俳句集団【itak】第16回イベントを終えて
「 俳 諧 自 由 」
主催者側が自分で言うのもなんだが、【itak】の講演はいつも面白い。
先月の平倫子さんの小泉八雲論もそうでしたが、今回の安田豆作さんの講演も前例のないような視点からの話で、俳句に関係あるところばかりではなく、それ以外の内容もとても興味をひかれるものでした。
これがたった500円で聴けるなんて!(これが言いたかったw)。
というわけで、去る8日に俳句集団【itak】の今年最後となる第16回イベントが道立文学館講堂で開催されました。
前日までの予約の段階で60名に迫る勢い、そして当日にさらに来場者も増え、第1部講演には63名、第2部句会には61名の参加者となり、スタッフからはうれしい悲鳴もあがるほどでした(これ、常套句だけど、本当に悲鳴が聴こえたとか・・・)。
講演は十勝在住の獣医さんで俳人の安田豆作さんによる「重種馬の生産の現状と、馬の俳句」。
安田さんがホトトギス所属ということもあり、伝統俳句協会系のかたが7名ほど参加されました。
そして北海道俳句協会の荒舩青嶺会長も参加。
組織を離れて一俳人として参加するという【itak】のポリシーそのまま、現代俳句協会、俳人協会、伝統俳句協会の会員もいれば、さまざまな結社に属するひとたち、そして多数の無所属のひとたち、高校生、小学生、みんな平等な鍋の中に芋煮状態となっておりました。
安田さんの講演の前半は獣医としてのお仕事の経験から重種馬の置かれている現状についてのお話しで、なるほど普段ひとくちに「牛馬」などと言っているけれど、牛の置かれている立場と馬とでは異なること、特に重種馬は既に農耕で使われることがなくなったことから極端に頭数が減っていることなど、はじめて聴く話しばかりでとても面白いものでした。
そして後半は俳人ごとに見る馬の俳句論。
芭蕉、蕪村、一茶の馬の句をとおして江戸時代の馬が見えてくる、そして俳人の作風もまた馬の句に顕著であることなど、「そうか!」と得心する内容でした。
さらに明治以降現代までの俳人の馬の句についても、子規に馬の句が多いのに虚子に少ないのはなぜか?とか、北海道の開拓と切っても切れない馬を描いた俳句のことなど、独自の視点からの考察が聴けて、とても充実した講演でした。
特に「馬は木槿を食べるのか」という、俳人ならばピンとくる疑問点について、豆作さんが実験をしてみた結果は・・・?
それがどういう結論になったかは、後日掲載予定の抄録をお待ちください。
前回、橋本喜夫さんにコメンテーターをしてもらって、その薄情でぶっきらぼう(笑)なコメントが好評だったことから、今回はさらに籬朱子さんもコメンテーターに加え喜夫さんと二人体制でやってみました。多少多面的な鑑賞ができたのではないでしょうか。
いつもの名司会者・三品吏紀さんが残念ながら今回欠席だったため、【itak】でもっとも時間感覚のない男、私・五十嵐秀彦が司会を担当したため、案の定ペース配分がグダグダになり終盤大混乱?となってしまいましたこと、この場を借りてお詫びいたします。
次回はさらに進行方法を検討しなおします(私が司会をしないのがベストなのは言うまでもないのですが・・・)。
誰でも500円と俳句2句もって【itak】にやってくればそれでいい。
結社も協会も関係ない。ひとりの俳句愛好者として参加すれば、それぞれのドラマがここから生まれてくるのだと思います。
「俳諧自由」。
文芸が自由に息づく場所。【itak】はこれからもそんな場と機会を創り続けます。
ときどきくたびれるかもしれないけれど、ともかく続けます。もっと面白くなるはずだから。
どうぞ今後も俳句集団【itak】の動きに注目してください。
次回は年もあらたまった1月10日(土)です。
「爆笑!【itak】俳句甲子園」(仮題)
企画内容はまだ詰めておりませんが、現役高校生、OB、大人たちによる【itak】的俳句甲子園をやる予定ですので、ぜひご期待ください。
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