句集『無量』の一句鑑賞
籬 朱子
曰く言い難く素敵な句である。
一睡の主体が作者なのだとすると、花の色やかをりとともにある、この幸福感は夢と現の間を言い留めている。一睡の主が花という可能性もあるだろうか。
眠りから覚めたばかりの、早朝の花とともにあるというなら、その気配を堪能する作者が見える。只今源氏物語に耽溺している私としては、この句が源氏物語全体の気配にも相応しく思えるのだ。
源氏物語と言えば、紛れもなく和歌の世界である。俳句はその和歌優美から先の自由を求めて発展してきた。
しかし此の句を読むと、俳句の源が日本の古典文学と繋がっていること。そして処に何の破綻も無い事に深く感じ入ってしまうのだ。
☆籬 朱子(まがき・しゅこ 俳句集団【itak】幹事 銀化)
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