第3回週俳十句競作・落選展 句評(2) 三品吏紀
先日の【週刊俳句10句競作】に見事落選してきた三品です。
んまぁ、このままお蔵入りしちゃうのも勿体無いですからねぇ。
そしてせっかくだから、他の方々の作品も読んでみようっと。
選んだ句はランダムチョイスです。
薹 早川純子
雪しまく乳房は堅くなりにけり
雪しまき。
その寒さに耐えるのに全身が力んでいく姿に意図せず、
ただこの句を読んで感じたのは、単純に「
たちんぼのピアスの凍ててゐる数多
生きる為に自らを資本とする「たちんぼ」。
だが立ちんぼには生きていく為にこの冷たさが必要なのではないだ
☆この作品は全体的に性的要素を多分に含んだ構成になっている。 一句一句のインパクトは強いが、季語が持つ情緒を喰ってしまっているようにも思う。故に選を取るにはなかなか難しい作品だと感じたり。
失職日 高畠葉子
テーラーの鋏よく鳴く寒夜かな
全体的に小気味良く読める句だと思う。 鋏が布を「ヂョキン!」
テーラーに仕立ててもらったスーツは、
(と、我が愚兄に捧ぐw)
八歳の私が見えて雪眼鏡
子供にとって雪眼鏡やサングラスを通してみる世界は、
作者にとって雪眼鏡は、
☆タイトルの『失職日』とあるように、全体的にどこか切なさの漂う作品が多いように思う。 自分の身に起きた不条理や何かを正面から受け止めたり、あるいは巧くかわしたり、時には逃避したりという心情が、随所に感じられる。
モヨロ人 久才秀樹
軒氷柱うな垂れ歩く去勢犬
...同じ健康なオスとして、かなり同情してしまうなぁ(笑)
もし自分も去勢してしまったら、
世のオス達の悲哀の句だ(笑)
公魚や光の穴は地獄行き
氷結した湖に穴を開け、
ただこの句を読んで気になった事が一点。
地獄と云うのは「地」つまり下にあるということ。「
その点でどうも句の中で、
これについて他の方々の意見もぜひ伺ってみたいところ。
☆久才さんは現在オホーツク方面に在住で、僕と同じ時期に俳句を始めた方。寒冷地ならではの様子をうまく詠む方だ。
ただ自分にも言えることだが、それぞれの句の出来栄えにハッキリとした差があるように思う。 お互い切磋琢磨しましょう(笑)
親しき水 鈴木牛後
それぞれの手に融け雪は親しき水
実は拙句に「双の手に降りては死ぬる春の雪」
拙句では、
自然と生き物相手に仕事をしている人ならではの句かもしれない。
真白とは息子でありしころの雪
そうだよなぁ。人は歳を重ねる毎に、酸いも甘いも・
子供の頃のあの新雪の様な真白の心を持ち続けるという事は,
☆牛後さんは一句一句の完成度が高く、作品構成も綺麗に纏められている。 逆に言えば、綺麗にまとまりすぎて作品全体としての魅力がやや物足りないようにも思う。 あっさりしすぎかな?
...やや駆け足で句評を書いてみたが、それぞれの作品(自句も含め)
改めて自分の力量を知ったわけだが、淡々と結果を受け入れている。
幸い自分の周りには手本となるような俳人の方々が沢山いるので、
さ、次はどこに応募しようかなぁ(笑)
(了)
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