『 やぶくすしハッシーが読む 』 (その1)
~第17回の句会から~
橋本 喜夫
ごぶさたしてます。次回は生きて皆様にお会いできると思います。さっそく、第17回イタック句会選句してゆきます。参加していないので、句会の熱も伝わらず、場の共同性もないので、気楽に好きなように選句できていいですね。
水平線ふくらんでおり凍てており 亀松 澄江
水平線のふくらみを、逆転の発想で凍てに結びつけたのは手柄でしょう。ただもっとすっきり詠めると思うな。二句一章的に詠んだのはいいと思う。うまいひとなら一番良い句になったと思うな。
雪だるまの前で合掌する子ども 平田 莉々
わざとに散文的なつくりをして、見逃してしまいがちな句内容に詩的違和感をもたらしている。読み終ったあと、?マークが3つくらい並ぶような景。どんな景なんだろうかと想像してしまう。信心深い子供はいるのだろうか、それとも昔の景か、などなど。恐らく大した意味はないのだが、作者の罠にはまってしまった。
木製のマグに替へたり寒の内 小笠原かほる
木製のマグの素材の温み、ホットミルクなどを呑んでいる景。寒の内という季語には着きすぎ感もあるが、けっして気持ちの悪くない順接さである。
指きりの果ては凩吹くばかり 室谷安早子
吹きにけり 吹いてをり なら取らないかもしれない。この場合の吹くばかりという投げ出したような、読み手に預けたような詠みが奏功している。ずーと凩が吹き続ける感じが出てゐて、約束の指切りも果たされていないことが言外にわかる。
(その2につづく)
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