『 ゆっきーが読む 』 (最終回)
~第21回の句会から~
安 藤 由 起
キャタピラの跡八月の濡れた砂 藤原 文珍
句をつくるとき、「説明しない」ように気を付けている。説明の句ほどつまらないものはない。が、気を抜くとついやってしまう。一切の説明を排したことで生まれる、無機質さの中の生々しい気配に心惹かれる。
影のないおとこ四五人風の秋 信藤 詔子
影のない男とは、故人のことだろうか。そして、秋の風ではなく、風の秋。風の吹きすさぶ中で、男たちは何をしているというのか。句意は正直よく掴めないが、俳句という短い詩形ゆえの広がりが、読み手の想像力をかきたてる。
句をつくるとき、「説明しない」ように気を付けている。説明の句ほどつまらないものはない。が、気を抜くとついやってしまう。一切の説明を排したことで生まれる、無機質さの中の生々しい気配に心惹かれる。
影のないおとこ四五人風の秋 信藤 詔子
影のない男とは、故人のことだろうか。そして、秋の風ではなく、風の秋。風の吹きすさぶ中で、男たちは何をしているというのか。句意は正直よく掴めないが、俳句という短い詩形ゆえの広がりが、読み手の想像力をかきたてる。
唸り出すロボット掃除機日短か 遠藤ゆき子
使ったことはないが、決まった時間になると勝手に掃除を始め、終わると自分で定位置に戻っていくらしい。健気に働く姿がかわいいと人気だ。日も傾きかけた頃、突如として開始された掃除に驚く様子が伝わってくる。
パンストのパンより秋の深まりぬ 青山 酔鳴
使ったことはないが、決まった時間になると勝手に掃除を始め、終わると自分で定位置に戻っていくらしい。健気に働く姿がかわいいと人気だ。日も傾きかけた頃、突如として開始された掃除に驚く様子が伝わってくる。
パンストのパンより秋の深まりぬ 青山 酔鳴
「〇〇から△△が始まる」系の類想・類句は多そうだが、「パン」はおそらく初めてじゃないだろうか。生身の人間の生態を句に落とし込む、独特のウィットが見事。今年も「パン」から秋が深まってきた。
(了)
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