『 やぶくすしハッシーが読む 』 (最終回)
~第17回の句会から~
橋本 喜夫
面白い素材。女優のことなんてふつうは詠まないが、幸薄そうな女優となると、だれだろう、なんていろいろ想像して面白い。確かに絶対幸せになりそうな美人と、不幸が似合う美人ているよな。冬薔薇もりんとしていて悪くないと思う、女優に着きすぎと思う人は取らないだろうね。
みかん剥く南極点より指を入れ 酒井おかわり
果物、とくに蜜柑を剥く時に極点を考慮するのは過去にあるかもしれぬ。しかしふつう蔕の方を北極とすると臍の方に指入れて剥くひとが多いからなかなかよくできた句だと思う。テレビで見たことがあるが、実はいろいろな剥き方があるようだ。「指を入れ」がこの句を救っている。
ブロンズの指はまつすぐ冬うらら 中西 亮太
クラーク像など想像すればいいのかしら。冬青空の下指さすのは未来なのか、地獄なのか。受験シーズンでもあり、なかなか励まされる句だと思う。「まっすぐ」がいいですね。
雪晴れや小言を言ひし洗濯機 福本東希子
ひとり者になって洗濯機を自分で操作するようになり、はじめて感じたこと。洗濯機が声をだして生意気に指図してくること。心のありようによっては小言にも聞こえる。雪晴れであるから、そんなに深刻な心持ではないことが窺える。
歯朶飾るつめたき壁のキリル文字 五十嵐秀彦
キリル文字に壁のつめたさを感じたのはわかる。キリル文字でロシア語のような、飾り文字みたいな、とっても言語機能があるように見えない、装飾のような文字だよね。温みが感じられない感じわかります。歯朶飾るの季語の斡旋もわるくないと思う。
◇
以上です。いつにもまして薄味の文章でごめんなさい。心臓食で食塩制限をしているもので。やばい30分で終わった。あまり無理できないのでこれで勘弁してください。次回のチャンスがあればもう少し真面目にやりますね。それではさよなら。
(了)
※諸事情により、第16回・第17回の句会評は『読む』企画にかえさせていただきます。
みなさまのコメントもお待ちしております。 事務局(J)
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