俳句集団【itak】第25回イベントを終えて
『 めくるめくアオサギの世界 』
~ユニークなアオサギ文化論~
久々の季語直球企画ではありましたが、そこは【itak】、素直に俳句と季語の「お話し」じゃあつまらない。
北海道アオサギ研究会代表の松長克利さんによる「めくるめくアオサギの世界」は、アオサギの生態から、その文化史までに及ぶユニークな内容でした。
つぎつぎと映し出される画像に見る意外なアオサギの姿!
それは驚くべきものでした。だってアオサギがウサギを咥えているのですぞ。亀を食べようとしているのですぞ。(いったいどうやって亀を食べるのか?)
そうなのです。アオサギはやはり恐竜の子孫。
その美しくも不気味な姿にまずは息を呑みました。
この鳥が外国ではどう捉えられていたか。それをエジプトの壁画から読み解き、ヨーロッパ史の中に探し、さらに日本人とアオサギとの文化史へと話しは広がり、文芸ではどのように描かれたかまで考察されていきました。
やはり、と思ったのは、古来から日本人はこの鳥に好印象を持ってはいなかったこと、そして和歌より俳句でのほうが詠まれるケースが多かったらしいことです。
俳人はひねくれ者、あえてアオサギを詠む気持ちというのは俳諧の面目躍如たるものがありますね。
詳しい内容はこれからUPされる予定の抄録をお待ちください。
この日のイベントの参加者数は、講演57名、句会52名でした。
今回も高校生(琴似工業高校、小樽潮陵高校)が参加。
来月はいよいよ俳句甲子園北海道大会が開催されます(6月12日)。
真剣な表情で参加していました。
また、特筆すべきこととして、ベトナム人研究者のグエン・ヴー・クイン・ニューさんが京都からわざわざ参加してくださったこと。
彼女は言語文学博士で、現在は京都にある国際日本文化研究センターで俳句文芸の研究をされているとのこと。
立派な俳句を投句し、達者な日本語で、言われなければベトナムの方とは気づかないほどでした。
懇親会で話しをしていて、彼女が北海道に来たのは解決したいひとつの疑問があったことも理由のひとつだったことを知りました。
それは季語における方言の位置づけ、季語の「中央と地方」というような深い問題に関する興味深い疑問でしたので、できれば稿をあらためて考察してみたいと思います。
中身の濃いイベントはあっという間に過ぎ、私と橋本喜夫さんの凸凹司会のバタバタぶりもマイルドに許していただきながら、今回も収穫多いものとなったのはうれしいことでした。
ご参加の皆さまに感謝いたします。
さて、次回第26回は7月9日(土)午後1時から、いつものとおり北海道立文学館地下講堂で開催いたします。
第1部企画は、トークショー「男の恋句、女の恋句」。
出演者がすごい!
【itak】幹事の高畠葉子プロデュース企画で、彼女が司会を務めます。
鮫島賞作家であり多くの受賞歴を持つ道内でも群を抜く実力派俳人の橋本喜夫さん、今やまぎれも無く短歌界の寵児となった山田航さん、昨年度の現代俳句新人賞受賞の新鋭俳人・瀬戸優理子さんが、「俳句と恋」という俳句界タブーのテーマについて縦横に語ります。
北海道の短詩型文芸の明日を担う作家たちによるトークショーは刺激に満ちたものになること必至です。
俳句集団【itak】でしか実現不可能な顔ぶれによるこのトークショー、絶対見逃せない内容です。
どなたでも参加できますので、ぜひご来場ください。
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