2014年7月7日月曜日

鈴木牛後『暖色』を読む ~小笠原かほる~

 
 
 夏草や風に乾かぬ牛の鼻
 
 
日々天気とにらめっこしながらの牧場の仕事は暮らしに直結されているので今季の様な安定しない夏は落ち着かないだろうとお察ししています。
雄大な大地の青々とした夏草刈りの途中で雨が降らない様にと心配は半端じゃないだろうと。全ては牛達のため。そのひと手間ひと手間が栄養となっている事を乾かぬ牛の鼻が物語っているのだろう。夏に食べる草と冬に食べる草とでは栄養分はちがうのだろうな・・・。
 
 
 あたたかや牛には牛の時流れ
 
 
あたたかと言ってもまだ彼岸過ぎ、見える景色はまだまだ冬?これで春?だろう。
牛後さんの暮らす下川は道内でもかなり厳しい信じられないくらいマイナス気温が続く地域で、まだ放牧もできない時期だろうけれどもそれでも牛舎に射すお日様に人にはわからない春の気配を牛たちは感じ取り広い大地に放たれる時をじーっと待っているのだろう。
それは人も同じく待っている閉ざされた冬から春になる時期の特別な解放感だと思う。
 
 
 新緑にみごとな牛を見に行かう
 
 
新緑の中にいる牛ほど雄大でほのぼのとした景は他にないかもしれない。ロック界のアルバムジャケットを手掛けるヒプノシスによる草原と牛のジャケットピンク・フロイドのアルバム「原子心母」がふっと浮かんでくる。
牛後さんが時々アップしてくれている一列に並んで放牧地に向かう牛やそれぞれの柄(あ、、柄じゃなくてなんだったかな・・;)の牛たちが空と大地以外の余分な色のない中でゆったりと時を過ごしている。
詠まれる一句一句にはそのゆったりとした時が詠み込まれていてとても優しく温かく、こちらまでほのぼのとした気持ちにさせてくれる。
ご自身の体型はとても華奢な方で、よくお身体を壊さずにお仕事をされているな・・・と思う私なのだが、お人柄はゆったりとけれど声は大きく力強い(大きな声は気持ちがいい!)。そして笑顔からふと真顔になった時の瞳は時折厳しくもある。それは自然を相手に日々牛たちと向かい合う厳しさなのだろう。
あ;牛後さんを読んでしまった?・・・。
 
 
 
詠みから脱線した読みかもしれません・・どうかお許し下さい。
 
 
☆小笠原かほる(おがさわら・かほる 俳句集団【itak】幹事 北舟句会)
 

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