イタックの第46回例会が2019年11月9日に札幌市内の道立文学館で開かれ、俳人五十嵐秀彦さんと俳優小林エレキさん、漫画家田島ハルさんの3人による北海道方言の俳句をめぐるトーク「出張!サブカル句会」が行われました。事前に応募された159作品から選ばれた23作品について、道産子ネイティブの3人が楽しく解説。会場も大いに盛り上がりました。ざっくり紹介します。
秀彦 今日は事前の投稿をもとに、おしゃべりする句会です。
エレキ 俳優やっている小林エレキです。ハルさんと某ラジオ局の某番組でパーソナリティやらせてもらってます。俳句はずぶの素人。ノリで選びました。
ハル イタック参加させてもらっているのですが、いつも隅っこでぼーっとしているので、みなさんの目の前に立っているのは不思議な感じ。両脇に父と相方が座っている。それも不思議な気持ち。句を肴に、3人で楽しくやりたい。
秀彦 ラジオ番組というのは、HBCラジオの深夜番組「サブカルキック」。ゲストをよんで、よく分からない話を毎週しています。土曜日の深夜。
エレキ 最初は2時、押し出されて今は朝の4時からやってます。五十嵐先生のことは、愛情を持って「秀彦」と呼んでます。
ハル 会ったときから秀彦と言ってます。
秀彦 今日は北海道弁だけでなく、道外の方言でもオッケーとしたところ道外からも少し来ました。159句も集まって驚きました。面白かった。
エレキ 北海道弁って内地から来た方が持ってきたものが多い。調べたらこっち側だよっていうのもありました。
●全体の印象。人気の北海道弁
ハル 固有名詞の方言、ザンギ、ダイコン抜きとかもありました。
エレキ ダイコン抜きの遊び知っている人いる?
秀彦 意外と少ない。
エレキ 年代によるのかな。足を引っ張る遊びで抜けたら負け。
秀彦 「たくらんけ」も出てきた。職場で「たぐらんけ」と言われたこともある。(「たわけもの」というような意味だけど)訳してもしょうがない。たふらんけというところもあるみたい。これじゃなきゃ伝わらないというのもある。「もちょこい」(くすぐったい)とかね。
ハル 「あずましい」も「落ち着く」と訳されるけど、ちょっと違う。
エレキ サビオも北海道弁なんですね。商品名。九州のほうの会社の製品。カットバンと同じ。九州の会社が頑張ったんでしょうね。北海道で広まった。
秀彦 ネットで調べたら、これは方言だと出てた。カットバンの代表がサビオという地域が、北海道と全国で何カ所かある。千葉でもサビオだったらしい。「やきべん」(即席麺。マルちゃん「やきそば弁当」)もありましたが、僕としては北海道という印象はなかった。
エレキ やきべんって省略するのは最近かな。最近のイメージ。
ハル セコマも。正式名称になった。
秀彦 セコマは全国化した。上の世代が言っていたこともたくさんあった。「がおる」とか。ほおがこける、ぐったりしてるという意味。とても面白かった。今回は159句から、3人で10句ずつ選んだ。
●3人の選句
【7番】秋の鞦韆闇が「押ささる」と言ふ(秀彦、ハル○)
秀彦 典型的な北海道弁の活用。「なんとかさる」。これつけると面白いニュアンスが出てくる。「食べらさる」という広告がある。「巻かさる」とか。「さる」がつくと責任逃れのイメージ。スイッチが「押ささる」とか。
エレキ パンツとか見らさる。
秀彦 自分が見る訳ではない。「さる」はたくさんあったけど、これは句としてマジで作った感じ。俳句としても。
ハル 句としてかっこいい。完成度が高い。脱力、ふわっとした感じ。闇とのギャップがいいなと思った。
【11番】干柿のはぶててS字フックかな(岡山)(秀彦○)
エレキ 岡山弁?
秀彦 「はぶてて」。調べました。成長するって意味でなかったかな。干し柿って伸びるの? 形かわって、S字フックのようだと。形が歪んだと。「はぶてて」が面白いと思った一句。
【13番】 前足に手袋を履きヒトとなる(秀彦、ハル○)
ハル 手袋をはく、普通に言いますよね。
エレキ 道外ははめるっていうらしいですね。でも、履くですよね、みなさん。僕も好きな句だった。
ハル 人でなかったんかいって。お前はだれだ? 犬用の手袋もある。滑るから、寒冷地では犬に靴を履かせる。そのこととも取れる。犬が人になった。
秀彦 そうも読めるし、人間が手袋をするときに、自分の手を足の一つと思ったのかなと。自分が手袋はめたときに人なんだと気付く感じがした。
【14番】鮞(はららご)のおにぎりばくろ海老マヨと(エレキ○)
エレキ かわいい言葉。交換する。ばくる系の句はけっこうありましたしたが、コレはかわいい。庶民的な感覚で選びました。筋子とエビマヨ、交換するには対等ではない。軽く脅迫してる。筋子のおにぎりをよこせと。上下関係がしっかりしているのでは。
ハル 人間関係見え隠れする深い句。
秀彦 学生時代、方言だと思わないで使う方言だよね。道外では100%通じないです。でも、方言ステータスもあって、東京では方言がもてはやされることもある。
【20番】俺ゲッパJBゲロッパ狂咲(兵庫)(秀彦○)
ハル ラップみたい。
秀彦 北海道の人ではない。兵庫の人。ゲッパ、言わなくなった。知らない? ゲッパは「ビリ」という意味。運動会で一番最後、ゲッパって言われる。
会場 「ゲレッパ」って言ってました。
秀彦 げれっぱは、げっぱの活用形。げっぱ、げれっぱ、ゲロッパと活用する。
エレキ ファンキーですね。
ハル ジェームス・ブラウンが俳句になる。季語がいいですよね。上手。
【31番】寒蟬の遠くかしがるゴッホの絵(ハル○)
ハル 「かしがる」が方言。愛媛の人だけど、愛媛の方言なのかな? 北海道? 傾くの意味。
秀彦 北海道でものすごい使います。標準語だと思っていた。「かしげる」はある。「かしがる」はない。「かしがさる」が、「かしがる」になったのではないか。「さ」が抜けて、音便化になると。
エレキ 押ささるの「さる」?
ハル この絵が傾いてるの、おれのせいじゃねーしって感じですね。俳句として好きと思って取りました。
【34番】わかさいもって芋入ってないっしょ(愛媛)(3人とも○)
秀彦 ストレートな句。つい取ってしまった。
エレキ 勢いがある。「そうだね」と言わさる感じが好き。
ハル 道民の常識。芋の食感を出すために、白あんに細い昆布を入れている。
秀彦 愛媛の人だけど、北海道への望郷の句と思った。泣けてくるな。ないっしょ、「しょ」というのは消えることがないと思う。
会場 「内緒」とかけているのでは?
