俳句集団【itak】第7回イベントを終えて 五十嵐 秀彦
「思いはふかく、ことばはわかり易く」
俳句集団【itak】は昨年の5月に第1回イベントを実施しました。それから早いもので一年がたち、私たちのイベントも第7回から2年目に入ったことになります。
とはいえたかだか1周年、何をどうするわけでもなく、普段どおりのイベントを実施しました。
第1部は久保田哲子さんの講演。
演題は「私と俳句 ~門前の小僧的な~」。
演題は「私と俳句 ~門前の小僧的な~」。
久保田哲子さんはご存知の方も多いと思います。特に北海道では有名な俳人のひとりです。結社は「百鳥」に所属。俳人協会会員です。
これまで「白魚火」「梓」などの結社を経ての現在の「百鳥」同人で、それぞれの結社で受賞を重ね、さらに第二句集『青韻』で北海道新聞俳句賞、鮫島賞(北海道俳句協会)を受賞されています。
そう、彼女は筋金入りの結社人なのです。
それは【itak】的ではないのではないか? という疑問をもった方々もいらっしゃったかもしれない。
とんでもない。そういう決め付けこそ【itak】的ではないと思うのです。
彼女の結社で培ってきた経験を、【itak】に集まる人たちが俳句の栄養として吸収できれば、さらに深く俳句を考える機会を持つこともできるでしょう。
今回も会場は中島公園の北海道立文学館地下講堂。
開始時間の10分前にはほぼ満席の状態になり、講演参加者は51名になりました。
【itak】名物の高校生も今回は5名参加です。予約なしの飛び込み参加も5名ほどいらっしゃいました。
久保田さんは講演をあまり経験していないということで始まる前には多少緊張気味の様子ではありましたが、始まると実にスムーズに自然体で話しをしてくださいました。
厳しい主宰のもとで、時には理不尽な思いもしたこと。
それでも俳句を続けてきたのは、「主婦」や「母」や「妻」という属性で見られるのではなく、ひとりの独立した人間としての表現を求めたからだったこと。
それが前半の講演内容で、後半は師に教えられた俳句の要諦をわかりやすく語ってくれました。
特に、「美しいと感ずるよりもぐっと胸を打たれたいのだ。巧いと感ずるよりもぐっと胸を締めつけるようなものが欲しいのだ」という加藤楸邨の言葉にひかれて「寒雷」に入った永田耕一郎さんへの久保田さんの強い共感が伝わってくる内容でした。
「思いはふかく、ことばはわかり易く」
「季語は自分の内奥のこえを表すものである」
こうしたことを「梓」の永田耕一郎主宰から教えられ、師のそれらの言葉が常に久保田さんの道を照らし続けてきたのでしょう。
すこし泣きすこし手袋濡らしけり 久保田哲子
水鳥に水尾といふ過去きらきらす 久保田哲子
◇
第2部の句会は参加者46名。
いつもながら大人数の句会は運営が難しい。
それでも幹事の人たちのがんばりで、とどこおることなく進みました。
今回の句会では、次の句が好評でした。ほかにも高点句はありましたが、公開オーケーの句からのみ若干紹介します。
作者はまだ匿名とします。いずれブログで結果一覧を発表しますので、それを楽しみにしてください。
春草の地球を蹴って逆上がり
反古焚きて残雪の端焦がしけり
風車もつて飛行機雲仰ぐ
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これまでも懇親会の希望は多かったのですが、人数が多いため幹事の負担をこれ以上増やさないように懇親会をしなかったという経緯があります。
しかし1年間イベントを続けてきたことで、運営がかなり安定してきたこともあり、1周年の今回を機会として今後はできるだけ懇親会もセットすることにしました。
今回は文学館と同じ中島公園内のテラスレストラン・キタラで27名の参加で懇親会を開催できました。
やはりそうした場での意見交換も有意義ですし、なにより楽しいものです。
今後も参加者の協力をいただきながら続けていきたいと思いました。
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次回、第8回イベントは、7月13日(土)、道立文学館で午後1時から開始です。
懇親会も予定しておりますので、ぜひ次回も多くの参加を期待しております。
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