2014年1月15日水曜日

俳句集団【itak】第11回イベントを終えて

 
「車輪は回りはじめている」

 
俳句集団【itak】第11回イベントを終えて
 
五十嵐 秀彦



 
 
大寒波襲来! とかいう天気予報でかなり不安な思いでいましたが、それほど荒れもせずに無事に開催できたことはありがたいことでした。
 
それというのも今回は事前申し込みの段階から60名規模になりそうな勢いで、その流れに天気が水をさすようなことになっては・・・、と思っていたからです。
 
今回は会場の都合で、いつもの道立文学館ではなく、大通公園西端の札幌市資料館に移しての開催だったことも若干の不安要素でした。
 
ところが開けてみると、来るわ来るわ。予約なしの飛び込み参加も含め、第部講演会は63名の参加数となりました。れはitak始まって以来最多の規模です。
 
さらに特筆すべきことは、これまで常連参加校であった琴似工業高校のほかに、俳句甲子園の強豪校のひとつである旭川東高校の生徒さんたちも参加。そして他校の生徒さんの単独参加もあり、itakの高校生への働きかけが少しずつ広がっていると感じられました。
 
また、東京からitakのために、異色の俳人・渡辺とうふさんも参加したり、北見からの初参加の俳人を迎えるなど、話題のことかかない顔ぶれとなりました。
 
そして、旧裁判所という歴史的建造物である札幌市資料館の明治の面影をのこす趣のある会場を満員にして、第11回イベントは開催されました。

第1部企画は、音楽家・久保田翠さんによる講演『音と言葉~うた作りの現場から~』。
その抄録は近日中にブログに発表されますが、その一部をご紹介します。
 
 
久保田さんは、金子みすゞの詩を歌曲にするお仕事を続けられています。
 
その際に、文芸作品である「詩」と音楽との関係は、既にあるテクストにただ曲を付けるというようなものではなく、音と言葉とのせめぎあいの中で時には言葉の側を変化させることも試みることがあるということ。
 
そして、詩は全体を眺められるが、音楽はそれができない。そのときの音しかとらえられない。そこにある種の時間の吹き溜まりができてしまう。
 
だからこそ、音と言葉の間に工夫がいる。
そこにある課題は、「言葉の時間」と「音の時間」の相違、あるいは固有性だろう。
 
 
粗っぽいまとめかたですが、上記のようなポイントに大変興味をひかれました。
特に言葉と音との「時間」の違いという指摘は、俳句を実作するものとしてはとても示唆に富むものであったと思いました。
 
 
部句会については55名の参加。こちらもかつて無い大句会であったため、運営が心配されましたが、幹事団の恐るべき火事場の馬鹿力(笑)でみごと時間内に納めきることができました。
人数が多かったために皆さんの意見に十分な時間がさけなかったことは今後の課題として検討していきたいと思います。
 
句会での人気五句についてはブログに既に発表しておりますのでそちらをご覧ください(まだ無記名です。のちほど作者を公開いたします)。
 
http://itakhaiku.blogspot.jp/2014/01/itak20140111.html
 
 
今回は新年句会ということもあり、イベント終了後の恒例の懇親会はホテル・さっぽろ芸文館で「新年会兼北海道文化奨励賞(五十嵐)・早稲田大学坪内逍遥大賞奨励賞(山田航)祝賀会」というものとなりました。
 
このことについては私としては、ただただ皆様に感謝申し上げるしかありません。
 
そういう企画だったために、北海道文学館の神谷忠孝理事長様、前川公美夫副理事長様、酒向憲司館長様、谷口孝男副館長様、そして北海道俳句協会の荒舩青嶺会長様がご参加くださったことも、文学館をホームとして活動している【itak】にとってありがたいことでした。
 
東京から参加の、鬼才・渡辺とうふさんが、ホテル前で「アイロンおどり」*1と呼ばれるゲリラ・パフォーマンスを行ったことも、限られた目撃者しかおりませんでしたが、今回イベントに異色の花をそえてくれました。
 
 
俳句集団【itak】イベントはもうじき丸二年となります。
手ごたえを感じながら歩んできた二年間でした。
しかしまだまだ成果が生れたとまではいえないと思っています。
 
それでも、北海道の俳壇の錆びついた車輪が軋み音をたてながら少しずつ回り始めているのではないでしょうか。
 
特定の組織や結社の後ろ楯もなく、俳句を中心としながらも超ジャンルの企画の連投に、こんなに多くの俳句愛好者が集まっているということは多少なりとも状況の変化が見えてきたのだとも考えられます。

錆びた車輪を動かすには、最初に大きな力を必要といたします。

今、ミシミシと音をたてて回り始めた北海道俳句文芸の車輪です。これを、みんなでもっと力を集めてさらに大きく動かしていきましょう。
 
itakに参加してくださる一人ひとりが、この運動の担い手であり、また変化していく状況の目撃者でもあります。

また、あらためてしつこくお伝えしますが、この運動には誰でも参加できます。

まだ参加したことのない方も、ぜひ俳句集団【itak】がこの北の地・札幌で展開している文芸運動に楽しみながら参加してみてください。



次回第12回イベントは、3月8日(土)13:00~16:50から。
会場はホームである北海道立文学館講堂にもどります。

部講演 月岡道晴氏(國學院大學北海道短大准教授・歌人)
『短詩型における「文語」と「口語」~信仰としての二分類~』

上記企画を予定しております。
 
 
「アイロンおどり」*1 後日公開予定です。お楽しみに。

 

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