3人 イントネーションはちょっと違うけどね。
エレキ 役者やってて気を付けてはいるけど、北海道は「椅子」「コーヒー」もイントネーションが微妙に違う。NHKのナレーションの仕事もするのですが、NHKはイントネーションに厳しいです。
【39番】木枯の身にじぇんこ無しべんこふる(ハル○)
ハル 取ってるけど分からなかった。
エレキ 「ジェンコ」は分かった、「べんこ」は調べた。ゼニコのこと。飲み代ないという感じかな。
秀彦 「ジェンコねえんだわ」は、よく言った。品がないほうかな。ジェンコは「ない」と続くのが北海道弁。ある時はじぇんことは言わない。べんこふるは分からなった。おべっか使うという意味だって。結構知っている人いますね。ご機嫌を取るとか。
【43番】こわいって言うから檸檬煮ておいて(エレキ○)
エレキ 「こわい」って面白いな。疲れただけど、けだるい感じもある。優しい感じがある。ばあちゃんが良く言っていた。
秀彦 「こわい」と「疲れた」は語感が違う。肌で分かる。東北でも言うはず。
ハル クエン酸とってねってこと。
【47番】したっけさなまら亀虫いるだべや(エレキ、秀彦○)
エレキ やけくそ加減がすてきだなーと思いました。カメムシの脅威、錯乱している感じ。
秀彦 「したっけ」「なまら」「だべや」。ここまでコテコテに入れてくるのは驚いちゃった。全部分かるよね。したっけは後の世代ではないかな。俺の印象では子供のころは使っていなかった。「したっけ」って別れるじゃない。高校生くらいから使っていた。何だそれはと思った。函館では昔からあいさつであったと。
会場 「したらね」って言ってました。
【58番】こんぼほりしてデレッキで叩(はた)かれる(ハル、秀彦○)
秀彦 デレッキとジョンバも石炭ストーブがらみですよね。懐かしい。ごんぼほり分かります? だだこねる。子供叱るとき。デレッキでたたいたら、死ぬよね。今だと虐待ですね。デレッキの語源はよく分からない。英語、オランダ語らしいけど、はっきりしないみたい。石炭ストーブが入ったときになまって。私の親は、なぜかロシア語といっていた。噓を教えられて信じていた。
【61番】七五三めんこにじぇんこあげらさる(ハル○)
ハル おこづかいを、かわいい子に「あげらさる」。
エレキ 冬が厳しい分、自分にやさしく。
【67番】つっぺした内縁の妻食うおでん(エレキ○)
エレキ 鼻が止まらない時にティッシュとか詰めるのが「つっぺ」。
ハル 長くしてしまうと、汁物とか食べる時についたりしてね。
秀彦 内縁の妻、すごいよね。詩的喚起力がある。おふざけ企画に乗じて真剣な句を出している。上五変えれば、深刻な句になる。
エレキ エロいですよね。
ハル ちょっとかわいいかも。
【76番】愛犬もかててゲロリや冬晴るる(ハル○)
ハル 「ゲロリ」はググっても出なくて…。ゲタスケートのこと? 「かてて」は仲間に入れる。
秀彦 雪スケート? 知らないでしょ。ゲロリがどんな道具が分からないけど。ゲタの裏側に竹などをつけて滑る「ゲロリ」。
会場 小樽ではあった。ゲタスキーとか。
秀彦 雪スケートと言っていた。道のつるつるしたところ、ゲタに歯がついている。明治から昭和初期に使われたって。
会場 「がんじゃスケート」
ハル 勉強になりましたね。
【83番】重ね着のゴムたごまっていずぃいずぃ(エレキ、ハル○)
エレキ 「いずい」って独特。違和感みたいのが「いずい」。たごまる、「だごまさる」とも言うよね。靴下だごまさるって。「い」が小さいのもかわいい。
秀彦 「たごまる」も標準語と思っていた。
【95番】冷蔵庫開けて羆はおっちゃんこ(秀彦○)
秀彦 実際にヒグマってやるんだよね。冷蔵庫を前足で開けて、食べる。知床などである。「おっちゃんこ」は方言なんですね。おっちゃんがおっちゃんこ。
【97番】なんもにはなんもとかえすねこじゃらし(秀彦○)
秀彦 「なんもさ」って言わない? 優しいよね。親身になってくれている。「大丈夫」よりも「なんもさ」のほうがいい。なくしたくない言葉。
エレキ 「なんも。泊まっていけばいいっしょ」みたいに使う。
ハル ぶっきらぼうな感じがするけど温かい言葉。
【103番】新米のなまら美味くて食べらさる!(エレキ○)
エレキ 本当にその通りだなって思って。ビックリマークに勢いがあって選ばさりましたね。
秀彦 なまら使わなくなってない?
エレキ 若い人は使わなくなっている。祖父祖母がいない家庭は、方言あまり言わなくなる。
秀彦 なまら美味いは、いいな。こんな感じだよね。
【112番】ありつたけサビオを壁に貼る夜寒(千葉)(エレキ○)
エレキ サビオを壁に張るのかって。台風に備えているのかなとも思ったけど、太刀打ちできないよなって。不思議な俳句と思って。
秀彦 千葉なんだよね。ネットで調べて使ったのかな。かなりの人、上手だよね。シュールだし、怖いよね。すごい句だよね。
【129番】だらせんのこったらべっこ秋じめり(ハル○)
ハル 「こったらべっこ」ピンと来ないので調べました。ほんの少し。あまり言わない?
エレキ おばあちゃんに「ご飯、こたっらべっこ残して。はんかくさい」って言われた。
ハル そういえば「お米あめるしょ(いたむでしょ)」っていうのも。
エレキ 「こったらもん」って言いますよね。こったらべっこ、妖怪の名前みたい。
【134番】デレキよりジョンバで叩くほうが好き(エレキ、秀彦○)
エレキ 「ジョンバ」は「シャベル」だよね。SM的な要素かなと。性癖的な。それかなと思って、面白いと思って。
秀彦 叩かれたら大変だよね。石炭をすくうスコップだよね。プラスチックのスコップってあるけど。
会場 木で作ったものがジョンバ。
秀彦 僕は鉄のイメージだった。
【143番】 銀杏並木いいふりこきとそれ以外(秀彦○)
秀彦 いいふりこき、いい言葉だよね。決定的な言葉はないよね。「こき」がいい。感情が込められている。俳句のテクとしても良くできている。
【152番】いなびかり妻をばくれと唆す(エレキ○)
エレキ たまにばくるのもいいかなと。妻を「ばくる」ってなかなかですよね。
ハル 「唆(そそのか)す」相手がいるんですね。
秀彦 稲に米を作らせるために「稲つるみ」から。稲の妻とかもいう、これも結構な俳人が作っていると思う。
2020年2月26日水曜日
2019年7月21日日曜日
第44回イベント抄録 『俳句の中に出てくるカエルの生態』
「古池や蛙とび込む水のおと」の「おと」は
「ドボン!ドボン!ドボン!」だった!
第44回イベントは、高井孝太郎さんに『俳句の中に出てくるカエルの生態』という題名で講演をしていただきました。高井さんは北海道大学北方生物圏フィールド科学センターや「北海道爬虫両生類研究会」でカエルの研究に打ち込んでおられます。
◆略歴
1979年、帯広市生まれ。北海道大学北方生物圏フィールド科学センター学術研究員。水田など身近な環境にいる生き物に興味を持ち、その中でも代表的なカエルの生態を研究して15年になる。
◆講演詳報
カエルは世界におよそ6700種、日本に48種いるそうです。
不思議な生態を持つカエルも多く、例えば、寒冷地に住んでいるアカガエルの仲間はかちんこちんに凍っていて解凍して息を吹き返します。オーストラリアの乾燥地帯にいるカエルは蟻塚でシロアリを食べながら生きています。さらに空跳ぶカエルもいて、モモンガのようにひれのところを発達させて滑空します。
北海道のカエルですが、在来種は春先に見かけるエゾアカガエルと、田んぼや草原で見かけるニホンアマガエルの2種です。エゾアカガエルのオタマジャクシは、外敵に食べられないよう頭を膨らませる。世界でも例のないカエルです。
さらに北海道の外来種のトノサマガエルのDNAを調べると、兵庫県や島根県から来ている個体が石狩平野に広がっていることが分かります。トノサマガエルにそっくりなトウキョウダルマガエルは東京・町田市が由来です。
俳句の本題に入ります。春の季語の時期に繁殖するカエルは、ヤマアカガエル、ニホンアカガエル、ニホンヒキガエル、アズマヒキガエルがあり、北海道だとエゾアカガエルになります。夏はモリアオガエル、シュレーゲルアオガエル、北海道ではニホンアマガエルなどが該当します。
渓流などきれいな流れのところに住むカジカガエルは、かなり澄んだ声で鳴きます。昔、俳句を作った方々が聞いたのはカジカガエルが多いのではないでしょうか。
有名な句に、松尾芭蕉の「古池や蛙とび込む水のおと」があります。このカエルがどのカエルなのか、僕なりに分析してみました。
「蛙」なので春の季語。文献を読むと、詠まれた場所は深川(今の東京都江東区深川)の芭蕉庵。この時期に池の周りをたむろしているカエルは、ニホンアカガエル、トウキョウダルマガエル、アズマヒキガエルです。繁殖の準備でニホンアマガエルも出てきているかもしれません。
この中で跳び込むという動作を行うのは、主にトウキョウダルマガエルになります。
