2016年2月14日日曜日

『りっきーが読む』~第23回の句会から~ (その3)


『 りっきーが読む 』 (その3)

~第23回の句会から~

三 品 吏 紀

 
   冬の雷文庫の世界閉じて聴く     長谷川忠臣

天変地異の前に人は為す術もない。しかし実害の出ない程度の大雨や雷などは、どうにも心が小躍りするような、ちょっとした興奮状態になる。
北国に住んでいると冬に雷というのはちょっと縁遠い感もあるが(雷の前に雪がワサッと降るからね)文庫の世界から現実に戻り、まるで古いレコードを聴くかのように雷の声に耳を傾けるというのもまた、オツな過ごし方ではないか。
 
 
  福袋女の怖さ袋分。           藤澤 汐里
 
……まぁ、あれだ。女性の物欲というのは男性の持つそれとはまた次元が違うものだと思う。(たぶん)女の怖さが袋分なんて、そんなウソ言っちゃイカンでしょー。実際はもっと……
なんて口が裂けても言ってはいけません。最後の「。」が全てを物語り、そして締め括っているでしょう。ちゃんちゃん。
 
 
  健全に呆けてゐると初メール     松原 美幸 
 
健全に呆ける、なんて素敵な響きなんでしょ(笑)
待ち望んだ正月三ヶ日の安穏とした日々。ところがいざ始まってみると喰っちゃ寝以外にすることが無く、思った以上に時間を持て余し仕方なく、寝転がりながらポチポチとメールを打ってる景が目に浮かぶ。
取り敢えず初メールしてみましたよ~~っ、的な気怠さも感じ取れる。案外この句に共感される方は多いのでは? 
 
 
 去年今年切り整へし髪と爪      遠藤ゆき子
 
新年を迎えるにあたって、自身の身だしなみを整える。爪を切り髪を整え、着る服・下着も新品を用意する。これも昔からの日本人の習慣だろう。
爪を切るパチンパチンという音、髪を整えるハサミのチョキンという一つ一つの音が、新たな年へのカウントダウン。新たな年を新たな自分として迎えることが出来る。
どんなに時代が下っても、こういう習慣はいつまでも大事にしていきたいものだ。
  

(最終回に続く)

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