
深雪晴乳のかすかな暖色に
牛後さんの句集の句はどの句も実感に裏打ちされた句で、今までに目にしたことのない内容であった。
私は牛後さんの広い牧場をふらふらと散歩しながら、句が詠まれた場所に自分がいる様な心地よい錯覚を覚えた。
その中でもこの句は、乳という命の源への凝視を感じて思わず足が止まった。
私ならば、乳の色に変化があることを認識できるだろうか。けして出来ないだろう。
深雪晴れという天の与えてくれた束の間の休息。<乳のかすかな暖色に>春とも言えない春を感じ取っている作者の感性に心が温かく、明るくなった。
句集名ともなった<暖色>。その色を牛後さんは俳句で示してくださった。
これほど慈しみ深い色を、私は見たことも感じたこともなかった。
☆籬 朱子(まがき・しゅこ 俳句集団【itak】幹事 銀化)
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