決勝トーナメント二回戦は同じくJ会場。初出場の石川県立金沢桜丘高校との対戦だった。私たちと同じく女子五人メンバーのチームで女性らしい句、ディベートで試合が進められていった。兼題は「柿」。審査は高柳克弘先生、田中亜美先生、西村和子先生、岸本尚毅先生、木暮陶句郎先生にしていただいた。
もうだれもいない集落柿の秋 渡部琴絵

このまま波に乗りたい次鋒戦。しかし、気持ちだけが先走ったのか、次鋒戦は桜丘に軍配があがった。やはり柿がない北海道では句作だけでなく鑑賞も難しい。柿の種を飛ばすという楽しさ溢れる桜丘の句が勝利した。
中堅戦は旭川東が勝利し、副将戦では桜丘が勝利した。ここまで二対二でどちらもゆずらず大将戦までに持ち込んだ。
おつかいのおまけや独楽に似たる柿 池原早衣子
安易な表現を使えばメンバー全員が大好きな句である。大将戦に至るまでに早く勝ってしまいたいという気持ちもあったが、やはりリーダー池原の句でディベートがしたい。準決勝進出をかけたこの句で、自分たちの句の魅力をもっと知ってもらいたい、という純粋な気持ちに戻った。しかし、やはりどちらのチームも緊張しており、自然体なディベートには至らなかった。桜丘の句の、竹竿で柿を採るという景がディベートを通してうまく結べず、季語の研究不足を実感した。大将戦は桜丘が勝利した。この時点で旭川東は決勝トーナメント二回戦敗退に決まった。
八月二十四日の敗者復活戦で、旭川東は選抜六チームの中に入ることができなかった。今年からルール変更により、敗者復活戦は句点の高い上位六チームのみしか松山市総合コミュニティセンターの舞台での質疑応答を認められなかった。自分たちの句を多くの人に見てもらいたいという思いで、この場をお借りして敗者復活戦兼題「流星」の句を発表させていただく。
空も野も一つになりぬ流れ星 池原早衣子
今年の松山俳句甲子園は、優勝は開成高校、準優勝は洛南Bとなった。この場に立ちたかった、立てなかったという悔しさを噛みしめながら試合を観戦した。これからに向けての勉強もあるが、この句好き、おもしろい、とメンバー同士で言い合うのも観戦の醍醐味であり、多くの優れた句との出会いとなった。後日発売される、全チームの俳句が載った公式作品集が待ち遠しい。
なお、Jブロック審査員特別賞(ディベート賞)に旭川東から池原早衣子が選ばれた。
フェアウェルパーティーは熱い試合を終えての充実したひとときとなった。勝ったチームも負けたチームも日頃の活動を話し合ったり、連絡先を交換したり・・・。写真俳句ゲームをしたり、団扇にお互いのメッセージを書き合ったり、運営Tシャツが欲しいとスタッフさんを困らせたり(これは筆者だけ)もした。時間を惜しみながらの場であった。
今年は十七回という記念大会であり、「人が死ぬのには十分な時間」という夏井いつき先生の言葉には胸にこみ上げてくるものがあった。筆者は俳句甲子園と同じ十七歳である。ということはつまり、筆者の一つ下の代は産まれる前から俳句甲子園があったということになる。この先、私達出場選手の子供の代からも俳句甲子園出場選手が出るかもしれない。そんな遠い未来のことを思いながら、今年の俳句甲子園は幕を閉じた。
十二年連続出場の常連校旭川東。そう呼ばれることが今まで多々あった。全国大会に連続出場しているが、ここ数年では成績が伸び悩んだ。今年の成績(決勝トーナメント二回戦進出)は第七回大会と並ぶ、過去最高の成績となった。これからは常連校ではなく、強豪校と呼ばれる存在になっていきたい。先輩方が受け継いできた伝統を途切れさせることなくかつ、今の状況に満足することなくこれからも活動に励んでいく。
今回、こうしてブログに参戦記を載せてくださった俳句集団【itak】の皆様、本当にありがとうございました。【itak】代表の五十嵐秀彦先生には地方大会の映像を送っていただいたり試合中にSNS等で応援の声をかけていただいたりなど、本当に励みになりました。また【itak】にお邪魔させていただくことがあると思いますが、そのときはよろしくお願いします。
参戦記拝読。よく頑張りましたね。結果を知るときドキドキしましたよ。今年の審査をしていて、手ごたえとチームワークのよさをすごく感じましたので・・・・一番遠い北海道からの参加、本当にごくろうさまでした。
返信削除こんにちは、筆者の木村です。読んでいただき本当にありがとうございます。これからも北海道の俳句を盛り上げられるように微力ながら頑張ります!これからも旭川東をよろしくお願いします。
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