俳句集団【itak】第22回イベントを終えて
『 いま、狸小路があたらしい! 』
~街を知る、路地を知る、人を知る~
五十嵐秀彦
第1部講演に70名、第2部句会に64名、懇親会に29名と、かなりの盛況となりました。
人数なんか関係ないだろう、と思う人もいるかもしれません。
確かに集客数を競うことが目的ではないことは言うまでもないことです。
しかし、今日はいったい何人集まってくれるのだろうということを私たちはいつも心配しています。なぜなら【itak】には母体というものがないからです。
結社や団体、協会などであれば、いつもある程度の参加者数を想定できるでしょうが、組織を持たない【itak】は、私たちの呼びかけにいったいどのくらいの人たちが反応してくれるのか、やってみなければわからないのです。
それが組織と運動体との違いであると考えています。
車輪にたとえるならば、組織は四輪の自動車のようなもので、停止しても問題ありませんが、運動体は一輪車か自転車のようなもの。車輪が回ることをやめれば倒れるしかありません。
【itak】が文芸運動としてその車輪を回転させているかどうか、それは呼びかけに応じてくれる個人がどれほどいるかで測るしかないのです。
私たちは毎回、はたして今日は、と思いつつ、文学館の地下講堂の席がつぎつぎと埋まってゆく様子をドキドキしながら眺め、安堵もし、勇気付けられてもいます。
亜璃西社はさまざまな書籍を出版しておりますが、中でも「グラフィティ・シリーズ」に注目が集まっています。
今回はそのシリーズ中の人気作のひとつ『さっぽろ狸小路グラフィティ』をお書きになった経験を踏まえ、著者である和田さんに狸小路にまつわる歴史と文化に関するお話をしていただきました。
最近は外国人観光客を中心に再び活気を取り戻しつつあるこの140年の歴史を持つ商店街の知られざる過去と現在。
私の個人的な経験でいえば、子どもの頃の記憶のいっぱいつまったアーケード街、狸小路です。
一時は存続もあやぶまれるほど衰退したこの古い商店街に、私だけではなく実は札幌人の思いが詰まっているのだと、あらためて思わされる内容でした。
講演を聴き終わったとき、このまま狸小路に行って路地裏まで覗き込みたい、彷徨いたい、という衝動にかられるほどに。
貴重な講演をしてくださった和田由美さんに感謝です。
近いうちにその抄録が【itak】公式ブログにアップされますので、お待ちください。
第2部句会も、琴似工業高校生徒3名、小樽潮陵高校生徒4名という若い俳人たちの新鮮な作品と選評に大人たちが刺激を受けたのではないでしょうか。
また彼らも大人たちの俳句から多くのことを学んだはずです。
【itak】らしい多様性に満ちて自由な風の吹く句会ができました。
64名という大句会のため進行に相変わらず混乱もあったとは思いますが、どうか大目に見てやってください。
文学館の近くにあるパークホテルで開かれた懇親会には29名の方々が参加。
今年の現代俳句新人賞を受賞された瀬戸優理子さんの祝賀会として開催され、皆さんで瀬戸さんの快挙にお祝いの杯を挙げました。
【itak】関係者では、月岡道晴さんが北海道新聞短歌賞佳作を受賞されるなど、今年も若手作家の吉報が続き、実に心の躍る思いです。
これからも皆さんの力で勢いのある運動を続けていきましょう。
さて、次回は1月9日。
年の初めの第1部企画は、琴似工業高校文芸部にお任せすることとなりました。
高校生たちの文芸にかける熱い思いがどんな発表となるのか、今から期待がふくらみます。
どうぞ道立文学館へおこしください。
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