じゃあ跳び込む音はどんな音だろうかと。
僕も最初は「ポチャン」という音を連想しました。でも芭蕉が生きた時代は環境が良くて、たくさんのカエルがいたことと思います。そうしたら「ドボン!ドボン!ドボン!」という音になります(会場笑)。芭蕉が見たのは複数のカエルだと思います。
それから小林一茶の「やせ蛙まけるな一茶これにあり」。これも諸説あるんでしょうけど、武蔵国で「蛙合戦」を見たときの句だというのを読みました。蛙合戦というと今も昔もヒキガエルです。一茶は、ヒキガエルが繁殖のために大集団になっている景色を見たのだと思います。押しくらまんじゅうのようにわんさかいて、一つのつがいが池に入ると、5、6匹のオスが集まってきてメスを巡って争います。
◆代表五十嵐秀彦さんとの質疑応答
(五十嵐さん)「古池や」の句の蛙は複数だったということですか。この句の蛙が単数なのか複数なのか結構前から議論になっているんです。この句を英語に翻訳するときに、「S」を付けるか付けないかで問題になったんです。結論の出る話ではないんですが、「ポチャン」という印象でみんな思っていたようですが、今はたぶん複数なんじゃないかという説が強くなってきています。ですので「カエル複数説」の重要な発言がありました(会場笑)。これは夜だったんでしょうか、昼だったんでしょうか。
(高井さん)たぶん日中だと思います(会場笑)。
(五十嵐さん)それはこの句に対する先入観を裏切る話なんです。
(高井さん)実は単数か複数かいうことにはかなり思い込みが強いんです。昔の芭蕉がいた時代なら、おそらく自然がすごく残っていると。そんな中でそんな池があったらカエルの数が一匹じゃすまないだろうという先入観から複数です。なおかつ自分の調査の体験から、「ドボン!ドボン!ドボン!」となったんじゃないかなと思いました。実は、夜はカエルはあんまり動かないんです。僕もトノサマガエルやトウキョウダルマガエルを捕まえるときは、夜にライトを照らして近づくんです。そうすると、よっぽどカエルの横に足を入れたりしない限り、動かないんです。ですので芭蕉が池の周りをぐるっと回って、カエルを捕まえてやるぞという勢いで回ってるのなら、もしかしたらカエルを踏みそうになって、池に跳び込んで「ポチャン」と鳴ったかもしれないですけど。ただ、もし池に近づいたというだけなら、カエルが跳ぶというのは日中じゃないと見られないと思います。
(五十嵐さん)ものすごい指摘だと思いますが、近づいたから跳び込んだんでしょうか。
(高井さん)多分そうだと思います。ただ、何もしなくても跳ぶこともあるんです。でももし何か一匹が跳び込んだら、その音に驚いて他のカエルも跳び込むことがあるので、近づいて跳び込んだかどうかは分からないですね。
(五十嵐さん)ほとんどの人は、この句は夜で、しかも芭蕉は庵の中にいて聞いたと思っています。もちろんはっきりしたことは分からないけど、昼間で、芭蕉は外を歩いていて、カエルは複数で「ドボン!ドボン!ドボン!」と落ちた。これはすごい新説です。おもしろいです。
(高井さん)確かに僕も初めてこの句を詠んだときに抱いたイメージは、家の中で聞いていて、夜など静かなとき、なおかつ一匹ポチャンと行ったのかもと思ったんですが、実際に夜と朝、繁殖期と非繁殖期とカエルを追いかけて、改めてこの句と向かい合うと、そっちじゃないかなと思ったんです。
(了)
2019年1月27日日曜日
俳句集団【itak】第37回イベント抄録 『ベトナム季節感から生まれる季語』
俳句集団【itak】第37回イベント 講演会詳報
『ベトナム季節感から生まれる季語』 グエン・ヴー・クイン・ニュー
俳句集団【itak】の第37回のイベントが2018年5月12日、道立文学館(札幌市中央区中島公園)で開かれ、ベトナム人俳句研究者グエン・ヴー・クイン・ニューさんが講演しました。ニューさんは、ベトナムでの俳句の普及にも携わっており、国際日本文化研究センター(京都)で「国際化時代の新たな日本古典学―ベトナムにおける教育実践の研究―」というテーマで研究を行っています。講演では、ベトナムにおける俳句事情や季節感について解説。今はまだ発刊されていない「ベトナム歳時記」の可能性について探りました。
詳報を掲載します。
◆◆◆
きょうは「季節感」について話したいと思います。でも、うまく話せるのか、とても緊張しています。というのも、ベトナムと日本の気候は、だいぶ違うからです。私はベトナムの南部に生まれましたが、特に北海道とは、季節の違いはとても大きいです。日本は古くから和歌などで季節が詠まれ、歳時記もあります。ベトナムには歳時記もないですし、「季語」も分からない人が多いです。
●ベトナムの季節
始めに、ベトナムはどんな季節があるのかを説明します。ベトナムは南北に長い国です。大きく北部、南部、中部に分かれています。私は南部で生まれました。両親は北部です。北部と南部では少し季節が違います。北部には少し四季のイメージがあると思いますが、南部は一年中暑い。常夏です。平均気温も22度くらい。今日(5月)も、35度くらいあると思う。とても暑い。日本の四季のイメージはありません。中部は雨が多いけど、そんなに寒くない。南部出身の私が京都に行くときには、「とても寒いけど大丈夫?」と言われました。
ベトナムには基本的に乾期と雨期しかありません。11月から4月までが乾期、5~10月が雨期です。南部、中部では少しずれますが。ですから、ベトナムの俳句では、季語を軽視する傾向にある。季節を感じていないので、「なぜ、ベトナムで季語が俳句に必要なのか」という論議もあります。
ベトナムの俳句を一つ紹介します。
Tay cầm vô lăng (タイ・カム・ヴォー・ラン)
xoay vòng đời(ソアイ・ヴォン・ドイ)
sinh – tử(シン・トゥー)
ルウ・ドック・チュン作
「ハンドルや人生の輪を生きる死ぬ」(日本語訳)
この俳句を見ても、季語はなさそうですね。
そもそも、ベトナムには、いつから「俳句」が広まってきたのか? ベトナムではもともと、漢字が使われていましたが、1945年にフランスから独立して、ローマ字が導入されました。日本の俳句は、主に北部に入ってきて、1986年ごろに高校の教科書に松尾芭蕉などが使われました。ただ、当時はあまり俳句は、普及しませんでした。2007年、ベトナムで初めて日越俳句コンテストが開催されました。そのとき私は日本総領事の広報文化班で仕事をしていました。このコンテストで、俳句がブームになってきました。昨年(2017年)は第6回を迎えました。はじめは日本語部門、ベトナム語部門がありましたが、第5回からベトナム語部門だけになっています。
コンテストでは、独自の(俳句の)ルールを作りました(3行で書き表し、各行の文字数=単語数=は5・7・5文字=単語=を超えない)。
また季語も問いませんでした。テーマや季語はありません。私は季語を導入したかったのですが、反対されました。もう10年もたって、慣れてしまっているので、このルールを変えるのは難しいかなと思います。
ベトナム語には、一つの字に一つの音があり、それぞれ六つの声調があります。北部が標準(発音)と言われ、中部、南部では発音も違います。日本でも方言がありますよね。六つの声調があるので、意味が分からなくても(ベトナムの俳句は)歌のように聞こえると言われます。日本の俳句よりもリズムがあると言われます。
Mộ bên đường モー・ベン・ドウン
Cơn mưa phùn ướt コン・ムア・フン・ウオット
Sân khấu dế non. サン・カウ・ゼー・ノン
「道の墓 霧雨の中 虫奏で」(日本語訳)
(チャン・ズイ・クオ作、第5回日越俳句コンテスト2015年、ベトナム語部門第一位)
ベトナムでは短い詩が好まれるので、俳句もすぐにブームとなりました。ただ、5・7・5にはならず、3・4・3のような形が多いです。日本のように季語ではなく、周りの生活のきれいなことを表現できたら、それを詩にする。
Trái đất luôn quay tròn チャイ・ドァット・ルオン・クアイ・チョン
Bình minh nơi bạn sớm hơn tôi ビン・ミン・ノイ・バン・ソム・ホン・トイ
Gọi tôi dậy, bạn ơi ゴイ・トイ・ザイ・バン・オイ
「地球はぐるぐる回る あなたの所はもう朝ね 私を起こして」(日本語訳)
(ニン・クイン・ニュー作= 女子 13歳、第14回世界こどもハイクコンテスト"朝" 大賞作品)
JALの世界こども俳句コンテストベトナム大会の作品です。これは5・7・5となっています。子供のほうが5・7・5となることが多いようです。子供コンテストには「題」があります。これは「朝」という題。子どもから俳句を始めるなら、季題があったほうがいいと思います。
●季節感はあるのか?
