2014年1月3日金曜日

句集『無量』の一句鑑賞 ~久才 透子~


句集『無量』の一句鑑賞

久才 透子

 
 
 虚子の忌の飛行機雲をくぐりけり        五十嵐秀彦


飛行機雲は、人が作り出した雲である。
頭上にできた飛行機雲。
はるか高いところにあって、大きな空に消えてゆく。

高浜虚子は、言うまでもなく、明治から昭和にかけて活躍した偉大な俳人である。
その功績は、現代の俳句界にいまだに影響を与え続けていると言っても過言ではない。

虚子という俳句界の巨人の忌日。
飛行機雲を、仰ぐでもなく、見上げるでもなく、くぐっているのだ。

俳句を勉強する上で、先人の句を諳んじたり、たくさん読む、触れる、
のはとても大切だと思う。
でも、どんな偉大な俳人の句でも、平伏したり、畏れ多い、と感じすぎる必要はないのだ。

時に、句ができなくて落ち込んだり、他人の句ばかり素晴らしく感じる時があるけれど、
それは自分自身が勝手に作り上げた飛行機雲のようなものなのだ。
自分は自分の句を詠めばいいのだ、と、心が軽くなる一句であった。



☆久才透子(きゅうさい・とうこ 俳句集団【itak】幹事 北舟句会)

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