2012年7月20日金曜日

【itak】第2回イベントを終えて


【itak】第2回イベントを終えて         五十嵐 秀彦



第2回イベントは46名参加で、前回と同様に盛況でした。
実は同日に道内有力俳人の句碑除幕式とぶつかり、かなりの人数がそちらに流れた様子でしたが、入れ替わりに初参加の人たちも来てくださって会場満員といううれしい状態となりました。

「龍之介俳句を語る」
はっきりと決めてしまっているわけではないのですが、第1部を講演会など企画ものとし、第2部を句会とする形で今回も進行いたしました。
講演会は、今田かをりさんの「芥川龍之介の俳句を語る」で、これが大変面白い内容で皆さんぐいぐいとひきつけられました。
なぜ龍之介が過去の句であった「水洟や鼻の先だけ暮れ残る」の句をあえて辞世の句としたのか。それをいくつかの角度から論理的に詰めていって、最後には「な~るほど!」とすっかり感心してしまう非常にスリリングな講演だったと思います。

「句会」
句会のほうもスタッフの尽力で、40名という参加者の多さを感じさせないスムーズな進行でした。
ここでなんといっても特筆したいことは、高校生の参加です。
札幌琴似工業高校文芸部の顧問の先生と3人の生徒さんが参加してくださいました。
生徒さんも他の参加者とまったく同じく2句出句し、3句選句して、マイクが回ってくればしっかりと講評を話してくれました。
不思議なものですね。十代の青年がいるだけで、場は生き生きとして参加者全員がそれだけで楽しくなってしまうようでした。
高校生参加のレポートは別稿で発表される予定です。

ここであらためて【itak】とは何なのか、高校生の姿を見ながら私はもう一度考えていました。
①誰でも参加できる自由な場とする
②実際に顔を合わせての「座」というものを重視する
③句会だけではなくプラスアルファのイベントを行う
④成果はインターネットを利用して広く発信する
基本的な枠組みはこういうことになるでしょう。
それはそれでいいのですが、では「何のために?」ということがあります。

「何のために」
これは【itak】を準備しているときから何度か繰り返し言ってきて、確認してきたことですが、私たちは組織や結社を作ることを目的としているのではありません。
停滞してしまった北海道の俳句の状況を動かすためのきっかけとしての運動を作ることが目的です。
もちろんそれを【itak】だけでできるとは思っていません。
しかし誰かがまず始めなければ状況は変わらないのです。
そして運動によって状況を変えていくためには、なんといっても新しい力が必要です。
「既存の組織、固定的なメンバー、閉鎖的な活動」
【itak】はそのすべての逆をやろうとしています。
そのことで、新しい人たち、若い人たちが活動できる場を作ろうとしています。
そしてその場は若い人たちだけではできません。
趣旨に賛同していただいた中堅、ベテランの俳人たちの協力は不可欠です。
そして相互に影響しあい、互いに研鑽していける場を作っていきたいと思っています。
ですから、今回の高校生の参加には2回目にして早くも【itak】の目指すべき道がはっきりと見えてきたように思え、また、私たちの考えた方向性が間違っていないことを確認できることでもありました。

「楽しいということ」
目的を持って、と言いながらも、句会は楽しくなければなりません。
俳句を通して互いに挨拶を交わし、心を通わせ、共感し、笑いあう。そこに座の原形があるのではないでしょうか。
まなじりをけっして、深刻なことを言い合っているようでは、新しいことは生まれてこないでしょう。
【itak】の句会には笑いがあります。
悪ふざけの笑いではありません。さわやかな笑いです。
ここに来て楽しかった。また次も遊びに来よう。
そんなイベントをこれからも続けていきたいものです。

「会場について」
第1回、第2回と会場が変わり、参加者の皆さまにはご迷惑をかけています。
キャパや料金、利便性など、模索しながらの会場選定でした。
今回のOYOYOアートセンターは大変雰囲気の良い会場で、【itak】にふさわしいところであり、今回参加の皆さまにも好評だったようです。
ただ、キャパがギリギリで今後のことを考えるとかなり厳しいことなどから、残念ながら次回はまた別会場となります。
ただ、次回会場は中島公園の北海道立文学館講堂を予定しておりまして、キャパや設備的にも余裕があることから、今後は文学館のイベントとぶつからない限りこちらを会場とする予定でおります。
つまり今後は、道立文学館が【itak】の拠点ということになります。
これは私たちにとってある意味「地の利」になりそうな予感もいたしますので、今後の活動にご注目いただきたくお願いします。
第3回イベントは詳細決まりしだいブログにアップし、またこれまでの参加者の皆さまには個別にご案内いたします。

第2回イベントの様子は、今後このブログで順次紹介してまいります。ご期待ください。

では9月8日(予定日は決まっております)第3回イベントでお会いしましょう。

3 件のコメント:

  1. 高橋 亜紀彦2012年7月20日 20:09

    お邪魔します。
    北海道だけでなく、全国各地で【itak】のような運動が出現するべきであると思います。少子高齢化等の所為?で俳句人口は減少してきているのでしょうし、紙媒体しか頭になく、ネットをフルに活用しようとする俳句指導者は少ないと思います。

    全国各地で【itak】のような躍動する俳句集団が、次々と出現したら未来にも光明が差しますしエキサイティングであると実に思います。

    北海道の俳人の方々が、とても羨ましく思えてなりません。
    イベント等、更なるご隆盛を祈念するものです。

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  2. 亜紀彦さん

    書き込みありがとうございます。
    なにかを始めること。そして、何かが始まったことを知らせること。
    内容は後からついてくるように思うのです。
    確かにいろんな場所でitakのような活動が展開されたなら、少しは面白い状況になって、新たな愛好者も生まれてくるのかもしれませんね。

    互いに置かれた場所でがんばりましょう。

    ところで、いつとは今言えませんが、そのうち【itak】から亜紀彦さんに原稿依頼がいくかもよ。
    覚悟しておいてくださいww


    五十嵐秀彦

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    1. 高橋 亜紀彦2012年7月22日 1:01

      秀彦さま

      本当に原稿依頼が来るかも知れないのですか。
      ご案内の通り、ぼくは俳句も散文も出来損ない
      のしか書けませんよ。もし、本当に依頼がある
      のなら、やさしいのにしてくださいね。

      ぼくは歳をかさねるにつれ益々、書く力が衰弱
      してきております。評とかは特に駄目であります。
      でも、覚悟はしておきますww

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