ベトナムの雨期と乾期があると言いましたが、俳句でも雨期と乾期を詠んだ作品が多いです。「雨」とか「干ばつ」とか。「雨」のほうが多いかな。干ばつはあまりイメージがわかないので、雨がよく俳句になっています。
では、ベトナムの季語は本当に必要なのか? 私はこの問題を一度論文に書いたことがあります。今は少しお休みしていますが、研究はしています。ベトナムでは季節が把握できないので、自分の俳句の中に季語を入れることは難しい。季語は軽視されがちです。あっても偶然の場合が多い。季語のイメージがないことが問題です。でも実は、伝統的な詩には、自然を表すものが多い。なのに、俳句にどうして季語を導入できないのか。残念だなと思っています。
Nhumg co hang xen rang den ニュン・コー・ハン・ソム・ラン・デン
Cuoi nhu mua thu toa nang... クォイ・ニュー・ムア・トゥ・トア・ナン
「小間物屋のお歯黒の娘、その笑顔は秋光の如し…」(日本語訳)
伝統的な詩人ホアン・カムの詩です。「秋光」(mua thu toa nang)という言葉があります。ベトナムでも詩の中に自然や季節を表すことはあります。
私は、ベトナムでも季語が導入できると思っています。形式よりは季語が大事と思っています。「お歯黒」の詩を見ても分かるように、伝統的な文化の中に自然を表せることはできます。雨期、乾期だけでも俳句で表せると思っています。
Nước đè ヌオック・デー
ngói nâu ngụp lặn ゴイ・ナウ・グップ・ラン
cây dang tay đón người カイ・ザン・タイ・ドン・グオイ
「水溢れ タイル浸漬 木が迎え」(日本語訳)
(チャン・ティ・フェ、第5回日越俳句コンテスト)
台風、浸水、洪水はよくあるので、このような句ができます。「水溢れ(Nước đè)」「浸漬(ngụp lặn)」などは、季語としても使えると思います。
●歳時記の可能性
季語をルールとして導入するためには、「歳時記」をつくることが必要だと思っています。私が今、日文研(国際日本文化研究センター)で勉強しているのは、いつかわからないけど、目標としてベトナムの歳時記できたらいいと思っているからです。私が勝手に考えている季語のことを紹介したいと思います。
ベトナムにも、時候、天文、自然観、年中行事などがあり、季語は十分集められます。例えば、メコンデルタには「取水期」というのがあります。6~9月。これも季語として導入できるかなと考えています。
季節によって花も違います。ベトナムには旧正月の花があります。1月末から2月中旬くらい。梅のような花ですが、北部は赤く、南は黄色です。同じ国なので、同じ旧正月なのに違う花です。3月のカーペー。コーヒーの花です。5月には「火炎樹」という花があります。学生にとって大きな意味のある花です。高校生活、試験シーズンが終わる時期で、この花を見ると学生時代を思い出します。この花から押し花を作って、学生時代の記念にします。6月はハスです。ハノイの花です。南部はハスは8月となります。日本人の人たちと8月に初吟行を行いましたが、南部ではハスを見ました。10月は北部で菊があります。12月にも、いろんな花があります。
果物もあります。6月はライチのシーズン。2月はスイカやマンゴー。日本で2月に俳句を作ったときに、「スイカ」を使ったら、だめだと言われました。だったらマンゴーにしたら、それもダメと。日本は両方とも、夏だから。ベトナムではスイカは2月なのですが…。6月にベトナムに来られたら、バイクのカゴにはライチが山積みになっていると思います。ライチは北部ハノイしかありません。北のほうだけれど、トラックに詰んで中南部に運んできます。道にいるとトラックやバイクのかごにいっぱいのライチを見ることができます。
生活の中にも、季語になれる言葉があると考えています。
アオザイのすそひるがえる通り雨
(グエン・ホアン・ヴー、2009年第2回日越俳句コンテスト、日本語俳句部入賞2位)
ベトナムは9月が入学の時期です。お母さんが、娘のためのアオザイを用意する。学生のときには白いアオザイあります。
農業の生活の中にも季語を表せるものがあります。ベトナムの俳人にも季語を反対する人がいますが、私は季語がないのはもったいないと思っています。乾期・雨期しかないと言われるけど、季語はつくれると思います。
ベトナムでは、雨期に傘ではなく、カッパ、レインコートを着ます。バイクを運転するので傘は使わない。みんなカッパを着てバイクを運転します。レインコート、カッパも季語になれると考えます。
●ベトナムの行事
年中行事もいっぱいあります。毎月いろいろあります。日本もそうですが、中国から入り込んでいる行事があります。年中行事の中に季節の変化が現れるものもあります。
日本にはないものとして、ベトナムには11月20日に「先生の日」があります。また、3月8日、10月20日と女性の日が、年に2回あります。女性への感謝の気持ちがあります。でも、逆に男性の日はありません。女性の日には男性が薔薇の花を渡します。これも季語になれると思います。バレンタインデーは、ベトナムでは男性から女性に贈ります。花とか薔薇とかチョコとか。3月14日の「ホワイトデー」はベトナムにはありません。9月が入学です。
旧正月のときには、お餅を食べます。お菓子もあります。これも季語になれます。月ごとに言葉を集めればベトナムでも歳時記ができるのかなと思います。
日本の人が、ベトナムについて詠んだ俳句があります。
玉を守る戦士の墓やハンモック(西野徹)
ベトナム吟行にいった際にハンモックについて読んだものです。感動しました。
4月30日には大きな行事があります。解放記念日です。南部とアメリカの戦争が終わった日です。暑い時期ですから海や公園に行きます。涼しいところに行きます。ハンモックについてどういうイメージがありますか? 暑いから公園にいってハンモックをかけて過ごす。日本人がハンモックを詠んでくれて感動しました。
目標としては、ベトナムでも300の言葉を集めれば、季語を作れると思います。今回紹介したものを集めても、100くらいの言葉は季語になるのではないかと考えている。ほかにも生活、文化の中に、季語を表す言葉があると思います。
ベトナムに、「母の日記 / Nhật Ký Của Mẹ」(ハイ・チュウ)という有名な歌があります。(→https://www.youtube.com/watch?v=yRTntSSjnc4)
とても有名で人気があります。日本語にも訳されています(よしもとかよ訳)。
歌詞の中に、季語としての言葉がたくさんあります。「登校」「夏の終わり」「太陽の光」「試験(ベトナムでは7月)」「雨の後」など。一つの歌だけでも、生活の中にたくさん季語がある。だから、ベトナム語の歳時記を作りたい。ベトナム俳人の中に、歳時記をつくるという考え方は、今は私しかいないと思います。
こんなことがありました。
けあらしのパトカー早朝出動す(太田惇子)
「現代俳句歳時記」に「けあらし」という季語の句がありました。そこで私もけあらしの句を作りました。
けあらしに水際知らぬ声を出す(グエン・ヴー・クイン・ニュー)。
京都の句会に出したら、みんな、「けあらし」が分からなかった。違う句に変えてみたらとも言われました。歳時記にある季語なのに…。「けあらし」は東京の人にも分からない。2年前に「itak」に参加してみたら、さすがにみんな知っていました。同じ国の中でも分からないことがあります。ましてや国が違ったら、文化も違う、気候も違う。
新しいこと、新しいルールを入れることは難しいことですが、頑張っています。一人は無理なので、日本で勉強して、みなさんに協力していただければ、将来的には歳時記はできると思います。意見などいただければありがたいと思っております。
(了)
『ベトナム季節感から生まれる季語』 グエン・ヴー・クイン・ニュー
俳句集団【itak】の第37回のイベントが2018年5月12日、道立文学館(札幌市中央区中島公園)で開かれ、ベトナム人俳句研究者グエン・ヴー・クイン・ニューさんが講演しました。ニューさんは、ベトナムでの俳句の普及にも携わっており、国際日本文化研究センター(京都)で「国際化時代の新たな日本古典学―ベトナムにおける教育実践の研究―」というテーマで研究を行っています。講演では、ベトナムにおける俳句事情や季節感について解説。今はまだ発刊されていない「ベトナム歳時記」の可能性について探りました。
詳報を掲載します。
◆◆◆
きょうは「季節感」について話したいと思います。でも、うまく話せるのか、とても緊張しています。というのも、ベトナムと日本の気候は、だいぶ違うからです。私はベトナムの南部に生まれましたが、特に北海道とは、季節の違いはとても大きいです。日本は古くから和歌などで季節が詠まれ、歳時記もあります。ベトナムには歳時記もないですし、「季語」も分からない人が多いです。
●ベトナムの季節
始めに、ベトナムはどんな季節があるのかを説明します。ベトナムは南北に長い国です。大きく北部、南部、中部に分かれています。私は南部で生まれました。両親は北部です。北部と南部では少し季節が違います。北部には少し四季のイメージがあると思いますが、南部は一年中暑い。常夏です。平均気温も22度くらい。今日(5月)も、35度くらいあると思う。とても暑い。日本の四季のイメージはありません。中部は雨が多いけど、そんなに寒くない。南部出身の私が京都に行くときには、「とても寒いけど大丈夫?」と言われました。
ベトナムには基本的に乾期と雨期しかありません。11月から4月までが乾期、5~10月が雨期です。南部、中部では少しずれますが。ですから、ベトナムの俳句では、季語を軽視する傾向にある。季節を感じていないので、「なぜ、ベトナムで季語が俳句に必要なのか」という論議もあります。
ベトナムの俳句を一つ紹介します。
Tay cầm vô lăng (タイ・カム・ヴォー・ラン)
xoay vòng đời(ソアイ・ヴォン・ドイ)
sinh – tử(シン・トゥー)
ルウ・ドック・チュン作
「ハンドルや人生の輪を生きる死ぬ」(日本語訳)
この俳句を見ても、季語はなさそうですね。
そもそも、ベトナムには、いつから「俳句」が広まってきたのか? ベトナムではもともと、漢字が使われていましたが、1945年にフランスから独立して、ローマ字が導入されました。日本の俳句は、主に北部に入ってきて、1986年ごろに高校の教科書に松尾芭蕉などが使われました。ただ、当時はあまり俳句は、普及しませんでした。2007年、ベトナムで初めて日越俳句コンテストが開催されました。そのとき私は日本総領事の広報文化班で仕事をしていました。このコンテストで、俳句がブームになってきました。昨年(2017年)は第6回を迎えました。はじめは日本語部門、ベトナム語部門がありましたが、第5回からベトナム語部門だけになっています。
コンテストでは、独自の(俳句の)ルールを作りました(3行で書き表し、各行の文字数=単語数=は5・7・5文字=単語=を超えない)。
また季語も問いませんでした。テーマや季語はありません。私は季語を導入したかったのですが、反対されました。もう10年もたって、慣れてしまっているので、このルールを変えるのは難しいかなと思います。
ベトナム語には、一つの字に一つの音があり、それぞれ六つの声調があります。北部が標準(発音)と言われ、中部、南部では発音も違います。日本でも方言がありますよね。六つの声調があるので、意味が分からなくても(ベトナムの俳句は)歌のように聞こえると言われます。日本の俳句よりもリズムがあると言われます。
Mộ bên đường モー・ベン・ドウン
Cơn mưa phùn ướt コン・ムア・フン・ウオット
Sân khấu dế non. サン・カウ・ゼー・ノン
「道の墓 霧雨の中 虫奏で」(日本語訳)
(チャン・ズイ・クオ作、第5回日越俳句コンテスト2015年、ベトナム語部門第一位)
ベトナムでは短い詩が好まれるので、俳句もすぐにブームとなりました。ただ、5・7・5にはならず、3・4・3のような形が多いです。日本のように季語ではなく、周りの生活のきれいなことを表現できたら、それを詩にする。
Trái đất luôn quay tròn チャイ・ドァット・ルオン・クアイ・チョン
Bình minh nơi bạn sớm hơn tôi ビン・ミン・ノイ・バン・ソム・ホン・トイ
Gọi tôi dậy, bạn ơi ゴイ・トイ・ザイ・バン・オイ
「地球はぐるぐる回る あなたの所はもう朝ね 私を起こして」(日本語訳)
(ニン・クイン・ニュー作= 女子 13歳、第14回世界こどもハイクコンテスト"朝" 大賞作品)
JALの世界こども俳句コンテストベトナム大会の作品です。これは5・7・5となっています。子供のほうが5・7・5となることが多いようです。子供コンテストには「題」があります。これは「朝」という題。子どもから俳句を始めるなら、季題があったほうがいいと思います。
●季節感はあるのか?
