2017年5月24日水曜日

第31回俳句集団【itak】イベントを終えて



俳句集団【itak】第31回イベントを終えて 

俳句集団【itak】旗揚5周年記念企画
『 北海道立文学館・中島公園吟行句会 』
 
~俳句集団【itak】は旗揚5周年となりました~

五十嵐秀彦



 
思い返せば5年前、2012年5月12日のこと。俳句集団【itak】の第1回イベントが札幌市中央区民センターで開催され、それが運動の旗揚げとなりました。
なにができるかよくわからないけれど、とにかく一歩踏み出してみよう。そんな頼りない思いでの旗揚げだったことを、いま思い出しています。


特に明確なポリシーなどはなかったし、いまもそんなものはないようです。
ただ、このまま誰も何もしなければ遠からず北海道の俳句は死んでしまう。
その思いだけはとても強いものでした(【itak】第1回イベントを終えて~五十嵐秀彦)。
 http://itakhaiku.blogspot.jp/2012/05/1-itakhaikugmail.html


あれから5年。【itak】の存在も年々広く知られるようになりましたが、まだまだ北海道の俳句の世界が元気を取り戻したとまでは言えません。
【itak】は、北海道俳句界に確固たる位置を得たいとは露ほども考えておりません。
そうではなくて、固まってしまっているものを少しでも崩して、岩が転がり出すように状況を流動化させるための、ひとつの文芸運動でありたいのです。
そのためには、5年続いたという継続性に、誇らしさ以上の不安もあります。


【itak】が固まってしまっては本末転倒です。

これから何ができるのか、それを模索する6年目が始まりました。


5月13日、第31回イベントをいまやすっかりホームとなった道立文学館で開催しました。5周年記念と銘打って、初の吟行句会としてみました。
道立文学館が建つ中島公園を中心におのおの吟行してもらい、そこで作った句を持って、会場集合。


そこからが【itak】流の独自企画です。
参加者には巨大な模造紙の短冊が配られ、会場に設けられたテーブルでマジックを使い自分で自分の句を書きます。
それを幹事が集め、会場となっている道立文学館地下講堂の壁に次々とランダムに無記名で貼り出してゆきます。


ここから第2の吟行の開始です。
各自適当に歩き回りながら壁に貼られた大短冊の句を「吟行」(選句)するのです。
いつもと違って作者自身の手によって書かれた字には作者の思いがこめられていて、どれもとても味があり、「私を見て!」と語りかけてくるようでした。


好きな句を3つ選ぶと、選者の名を記したポストイットを大短冊の下に仕掛けられたエプロンをめくりあげて貼ってゆきます。
エプロンをめくってしまってから選を変えるのは反則。めくってみるとポストイットだらけだったり、からっぽだったりするのです。
それがまた面白く、わくわくしながらポストイットを貼って歩き回ります。



選句を終えたら、次は壁の端から短冊の枚数ごとにコメンテータを交代しつつ次々と披講してゆきます。


コメンテータは4人。
橋本喜夫、松王かをり、籬朱子、五十嵐秀彦。
そして司会は青山酔鳴が通しで担当しました。


披講の時に初めてエプロンが剥がされて選句結果がわかる趣向です。
初めての試みでしたので、進行にややぎこちなさや不備もありましたが、予想以上に面白い句会になったと思います。


今回やってみて気づいたことは、作者肉筆のすばらしさでした。
字の上手い下手ではないのです。


どの短冊も個性的で、句に説得力を与えていました。3句選では足りない、もっと取りたいと思わせる力が文字からにじみ出ておりました。



今回のイベントの参加者は50名、投句者は48名。
2句投句、計96枚の大短冊の迫力を堪能したひとときとなりました。
また、高校を卒業し大学に進学した若い俳人たちなど4名が参加してくれたのもうれしいことでした。


俳句をとおして愉快な時間を過ごす。その豊かさにあらためて俳句文芸の底の深さを感じることができたのではないでしょうか。
また機会を見てやってみますのでご期待ください。




夜の懇親会にも18名が参加してくださり、なごやかに楽しい時を過ごしました。
ご参加の皆様、お疲れさまでした。ありがとうございました。



◇◇◇


さて、7月8日(土)の第32回イベントは、北海道新聞文化部記者の古家昌伸(こいえ・まさのぶ)さんを迎えて、「『新・北のうた暦』と大岡信」という講演を予定しております。

今年の3月から北海道新聞朝刊で「新・北のうた暦」という短詩コラムの連載が始まりました。
執筆陣は8名。俳句は五十嵐秀彦、石川青狼、久保田哲子、橋本喜夫、安田豆作の5名、短歌は田中綾、月岡道晴、山田航の3名。
【itak】ゆかりの作家が多く参加しております。
そして古家昌伸さんこそこの企画の仕掛け人なのです。


その古家さんに、「新・北のうた暦」にかける思いやウラ話などお話しいただき、当日参加の執筆者数名をまじえたディスカッションも予定しております。


俳句集団【itak】第32回イベントは7月8日(土)午後1時~4時50分
いつもの北海道立文学館地下講堂。
参加料も変わらず500円、高校生以下無料です。

ぜひご参加ください。お待ちしております。

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