブルーノ・完結篇』があったことはほとんど知られていない。「どうして?」
 正篇は1979年に梁瀬尚紀の訳が出た。しかし続篇はずっと未訳だった。 「どうして?」

 ふたつの「どうして?」をかかえながら10年あまり、『シルヴィーとブルーノ・完結篇』を読み、考え、書いて過ごしてきた。難解ながらも読めば、いまに通じる話題をはらんだ当意即妙の物語で、キャロル理解の宝庫であることがわかった。
 そして先年7月、日本ルイス・キャロル協会の会誌『ミッシュマッシュ』の特別号として刊行することが出来た。

 今回は翻訳作業をとおして見えてきた疑問やキャロルのことばへのこだわりをいくつか拾って話そうと思う。

 *と き 平成29年3月11日(土)午後1時~4時50分
 *ところ 北海道立文学館講堂(札幌市中央区中島公園1-4)
 *参加料 一般500円、高校生以下無料


◆第1部 講演会 ルイス・キャロル なくて七癖
『シルヴィ―とブルーノ・完結篇』-翻訳こぼればなし-


講 演  平 倫子(俳人・英文学者 俳句集団【itak】幹事)


◆第2部 句会(当季雑詠2句出句・投句締切午後1時)
◆懇親会のお申し込みもお受けします。




たいら・くみこ 

1937年東京生まれ。仙台育ち。東北大学大学院文学研究科英文学英語学専攻修士課程修了。英文学、英米児童文学専攻。北星学園大学名誉教授。日本ルイス・キャロル協会会員、「藍生」会員。
主著に『ルイス・キャロルの図像学』、『ルイス・キャロル 身体医文化の実相』がある。

※当日は著書の頒布会も行います。休憩時間にお求めください。





 

2017年2月3日金曜日

第30回俳句集団【itak】イベントのご案内


俳句集団【itak】事務局です。
毎年ながら1月行く。暦の上ではもう春になります。

第29回イベントには57名のご参加をいただき、ありがとうございました。
五十嵐秀彦代表による講演会『寺山修司俳句の解剖学』はいかがでしたでしょうか。
ご感想などお寄せいただければ幸甚です。

抄録は【itak】ブログにて近日公開予定です。
またブログでは皆さんの各種ご寄稿・情報もお待ちしております。

下記内容にて【itak】の第30回イベント、講演会を開催いたします。
どなたでもご参加いただけます。多くの方々のご参加をお待ちしております。
第一部のみ、句会の見学のみのご参加も歓迎です。
実費にて懇親会もご用意しております。お気軽にご参加ください。


◆日時:平成29年3月11日(土)13時00分~16時50分
◆場所:「北海道立文学館」 講堂
      札幌市中央区中島公園1番4号
      TEL:011-511-7655


■プログラム■

 第1部 講演会  ルイス・キャロル なくて七癖

     『シルヴィ―とブルーノ・完結篇』-翻訳こぼればなし-


     講 演:平 倫子(俳人・英文学者 俳句集団【itak】幹事)


 第二部 句会(当季雑詠2句出句)

<参加料>
一   般  500円
高校生以下  無  料

(但し引率の大人の方は500円を頂きます)

※出来る限り、釣り銭の無いようお願い致します。
※イベント後、懇親会を行います(実費別途)。

  会場手配の都合上、懇親会は事前のお申し込みが必要になります。
   会場および会費など、詳細は下記詳細をご覧ください。


■イベント参加についてのお願い■

会場準備の都合上、なるべく事前の参加申込みをお願いします。
イベントお申込みの締切は3月9日とさせて頂きますが、締切後に参加を決めてくださった方もどうぞ遠慮なく申し込み下さい。
なお文学館は会場に余裕がございますので当日の受付も行います。
申し込みをしていないご友人などもお連れいただけますのでどなたさまもご遠慮なくお越しくださいませ。


お申し込みには下記のいずれかを明記してくださいませ。
①講演会・句会ともに参加
②講演会のみ参加
③第二部句会のみ参加(この場合は前日までにメール・FAXなどで投句して頂きます。)


特にお申し出のない場合には①イベント・句会の通し参加と判断させていただきます。
なお、投句の締切は当日13:00です。

第二部からご参加の方、また天候や交通状況で間に合わない場合等は、13:00までに

  itakhaiku@gmail.com 宛ご投句ください。

※欠席投句は受け付けておりません。悪しからずご了承ください。
※第二部に会場に到着できない場合はご投句を削除します。委細必ずご連絡ください。

 

◆イベント後・懇親会のご案内◆

会場:テラスレストラン kitara(キタラ)
    中央区中島公園1番15号 札幌コンサートホールkitara1階
時刻:17:30~19:30
会費:3500円(飲み放題つき)
  ※イベント受付時にご精算をお済ませください。
  ※当日のキャンセルは後日会費を申し受けます。

  ※店舗準備の都合上、懇親会は必ず事前のお申し込みをお願いします。
  ※二次会はパークホテル地下のBar「パーククラブ」を予約しております。
   飲み放題2000円、当日お申込みをお受けします。


懇親会申し込みの締切は3月7日とさせて頂きます。
以降はキャンセル待ちとなりますがお問い合わせください
参加希望の方はイベントお申し込みのメールに ④懇親会参加 とお書き添えください。


ちょっとでも俳句に興味ある方、今まで句会などに行ったことのない方も、大歓迎です!
 軽~い気持ちで、ぜひご参加ください♪
句会ご見学のみのお申込みもお受けします(参加料は頂戴します)。


北海道立文学館へのアクセス
※地下鉄南北線「中島公園」駅(出口3番)下車徒歩6分
※北海道立文学館最寄の「中島公園」駅3番出口をご利用の際には


①真駒内駅方面行き電車にお乗りの方は進行方向先頭部の車両
②麻生駅方面行き電車にお 乗りの方は進行方向最後尾の車両にお乗りいただくと便利です。


 

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