ベトナムの雨期と乾期があると言いましたが、俳句でも雨期と乾期を詠んだ作品が多いです。「雨」とか「干ばつ」とか。「雨」のほうが多いかな。干ばつはあまりイメージがわかないので、雨がよく俳句になっています。
では、ベトナムの季語は本当に必要なのか? 私はこの問題を一度論文に書いたことがあります。今は少しお休みしていますが、研究はしています。ベトナムでは季節が把握できないので、自分の俳句の中に季語を入れることは難しい。季語は軽視されがちです。あっても偶然の場合が多い。季語のイメージがないことが問題です。でも実は、伝統的な詩には、自然を表すものが多い。なのに、俳句にどうして季語を導入できないのか。残念だなと思っています。
Nhumg co hang xen rang den ニュン・コー・ハン・ソム・ラン・デン
Cuoi nhu mua thu toa nang... クォイ・ニュー・ムア・トゥ・トア・ナン
「小間物屋のお歯黒の娘、その笑顔は秋光の如し…」(日本語訳)
伝統的な詩人ホアン・カムの詩です。「秋光」(mua thu toa nang)という言葉があります。ベトナムでも詩の中に自然や季節を表すことはあります。
私は、ベトナムでも季語が導入できると思っています。形式よりは季語が大事と思っています。「お歯黒」の詩を見ても分かるように、伝統的な文化の中に自然を表せることはできます。雨期、乾期だけでも俳句で表せると思っています。
Nước đè ヌオック・デー
ngói nâu ngụp lặn ゴイ・ナウ・グップ・ラン
cây dang tay đón người カイ・ザン・タイ・ドン・グオイ
「水溢れ タイル浸漬 木が迎え」(日本語訳)
(チャン・ティ・フェ、第5回日越俳句コンテスト)
台風、浸水、洪水はよくあるので、このような句ができます。「水溢れ(Nước đè)」「浸漬(ngụp lặn)」などは、季語としても使えると思います。
●歳時記の可能性
季語をルールとして導入するためには、「歳時記」をつくることが必要だと思っています。私が今、日文研(国際日本文化研究センター)で勉強しているのは、いつかわからないけど、目標としてベトナムの歳時記できたらいいと思っているからです。私が勝手に考えている季語のことを紹介したいと思います。
ベトナムにも、時候、天文、自然観、年中行事などがあり、季語は十分集められます。例えば、メコンデルタには「取水期」というのがあります。6~9月。これも季語として導入できるかなと考えています。
季節によって花も違います。ベトナムには旧正月の花があります。1月末から2月中旬くらい。梅のような花ですが、北部は赤く、南は黄色です。同じ国なので、同じ旧正月なのに違う花です。3月のカーペー。コーヒーの花です。5月には「火炎樹」という花があります。学生にとって大きな意味のある花です。高校生活、試験シーズンが終わる時期で、この花を見ると学生時代を思い出します。この花から押し花を作って、学生時代の記念にします。6月はハスです。ハノイの花です。南部はハスは8月となります。日本人の人たちと8月に初吟行を行いましたが、南部ではハスを見ました。10月は北部で菊があります。12月にも、いろんな花があります。
果物もあります。6月はライチのシーズン。2月はスイカやマンゴー。日本で2月に俳句を作ったときに、「スイカ」を使ったら、だめだと言われました。だったらマンゴーにしたら、それもダメと。日本は両方とも、夏だから。ベトナムではスイカは2月なのですが…。6月にベトナムに来られたら、バイクのカゴにはライチが山積みになっていると思います。ライチは北部ハノイしかありません。北のほうだけれど、トラックに詰んで中南部に運んできます。道にいるとトラックやバイクのかごにいっぱいのライチを見ることができます。
生活の中にも、季語になれる言葉があると考えています。
アオザイのすそひるがえる通り雨
(グエン・ホアン・ヴー、2009年第2回日越俳句コンテスト、日本語俳句部入賞2位)
ベトナムは9月が入学の時期です。お母さんが、娘のためのアオザイを用意する。学生のときには白いアオザイあります。
農業の生活の中にも季語を表せるものがあります。ベトナムの俳人にも季語を反対する人がいますが、私は季語がないのはもったいないと思っています。乾期・雨期しかないと言われるけど、季語はつくれると思います。
ベトナムでは、雨期に傘ではなく、カッパ、レインコートを着ます。バイクを運転するので傘は使わない。みんなカッパを着てバイクを運転します。レインコート、カッパも季語になれると考えます。
●ベトナムの行事
年中行事もいっぱいあります。毎月いろいろあります。日本もそうですが、中国から入り込んでいる行事があります。年中行事の中に季節の変化が現れるものもあります。
日本にはないものとして、ベトナムには11月20日に「先生の日」があります。また、3月8日、10月20日と女性の日が、年に2回あります。女性への感謝の気持ちがあります。でも、逆に男性の日はありません。女性の日には男性が薔薇の花を渡します。これも季語になれると思います。バレンタインデーは、ベトナムでは男性から女性に贈ります。花とか薔薇とかチョコとか。3月14日の「ホワイトデー」はベトナムにはありません。9月が入学です。
旧正月のときには、お餅を食べます。お菓子もあります。これも季語になれます。月ごとに言葉を集めればベトナムでも歳時記ができるのかなと思います。
日本の人が、ベトナムについて詠んだ俳句があります。
玉を守る戦士の墓やハンモック(西野徹)
ベトナム吟行にいった際にハンモックについて読んだものです。感動しました。
4月30日には大きな行事があります。解放記念日です。南部とアメリカの戦争が終わった日です。暑い時期ですから海や公園に行きます。涼しいところに行きます。ハンモックについてどういうイメージがありますか? 暑いから公園にいってハンモックをかけて過ごす。日本人がハンモックを詠んでくれて感動しました。
目標としては、ベトナムでも300の言葉を集めれば、季語を作れると思います。今回紹介したものを集めても、100くらいの言葉は季語になるのではないかと考えている。ほかにも生活、文化の中に、季語を表す言葉があると思います。
ベトナムに、「母の日記 / Nhật Ký Của Mẹ」(ハイ・チュウ)という有名な歌があります。(→https://www.youtube.com/watch?v=yRTntSSjnc4)
とても有名で人気があります。日本語にも訳されています(よしもとかよ訳)。
歌詞の中に、季語としての言葉がたくさんあります。「登校」「夏の終わり」「太陽の光」「試験(ベトナムでは7月)」「雨の後」など。一つの歌だけでも、生活の中にたくさん季語がある。だから、ベトナム語の歳時記を作りたい。ベトナム俳人の中に、歳時記をつくるという考え方は、今は私しかいないと思います。
こんなことがありました。
けあらしのパトカー早朝出動す(太田惇子)
「現代俳句歳時記」に「けあらし」という季語の句がありました。そこで私もけあらしの句を作りました。
けあらしに水際知らぬ声を出す(グエン・ヴー・クイン・ニュー)。
京都の句会に出したら、みんな、「けあらし」が分からなかった。違う句に変えてみたらとも言われました。歳時記にある季語なのに…。「けあらし」は東京の人にも分からない。2年前に「itak」に参加してみたら、さすがにみんな知っていました。同じ国の中でも分からないことがあります。ましてや国が違ったら、文化も違う、気候も違う。
新しいこと、新しいルールを入れることは難しいことですが、頑張っています。一人は無理なので、日本で勉強して、みなさんに協力していただければ、将来的には歳時記はできると思います。意見などいただければありがたいと思っております。
(了)
2019年1月26日土曜日
第37回イベント抄録アップのお知らせ
こんばんは。俳句集団【itak】事務局です。
2019年が始まり新年のご挨拶もすっかり遅くなってしまいましたが、本年もどうぞよろしくお願い致します。
本年最初のイベントは去る1月19日に道立文学館で「第41回イベント『アート・クラフトからみた俳句』」が行われました。
1月で足元の悪い時期にもかかわらず、多くの方にご来場いただけた事、この場をお借りして心よりお礼申し上げます。
次回イベントは3月9日(土)に予定しております。こちらのイベント案内についても後日改めて告知しますので、しばしお待ちいただきたく思います。
本日の案内は1月27日(日)の18:00に当ブログ上にて、昨年5月に行われた第37回イベント「ベトナム季節感から生まれる季語」の抄録をアップする予定です。(大分時間が経ってしまい、関係各位の皆様本当にゴメンなさい!)
