高校生以外も参加できる俳句の大会「第14回高校生以外のためのまる裏俳句甲子園」が1月10日、愛媛県の松山市立子規記念博物館で開かれました。今回、俳句集団【itak】幹事ら5人が北海道から初参加。俳都松山に乗り込んだメンバーの奮闘記を紹介します。
~まる裏俳句甲子園に初挑戦~
北海道チームの松山奮闘記①
北海道チームの松山奮闘記①
鈴木 牛後
まる裏俳句甲子園の会場となった松山市立子規記念博物館 |
◆夏井さんがきっかけ
昨年の5月、いつき組の夏井いつきさんが来道して【itak】のイベントに出演してくださった際、いつきさんと五十嵐秀彦【itak】代表の対談が組まれた。対談の中で、東京から遠く離れ、地理的には周縁とも言える北海道と四国で同じように結社の枠を超えた取り組みが行われているということに、2人が意を強くしていたことが印象的だった。
このイベントの中で、いつきさんから「北海道からもぜひ『まる裏』へ」という熱心な誘いがあり、仲間内で気運も盛り上がってきたことで、(ぼくにとっては)思い切って四国への大旅行を敢行することになったのである。
生きものを飼っている酪農家という職業柄、家を空けるというのはなかなか思い切りが必要だ。牛が重篤な病気にでもなればキャンセルしなければならない。それに加え、冬の北海道では吹雪による飛行機の欠航も茶飯事で、つまり運がよくなければとても四国などには行けないのである。
こういうときによく「日頃の行い」などと言われるが、まあそういうことでもあったのか、何事もなく飛行機は松山空港に着いた。当たり前だが暖かい。
ぼくが道北・下川町のわが家を出発した9日午前10時、気温は-6.3℃。松山に着いた午後4時は、プラスの8.7℃だった。ぼくの妻は本州の出身なので、この気温差は初めての体験ではないが、こんなところで暮らせたら幸せだろうと心底思う(冬限定ではあるかもしれないが)。
◆ハイポニストの熱気
到着した日の夜は、松山のホテルで「俳句ポスト365」のオフ会。「俳句ポスト365」は松山市が主催するインターネット上の投句欄で、選者は夏井いつきさんが務めている。ぼくはそれほど熱心な投句者ではなく、気が向いたとき、俳句を作れそうな兼題のときに投句するだけなのだが、全国から集まったハイポニスト(投句者はこう呼ばれているようだ)の熱気に押されるばかりだった。
ときどき覗くこのサイトのレベルは、たとえばおそらく新聞の俳句欄などに比べても高く、そんな句を作るのはどんな方なのかという興味を以前から抱いていた。イメージ通りの方、こんなごつい人なのかと驚かされる方などさまざまだったが、こうやって全国から集まる「同士」と会えるのは人生の宝物かもしれないと思う。
予選の席題は「道」 |
「道」の句を5分で考える北海道勢 |
出された席題は「道」。意外にありふれた題だったのでちょっと拍子抜けした。道・・・道・・・、脳裡に浮かんだのはつい最近作った句。これしかないと思い、躊躇せずに投句用紙に書く。一緒にチームを組んだ葉子さん、透子さんも苦労せずに書けたようだ。これで決勝に進めるか?
◆46チーム中トップ通過
チーム紹介で【itak】からの 激励電報を読む牛後さん(中央) |
森までの神話の道や雪明かり (透子)
言霊の道を伊予へと旅始 (葉子)
この二句がいずれも「そこそこ俳人」のところに置かれ(もちろんそこに相応しい句だった)、ぼくの句は残り少なくなってからだった。
足跡を道と呼びたる雪野かな (牛後)
この句は会場の反応も良く、「あんたは俳人」のところに収まった。ちなみに、「まだまだ」「まあまあ」「そこそこ」の句は、披講とともに作者が発表されるのだが、「あんたは俳人」の句は出揃うまで作者は明かされない。それは、会場に挙手によって最優秀句が決定されることになっているからだ。
予選で最優秀句に選ばれた牛後さん(中央)。 右は審査員の夏井いつきさん |
あとで、たくさんの人にあの句はよかったと言われ、そうだよなあ、ここに集まっている方々はほんとうに俳句が好きなのだから、まずは俳句で判断しているのだなあ、と改めて思い、嬉しさをもう一度噛み締めたのだった。
最優秀句は5点。葉子さん、透子さんの各3点を加えて11点は予選46チームの中で最高点。もう1チームの浩美さん、秀樹さん、でらっくまさん(仙台から1人で参加した女性。北海道の2人と即席チームを作った)は残念ながら敗退。まずは北海道の1チームが決勝トーナメントに残り、面目を保ったことに安堵した。続いての決勝トーナメントの様子は次の回に。
【itak】幹事・鈴木牛後 記
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