『 りっきーが読む 』 (その1)
~第14回の句会から~
三品 吏紀
7月のitakにはお仕事が忙しくて参加できなかった私りっきー。
今回は読むシリーズの方で登場となりました。
句会に参加された皆さんの句、自由気まま勝手に読ませていただきます。
・・・すっとんきょうな感想でも怒らないでね(笑)
解く荷の隅まで洗う青嵐 久才 秀樹
この時期の荷造り・荷解きは本当に辛い。
この時期の荷造り・荷解きは本当に辛い。
黙っているだけで汗が噴出してくるのに、その中で細々とした作業や力仕事は苦行に近いものがある。
この句は引越しの一コマを詠んだのだろうか。
新居先に積まれた荷物の山。滝のように流れる汗と格闘しながら一つずつ荷解きをしていく。
その中で不意に窓から吹き込む一陣の青嵐。
夏の緑と新しい街の匂いが部屋中を満たし、ひと時疲れた体と心を労わってくれる。
この句の青嵐は、新しい地に住む者への労わりと洗礼なのだろう。
買ってすぐこわれるおもちゃ夕焼雲 瀬戸優理子
買ってすぐこわれるおもちゃ夕焼雲 瀬戸優理子
小さい頃欲しくて欲しくて散々ねだって、やっとこさ買ってもらったおもちゃ。
それがあっという間に壊れて使えなくなった時のあの悔しさとガッカリ感、そして親に怒られてしまうという恐怖、私にも覚えがある。
それと同時に夕焼雲には、瞬く間に過ぎようとする夏の一日をどこか惜しむような寂寥感を憶えさせる。
そんな過去と今の二つの感情が混ざり合って、遠い日の壊れたおもちゃの記憶が呼び起こされたのではないだろうか。
郷愁と感傷の相混じるような句に思う。
風鈴のジャズダンスより激しかる 山田 航
そんな過去と今の二つの感情が混ざり合って、遠い日の壊れたおもちゃの記憶が呼び起こされたのではないだろうか。
郷愁と感傷の相混じるような句に思う。
風鈴のジャズダンスより激しかる 山田 航
一風吹くごとに、優しく涼を奏でる風鈴。それがジャズダンスよりも激しいというのだから、何とも忙しないものだ。
夏の午後ににわか雨の振る前兆として、突然冷たく強い風が吹き込んで、風鈴を激しく鳴らすというのはよく有る。この句はそんな一瞬の景をイメージして詠んだのだろうか。
風鈴の「静」とジャズダンスの「動」を合わせ、うまくまとめた句だと思う。
沐浴や衣擦れの音夏座敷 村元 幸明
「沐浴」と「衣擦れ」だけで、なぜか女性をイメージしてしまう。バカね、男って(笑)
沐浴や衣擦れの音夏座敷 村元 幸明
「沐浴」と「衣擦れ」だけで、なぜか女性をイメージしてしまう。バカね、男って(笑)
家事で汗ばんだ身体を洗い流すべく、服を一枚一枚脱いでいく。誰に見せるでもなく、誰に聞かせるでもない衣擦れの静かな音が、夏の座敷に吸い込まれていく。
夏座敷という季語が、より静謐と清涼を醸し出していて良い。
どこか「静かな色気」というものを感じさせる句だ。
(その2に続く)
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