今回の抄録も非常に興味深い内容となっておりますので、お時間のある時に是非ご一読いただければと思います。
どうぞよろしくお願い致します。
2019年が始まり新年のご挨拶もすっかり遅くなってしまいましたが、本年もどうぞよろしくお願い致します。
本年最初のイベントは去る1月19日に道立文学館で「第41回イベント『アート・クラフトからみた俳句』」が行われました。
1月で足元の悪い時期にもかかわらず、多くの方にご来場いただけた事、この場をお借りして心よりお礼申し上げます。
次回イベントは3月9日(土)に予定しております。こちらのイベント案内についても後日改めて告知しますので、しばしお待ちいただきたく思います。
本日の案内は1月27日(日)の18:00に当ブログ上にて、昨年5月に行われた第37回イベント「ベトナム季節感から生まれる季語」の抄録をアップする予定です。(大分時間が経ってしまい、関係各位の皆様本当にゴメンなさい!)
今回の抄録も非常に興味深い内容となっておりますので、お時間のある時に是非ご一読いただければと思います。
どうぞよろしくお願い致します。
2018年5月28日月曜日
俳句集団【itak】「 抄録まつり」スタートします!
俳句集団【itak】事務局です。
北海道も新緑の時期となり、日々心地よい風が草木を揺らしております。
先日告知しておりました「抄録まつり」、大変お待たせしておりましたが今夜からスタートします!
昨年からの溜まっていたイベント講演の概要を順次アップしていきますので、当ブログを引き続きチェックしてくださいませ。
よろしくお願い致します!
北海道も新緑の時期となり、日々心地よい風が草木を揺らしております。
先日告知しておりました「抄録まつり」、大変お待たせしておりましたが今夜からスタートします!
昨年からの溜まっていたイベント講演の概要を順次アップしていきますので、当ブログを引き続きチェックしてくださいませ。
よろしくお願い致します!
2018年5月16日水曜日
俳句集団【itak】第38回イベント告知 残席あとわずかです!
俳句集団【itak】事務局です。
連日多くの方々から第38回イベントの申し込み・問い合わせがあり、予想を超える勢いでお席が埋まってきています。
残席があと僅かですので、イベントが気になる方・参加してみたい方はお早めに事務局まで問い合わせください!
定員になり次第キャンセル待ちとなりますので、ご了承くださいませ。
お申込み・問い合わせは itakhaiku@gmail.com または
FAX 011☆351☆1879 までお願いします!
*参加料 一般 500円・ 高校生以下無料
◆第1部 投げ銭ライブ 『かんから三線演説歌とアイヌ語漫才』
ライブ 岡大介(演歌師)・ペナンペパナンペ(お笑いコンビ)
◆第2部 トークショー・句会(当季雑詠1句出句)
選 者 黒田 杏子(藍生主宰)・夏井いつき(いつき組)
吉田 類(酒場詩人)・橋本 喜夫(雪華主宰)
五十嵐秀彦(【itak】代表・中北海道現代俳句協会会長)

五十嵐秀彦(【itak】代表・中北海道現代俳句協会会長)

<二次会> ホテルエミシア 3,000円(袋回し句会)
<翌日句会> ホテルエミシア 2,000円(お茶・お茶菓子付)
この回は藍生との合同イベントのため、かでるのイベント・エミシアの懇親会・句会すべて事前予約のみです。
イベントは第1部・第2部通しのお申込みのみ。懇親会、翌日の句会のお申込みもお受けします。
お申込み受付はイベント・懇親会・句会のいずれも5月1日から開始しております。定員に達した場合はキャンセル待ちとなります
2017年4月12日水曜日
りっきーリポート#21 今日までの【itak】をゆる~く振りかえってみるの巻
皆さまお元気でしょうか?
こんにちは、【itak】の裏方でみんなのアイドルことリッキーでございます。
今回もりっきーリポート、若者たちのitakでの活躍をリポートするつもりでいましたが、今回(3月ね)の学生さんの参加はほんの僅か、まぁ確かに時期的に卒業とか期末テストとかで「忙しくてそれどころじゃないわっ!」なんて感じですよね(;^ω^)
ということで、特段目を張るようなネタも無かったので今回は今までの【itak】の歩みをチョロッと振り返ってみようかなと思いますです、ハイm(__)m
【itak】も立ち上げから早や5年、次回からはなんと6年目に突入しちゃうという、BOSSを始めスタッフみんなビックリのしぶとさであります(笑
立ち上げ当初の目的は「北海道の俳句界をもっと自由に盛り上げよう!」「もっと若手(学生さん)や初心者さんが自由に俳句できる場を作ろう!」なんて感じで一同ワタワタとイベントを企画し句会も開催してきました。
当然の事ながら最初の頃は異端児的扱いで白い目で見られたり「【itak】?なにそれ?」的な御言葉も頂いておりましたが(いや、今も言われてるけどね(-_-;)、 地道に活動してきた甲斐もあって今は一定の認知度も上がって毎回のように新しい方が参加してくれたり、また【itak】に遊びに来てくれている高校生たちも徐々に増えていき、そして一昨年は旭川東高校が俳句甲子園で準優勝するなど、それはもう濃ゆ~い5年間となりました。それに呼応してかどうかは分かりませんが、道内の俳句結社や各協会でもジワリと動きが出てきたようで、新たに結社で俳句を学ぶ方や協会に所属される方なども少しずつではありますが増えてきたようです。
今までは減る一方と言われていた北海道の俳句人口も、我々【itak】の活動でウマイこと刺激になっているのであれば、これほどうれしい事はありませんぜ、旦那っ( ̄▽ ̄)
・・・が、これで満足して足を止めちゃぁいけないって事で、【itak】はまだまだこれからも突っ走っていく所存でありますよん。
次回5月は旗揚げ五周年記念企画、【itak】初の吟行句会!5月上旬の北海道は厳しい冬を越えた花や木々たちが一斉に眩くそして彩る時期で、吟行にはもってこいのシーズンです。そして5月は学生さんも新入学で色々フレッシュな風を吹かせてくれるシーズン!特に今年は大学生達とたくさん御縁が出来るような気配でありまして・・・(ニヤリ
という訳で6年目の【itak】もエンジン全開で突っ走りますんで、そこんところ夜露詩駆!
・・・あ、エンジンにはちゃんとガソリン(酒宴)を補給しないと動かないんで、そこんとこもヨロシクです(`・ω・´)ゞ
2016年6月23日木曜日
りっきーリポート #18 俳句で国際交流?の巻
5月14日 晴れ!
3月以来の【itak】の為に札幌に向かった私りっきー。
北海道も長~い冬を乗り越えて、ようやく花と新緑が鮮やかに彩りだす時期。ちょっと汗ばむ陽気に、街の人々もなんとなくウキウキしてましたねぇ。
当然【itak】の会場もそんなウキウキ顔が溢れている。そう、今回の第一部は青鷺についてのお話を聴けるということで、俳人としてはヒジョーに興味深い内容なのであります。
ま、その辺りの詳しい内容は別途抄録にアップされますので、ぜひご覧ください。
で、りっきーリポートは【itak】で俳句を楽しむ若者を追いかけるリポート。
今回も高校生達が数人来てくれました。熱心熱心(^^)
もはやレギュラー出席となっている琴似工業高校(新入部員も一緒でしたね)、そして今回も小樽潮陵高校が駆けつけてくれました。ホント嬉しい限りです。小樽からは札幌まで電車で約40分、決して近いとは言えない距離をこうやってエンヤコラと来てくれるのですから( ̄▽ ̄)
彼ら彼女らは6月に行われる俳句甲子園の北海道大会に向けて、着々と準備している様子。
自分達の俳句のなにが良くてなにが足りないか、この【itak】で色々試しています。
残りわずか一ヶ月、彼ら彼女らがどこまで伸びるのか、そして今回は【itak】に来られなかった旭川東高校とどんな熱戦を繰り広げるのか、今から楽しみであります(^^)
さて、今回は更に面白いゲストが来てくれました。
現在は京都在住でベトナム出身のニューさんという方がわざわざ北海道に、そして【itak】に遊びに来てくれました。
ニューさんは日本文化の研究、特に俳句を専門に日々研究されている方で、各地の句会にも積極的に参加されているそうです。それにしても京都から一気に北海道の句会へとは・・・問い合わせ受けた僕たちもビックリでした(;´∀`)
そんなニューさんとのお話の中で一つ、気になる話題がありました。
ニュー 「みなさんは、『けあらし』という言葉を知ってますか?」
りっきー「?『けあらし』?知ってますよ~。冬の季語ですよね。」
ニュー 「知ってますか!実はですね…」
話しによるとニューさんは以前、とある句会に赴いてこの『けあらし』を用いた句を詠んだところ、誰も『」けあらし』の事を分からずきょとん?とされてしまったとの事。
歳時記によっては載ってたり載ってなかったりとあるし、そもそもけあらし自体が冬のかなり冷え込む地域でないと起きない自然現象なので、その句会の中では全く馴染みのない言葉だったのでしょう。
ちなみにけあらしは気嵐と書いて、冬のヒッドイ寒い時期、外気温が川や湖などの水温よりはるかに下回る時に起こる現象。そーですねぇ、大体-20℃前後まで気温が下がると、川や湖から上がる水蒸気が凍ばれる空気に冷やされて、それがモクモクと霧の立ち上る様子として見ることが出来ます。 見た目はまるで露天風呂みたい(;´∀`)
主に冬の明け方、朝日が昇りだしたころに見られる現象ですねぇ。
ちなみにりっきーの住む地域ではマンホールや下水口なんかでも、けあらしが見られますよ。(ちなみに気嵐の出る朝は鼻で呼吸すると、鼻毛も凍る程の寒さです(;´Д`)
・・・よーするに何が言いたかったかというと、ニューさんにとって俳句の季語とは『全国共通』のものだと思ってたのが、実はそうでもなかったという事。
その地域その地域の伝統文化や方言、自然環境の中で出される俳句、取られる俳句が地域によって微妙に変わってくるという事に、ニューさんも改めて感じたんだと思います。
もちろん今回のお話は僕らにとっても大きな話題となり、色々考えさせられる事でもありました。うーむ。(-_-)
国や文化の垣根を越えて、『俳句』という共通の言語で語り合う。今回もひじょーに有意義なイベントになりました。
ニューさん、はるばる北海道と【itak】に遊びに来てくれて、ありがとうございました!
