『 かほるんが読む 』 (その3)
~第6回の句会から~
小 笠 原 か ほ る
春彼岸シアター・キノに原節子
原節子といえば1953年小津安二郎監督の「東京物語」 が浮かぶ。
近年、小津監督に捧ぐ「東京家族」 が山田洋二監督によりリメイクされたばかりだ。
親の気持ち、子の気持ち、子の連れ合いの気持ち。
何気ないやりとりにぐっとくる場面や反省させられる場面がある。
それでも確かな事はいつの時代も親は子に計り知れない程
気を遣いながらも笑って見ていてくれるという事。
私は既に両親はいないけれど、 そのありがたみがいなくなってから解るのは皮肉なものだ。
春を待ち静かに逝った冷蔵庫
「冷蔵庫」が夏の季語である事は重々承知で詠んでいる句だ。
では何故?! 日々の暮らしの基本となる食を長年支えてくれた愛着のある
冷蔵庫だったのではないか。 家電寿命はいいところ持って10年位だ。
毎日の色々な気分で扉を開けにらめっこも何度したことか!
「逝った」に込められた気持ちに頷きたくなる。
わかさぎのあんまり輝いている夕べ
まるで目の前に、
くらい美味しそうな句。 きっと作者は満面の笑みで感動の拍手もしたかもしれない。
かなり前にわかさぎ釣りをした事があるが冷凍人間になってしまい そうに寒い。
しかしあの美味しさを想像し忍耐あるのみ! で釣り上げた果ての揚げたての天ぷらの
味は忘れない。
考えることをやめたら春がくる
眠っている時以外は何かしらの思考は止まらない。
もう考えない様にしよう!という事自体考えている事になる。
入り口はあるが出口がない。しかし凧の糸がプッっと切れた様に
目の前がすっきりする瞬間がある。 結果が出た訳でも考えが決まった訳でも
ないのに。基本的に人間ってうまく出来ているのかもしれない。
春は特にそんな気分の切り替えを助けてくれる、 期待できる季節だと思う。
(つづく)
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