『 やぶくすしハッシーが読む 』 (最終回)
~第18回の句会から~
橋本 喜夫
真四角がとても効いていると思う。なぜなのかなと思ったがまず野仏からくるイメージが丸い形だからかもしれない。前 真四角 とマ音が続くのも効果が出ているのかもしれない。いずれにしても雪深い北海道の実景だと思う。
浪人を決めて晴れ晴れ春スキー 頑黒 和尚
「晴れ晴れ」「春スキー」。ハ音の連発で明るさもあるし、なにより「浪人を決めて」の措辞が落ちてしまった割には「自分で決めた感」があって頼もしい。冬の間は受験でスキーもできなかったろうから、春スキーをしてストレスを発散しているのであろう。そういう意味でリアルでもある。
蛤の大欠伸する夜更けかな 村元 幸明
「蜃気楼」の蜃は昔のひとが大蛤が気を吐いて空に幻の楼閣をつくったと考えたところから来ている。作者もそのことを知っていてこのイメージを出したかもしれない。夜間に水に漬けた蛤が口を開けた景を大欠伸としたのも俳諧味があるし、「夜更けかな」もさりげなく効いている。「階段がなくて海鼠の日暮れかな」 みたいな座五のつくり。
兄さんのチキンラーメン寒卵 田口三千代
チキンラーメン その後あまたのインスタント麺が誕生したが、結局はこの初代のインスタント麺になかなか勝てないのではないか。チキン→卵ととても安易ではあるが、寒卵のあたらしい処理のしかたとして俳句が成立している。でもほんとに卵かけるとうまいのですよ。
◇
以上です。今日はあまり人を批判する気持ちになれず、批評力が足りないかもしれません。心が萎えていると読みも鈍ります。ある俳人が「俳句の読みには体力が必要だ」と言ってましたが、私もそう思います。それではまた。
(了)
※諸事情により、第16回・第17回・第18回の句会評は『読む』企画にかえさせていただきます。
みなさまのコメントもお待ちしております。 事務局(J)
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