また機会がありましたら、ぜひ参加してくださいねー(^_^)/~
3月以来の【itak】の為に札幌に向かった私りっきー。
北海道も長~い冬を乗り越えて、ようやく花と新緑が鮮やかに彩りだす時期。ちょっと汗ばむ陽気に、街の人々もなんとなくウキウキしてましたねぇ。
当然【itak】の会場もそんなウキウキ顔が溢れている。そう、今回の第一部は青鷺についてのお話を聴けるということで、俳人としてはヒジョーに興味深い内容なのであります。
ま、その辺りの詳しい内容は別途抄録にアップされますので、ぜひご覧ください。
で、りっきーリポートは【itak】で俳句を楽しむ若者を追いかけるリポート。
今回も高校生達が数人来てくれました。熱心熱心(^^)
もはやレギュラー出席となっている琴似工業高校(新入部員も一緒でしたね)、そして今回も小樽潮陵高校が駆けつけてくれました。ホント嬉しい限りです。小樽からは札幌まで電車で約40分、決して近いとは言えない距離をこうやってエンヤコラと来てくれるのですから( ̄▽ ̄)
彼ら彼女らは6月に行われる俳句甲子園の北海道大会に向けて、着々と準備している様子。
自分達の俳句のなにが良くてなにが足りないか、この【itak】で色々試しています。
残りわずか一ヶ月、彼ら彼女らがどこまで伸びるのか、そして今回は【itak】に来られなかった旭川東高校とどんな熱戦を繰り広げるのか、今から楽しみであります(^^)
さて、今回は更に面白いゲストが来てくれました。
現在は京都在住でベトナム出身のニューさんという方がわざわざ北海道に、そして【itak】に遊びに来てくれました。
ニューさんは日本文化の研究、特に俳句を専門に日々研究されている方で、各地の句会にも積極的に参加されているそうです。それにしても京都から一気に北海道の句会へとは・・・問い合わせ受けた僕たちもビックリでした(;´∀`)
そんなニューさんとのお話の中で一つ、気になる話題がありました。
ニュー 「みなさんは、『けあらし』という言葉を知ってますか?」
りっきー「?『けあらし』?知ってますよ~。冬の季語ですよね。」
ニュー 「知ってますか!実はですね…」
話しによるとニューさんは以前、とある句会に赴いてこの『けあらし』を用いた句を詠んだところ、誰も『」けあらし』の事を分からずきょとん?とされてしまったとの事。
歳時記によっては載ってたり載ってなかったりとあるし、そもそもけあらし自体が冬のかなり冷え込む地域でないと起きない自然現象なので、その句会の中では全く馴染みのない言葉だったのでしょう。
ちなみにけあらしは気嵐と書いて、冬のヒッドイ寒い時期、外気温が川や湖などの水温よりはるかに下回る時に起こる現象。そーですねぇ、大体-20℃前後まで気温が下がると、川や湖から上がる水蒸気が凍ばれる空気に冷やされて、それがモクモクと霧の立ち上る様子として見ることが出来ます。 見た目はまるで露天風呂みたい(;´∀`)
主に冬の明け方、朝日が昇りだしたころに見られる現象ですねぇ。
ちなみにりっきーの住む地域ではマンホールや下水口なんかでも、けあらしが見られますよ。(ちなみに気嵐の出る朝は鼻で呼吸すると、鼻毛も凍る程の寒さです(;´Д`)
・・・よーするに何が言いたかったかというと、ニューさんにとって俳句の季語とは『全国共通』のものだと思ってたのが、実はそうでもなかったという事。
その地域その地域の伝統文化や方言、自然環境の中で出される俳句、取られる俳句が地域によって微妙に変わってくるという事に、ニューさんも改めて感じたんだと思います。
もちろん今回のお話は僕らにとっても大きな話題となり、色々考えさせられる事でもありました。うーむ。(-_-)
国や文化の垣根を越えて、『俳句』という共通の言語で語り合う。今回もひじょーに有意義なイベントになりました。
ニューさん、はるばる北海道と【itak】に遊びに来てくれて、ありがとうございました!
また機会がありましたら、ぜひ参加してくださいねー(^_^)/~
2016年4月19日火曜日
【itakスタッフ】りっきーリポート #17 学生達も木の芽時?の巻
3月12日、曇り。
春がどんどん近づいているとはいえ、まだまだこの時期は寒い札幌。ちべたーい風が吹く中わたくしリッキーは久々の【itak】に参加してきましたよ。
今回のイベントは岡大介さんの投げ銭ライブとゆー事でゲストの皆さんはもちろん、我々裏方もヒジョーに楽しみにしておりました。
ま、その辺りの事は抄録がアップされていると思いますので、そちらを読んで頂ければなーと思いますm(_ _)m
さてさて今回も学生さんが3校も参加してくれました。
お馴染み琴似工業高校に小樽潮陵高校、更に前回から来てくれてる札幌創成高校の総勢10名。嬉しいねぇ(/_;)
思えば4年前に【itak】が旗揚げした直後に最初に琴似工業の皆が来てくれて、それから旭川東、小樽潮陵に創成高校と少しずつ輪が広がっていってと、俳句の種まきがゆっくりと、でも確実に広まりつつあります。ん?どこかで聞いたことあるセリフだ(;´∀`)
とはいえまだまだ広い北海道、ここ道央のみの盛り上がりに終わらせないよう道南・道北・道東と、もっと地域ごとで若い人たちが俳句に興味を持ってもらえるように、我々【itak】は活動していかNevada(`・ω・´)
はてさて、冒頭でもチラッと書きましたが今回の第一部イベントは演歌師・カンカラ三線の岡大介さんのライブ。演歌師とあるように唄う曲は明治大正演歌・フォーク・昭和歌謡曲と、普段高校生が聴くようなジャンルとはやや離れたものばかり。周りのおっきいオニイサンやオネエサマ方は大喜びでございましたが、普段J-POPや洋楽で慣れてる学生さん達には果たしてどういう風に聴こえたでしょーか。
古臭い?時代遅れ?うーん、確かにそうかもしれない(;´∀`)
・・・でも、岡さんの歌った歌はみな世情を鋭く突いたていたり、我々庶民の何気ない日常の一コマをカポッと抜き出していたりと、今流行ってる愛だ~の恋だ~のを薄っぺらく歌ってるものとはまた違ったものであります。
そう考えると今回のライブ、岡さんの歌が聴けたのは彼ら・彼女らにとってまた面白い経験になったんじゃないかなー、なんて思います。
今回のライブみたいに色んな所で色んな事を見たり聞いたり経験して、ちょっとずつ自分の引き出しにしまっておけば、俳句に限らず今後のみんなの進んでいく道の中できっと役に立つ!
・・・かもしれないよ(;´Д`)
句会の方は場慣れした生徒、まだまだ緊張感残ってる生徒ありと、三校三様。
投句も秀句・問題句とバラエティ溢れるもので、特に高校生の投句した句については時折ウチのBOSSが「ここはこーした方が良いかも」「こことそこを入れ替えてみると面白くなるかも」などワンポイントアドバイスをするシーンもありました。
こういう機会に生のアドバイスを聞けるのって、すごく実になるんだよねぇ。お互い面と向かって言葉を交わすからそこに言霊が宿って、受け取る側の心に深~く入り込む。
特に高校生は一日一日で目覚ましく成長するから、彼らが句会の度に一皮も二皮も向けた投句をしてくれるのは【itak】としても遣り甲斐があるし、応援し甲斐もあるのですよ(´―`)
高校生のみんなにはこの【itak】をぜひ『踏み台』にしてほしいなぁ。そして俳句甲子園のような大舞台で輝いてほしいですなぁ( ̄▽ ̄)
もうあと数か月で俳句甲子園の北海道大会。
今年はどんな熱戦になるのか。去年の本大会で準優勝という快挙を成した旭川東を追って、他の高校がどんな言葉の闘いをこの北海道で見せてくれるのか、今から楽しみであります。みんな、当日までしっかり力を蓄えといてね!
それでは今回はこの辺で~~。次回も参加できることを祈りつつ(^_^)/~
2016年3月8日火曜日
これまでの俳句集団【itak】イベント一覧 ~4年間の活動を振り返って~
俳句集団【itak】です。
週末の第24回イベントで、わたしたちのイベントは丸四年を走りきることになります。
三周年、五周年に比べて四周年というのは今ひとつ語呂が悪く、今回は特に記念行事的なアナウンスをしていませんが、ここにこれまでのイベントの一覧を掲げ、皆さんと積み上げてきた自由な「座」の記憶をたどってみたいと思います。
第1回 2012年5月12日(土)
シンポジウム「あえて今、花鳥風月を考える」
第2回 2012年7月14日(土)
講演 「今田かをりがはんなり語る龍之介の俳句」
講演 「今田かをりがはんなり語る龍之介の俳句」
講師 今田かをり(俳人、予備校古文科講師)
第3回 2012年9月8日(土)
トークショー「俳句って、面白い!」
トークショー「俳句って、面白い!」
葉子が斬る・航が語る・朱子が読む 抱腹絶倒トークショー
トーク 籬朱子(俳人)、山田航(歌人)、高畠葉子(俳人)
司会 五十嵐秀彦(俳人)
トーク 籬朱子(俳人)、山田航(歌人)、高畠葉子(俳人)
司会 五十嵐秀彦(俳人)
第4回 2012年11月10日(土)
講演「猟夫(さつお)が語る北海道野生の今」
講演「猟夫(さつお)が語る北海道野生の今」
講師 高橋千羅思 (たかはし・ちらし 俳人、北舟句会、猟友会)
第5回 2013年1月12日(土)
講演「俳人のための俳句入門書再入門―
ある入門書コレクターのつぶやき―」
講演「俳人のための俳句入門書再入門―
ある入門書コレクターのつぶやき―」
講師 橋本喜夫(雪華同人 銀化同人 現代俳句協会 俳人協会)
第6回 2013年3月9日(土)
対談と映画上映 「酒場と写真と全共闘一代記」
<佐々木美智子自主制作短編映画「アリバイ」を上映>
対談と映画上映 「酒場と写真と全共闘一代記」
<佐々木美智子自主制作短編映画「アリバイ」を上映>
「新宿、わたしの解放区」共著者対談 佐々木美智子×岩本茂之
第7回 2013年5月11日(土)
講演 「わたしと俳句 ~門前の小僧的な~」
講演 「わたしと俳句 ~門前の小僧的な~」
講師 久保田 哲子(俳人)
第8回 2013年7月13日(土)
講演「日本人はなぜ、日本酒を育んだのか~知られざる日本酒の世界~」
講演「日本人はなぜ、日本酒を育んだのか~知られざる日本酒の世界~」
講師 小林精志(北の錦・小林酒造株式会社専務取締役)
第9回 2013年9月14日(土)
研究発表会 「石狩の句会・尚古社の歴史~伝説の俳人・井上伝蔵~」
研究発表会 「石狩の句会・尚古社の歴史~伝説の俳人・井上伝蔵~」
パネラー 札幌琴似工業高校文芸部
第10回 2013年11月9日(土)
講演と朗読 「アメリカの詩と私の詩」
講演と朗読 「アメリカの詩と私の詩」
講師 矢口以文(詩人)
第11回 2014年1月11日(土)
講演 「音と言葉 ~うた作りの現場から~」
講演 「音と言葉 ~うた作りの現場から~」
講師 久保田 翠 (作曲家・音楽研究者)
第12回 2014年3月8日(土)
講演 「短詩型における「文語」と「口語」~信仰としての二分類~
講演 「短詩型における「文語」と「口語」~信仰としての二分類~
講師 月岡道晴(國學院大學北海道短期大学部准教授・歌人)
第13回 2014年5月10日(土)
トークショー「読(詠)まずに死ねるか!~短詩系文芸の可能性~」
トークショー「読(詠)まずに死ねるか!~短詩系文芸の可能性~」
トーク 五十嵐秀彦(俳人) 山田航(歌人)
第14回 2014年7月12日(土)
講演 「北海道の古民家について」
講演 「北海道の古民家について」
講師 江崎幹夫(古民家鑑定士、北海道古民家再生協会理事長)
第15回 2014年9月13日(土)
講演 「ラフカディオ・ハーンの真面目(しんめんもく)
講演 「ラフカディオ・ハーンの真面目(しんめんもく)
~一つの民族の経験の総和よりも大きな記憶」をキーワードに~」
講師 平 倫子(俳人、北星学園大学名誉教授)
第16回 2014年11月8日(土)
講演 「重種馬の生産の現状と、馬の俳句」
講師 安田豆作(獣医師・俳人)
講演 「重種馬の生産の現状と、馬の俳句」
講師 安田豆作(獣医師・俳人)
第17回 2015年1月10日(土)
講演 「爆笑!【itak】俳句甲子園!」
講演 「爆笑!【itak】俳句甲子園!」
出演 俳句集団【itak】参加者有志一同
第18回 2015年3月14日(土)
講演 「震災と俳句」
講演 「震災と俳句」
講師 栗山麻衣(北海道新聞社記者・俳人)
第19回 2015年5月9日(土)
トークショー&句会ライブ!「100年俳句計画!」
トークショー&句会ライブ!「100年俳句計画!」
ライブ 夏井いつき(俳人)
司会 五十嵐秀彦(俳人)
司会 五十嵐秀彦(俳人)
第20回 2015年7月11日(土)
トークショー 「 NO MUSIC, NO HAIKU 」
トークショー 「 NO MUSIC, NO HAIKU 」
トーク 恵本俊文、大原智也(北海道新聞社記者・俳人)
第21回 2015年9月12日(土)
ゆるゆるトークショー 「鴨々川ノスタルジアってなあに?」
ゆるゆるトークショー 「鴨々川ノスタルジアってなあに?」
トーク 石川圭子(鴨々堂女将)、山田航(歌人)、
土肥寿郎(寿郎社社長)
土肥寿郎(寿郎社社長)
第22回 2015年11月14日(土)
トークショー 「いま、狸小路がおもしろい!」
トークショー 「いま、狸小路がおもしろい!」
トーク 和田由美(亜璃西社代表)
第23回 2016年1月9日(土)
展示と解説 「学校祭展示再現と高校の文芸部の活動紹介」
展示と解説 「学校祭展示再現と高校の文芸部の活動紹介」
展示と解説 佐藤天啓(琴似工業高校教諭・文芸部顧問)
琴似工業高校文芸部のみなさん
琴似工業高校文芸部のみなさん
第24回 2016年3月12日(土)
ライブ 「届け演歌の風!岡 大介 カンカラ三線ライブ」
ライブ 「届け演歌の風!岡 大介 カンカラ三線ライブ」
演奏 岡 大介(カンカラ三線・演歌師)
第25回 2016年5月14日(土)
講演会 「めくるめくアオサギの世界」
講演会 「めくるめくアオサギの世界」
講演 北海道アオサギ研究会代表 松長克利
*第26回 2016年7月9日(土)
未定 「未定」
第27回 2016年9月10日(土)
トークショー 「生牛の歳時記」
トークショー 「生牛の歳時記」
トーク 鈴木牛後(いつき組・藍生)
次回5月は北海道アオサギ研究会代表の松長さんに、9月はご要望の多かった鈴木牛後さんにお話し頂きます。お楽しみに。第一部の企画についてはジャンルにかかわらず、いつでも募集しております。心当たりの方は自薦他薦問わず、事務局メール( itakhaiku@gmail.com )までご連絡くださいませ。お待ちしております。
イベント第一部の企画実施に際しては、多くの方々のご協力を頂きました。俳句や文芸に関わらない分野の方のお話も、伺ってみればみなそれぞれの作品の力になりました。【itak】の意気に感じ、お力をお貸しくださったことに深謝いたします。
また、海のものとも山のものともつかないこの運動に共感してくださり、句座を共にしてくださったたくさんの方々。参加してくださるみなさんがお出で下さらなければここまでイベントを続けることはできませんでした。深く御礼申し上げるとともに、これからもこの場にお越しいただき、北海道の俳句、文芸を一緒に揺さぶっていただけますよう心よりお願い申し上げます。
俳句集団【itak】幹事一同
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